MOVIE WALKER PRESSの公式YouTubeチャンネルで映画番組「酒と平和と映画談義」に出演中のお笑いコンビ「アルコ&ピース」。そのネタ担当平子祐希が、MOVIE WALKER PRESSにて自身初の小説「ピンキー☆キャッチ」を連載中。第44回は異星人の目的が語られ始めるが…。
ピンキー☆キャッチ 第44回 エンターテイメント
「ドッキリ・・・番組??」
「ええ、ご存知でしょう!?お堅い職業柄、ご覧になったことが無いとか??」
「いや、もちろん知ってはいるが。ちょっと一旦整理させてくれ。さっきから何の話をしているんだ」
「先ほどお伝えした通りですよ。私は、もとい私共はあなた方から見たら異星人なる存在です。私共の文化はシンギュラリティ、つまり技術的特異点を迎えました。科学が発展しきった状態です。あらゆる物事のオートメーション化はもちろん、意思疎通は直接的なコミュニケーションを取らずとも可能に。生み出した技術が更なる発展した技術を生み出し、我々生命体は必要最低限の活動で生存が可能になりました。しかし!!そうなるとどうしても不足するものがある!それが何かわかりますか!?」
「・・いや・・想像もつかな・・」
「エンターーーテイメントっですよ!!! 圧倒的なエンターテイメント!!! それもアナログで泥臭いエンターテイメントが足りていない!! このままでは単なる生命体として生きながらえるだけの塊になってしまう!そこで有志が集い、未発達だからこそ優れた、この星のエンターテイメントを拝借したのです!!」
「ああ・・。何となく概要は掴めたが・・俺を監禁して何がエンタメになるんだ?」
「監禁はその中のごく一部ですよ。この星をも素材として拝借し、皆さんの日常にハプニングを忍ばせた番組を創作したのです!!おかげさまで大人気コンテンツになったのですよ!!未発達の生命体が稚拙な知恵を絞って右往左往する姿は実にファニーなんです!!!」
混乱し続ける頭で、都築は思いを巡らせた。
(先ほど流れた映像から考えるに、怪人の出現や諸々の事件、今回の防衛省の騒動に至るまで、その全てが奴らが仕組んだ“エンターテイメント”だというのか。・・・だとしたらコイツら!!!)
都築はメンバー達が重傷を負いながら戦う姿を思い出し、怒りに目が眩む思いがした。
「貴様っっっ!!!」
都築は男の襟元に掴み掛かった。
「彼女達が!・・いいや全員の人間がだ!お前達のおふざけ程度のもので死んでいたかもしれないんだぞ!!!それを右往左往だと!!!!」
喉が裂けんばかりに捲し立てた。まるで自分の声では無いかのように感じたが、都築は自分の憤りを止められなかった。
ところが男はどこ吹く風で、無抵抗で不思議そうな表情を浮かべている。都築が一呼吸置くと、わざとらしくため息を吐きながら口を開いた。
「それはあなた方もおなじじゃないですか?」
「同じ!?何がだ!!?」
「命のやり取りも含めてエンターテイメントじゃないですか。同じ生命体同士で命を奪い合い、その戦争状態を利用して何者かが利を得ている。殺し合いはあらゆるメディアを通じて人々の関心を煽り、ドラマに映画、ゲームや擬似体験施設まであるではないですか!」
「そ、それとこれとは違う!!」
「そうですか、であるのならば謝らなければなりませんね。しかしその殺し合いの道具は広く嗜好品としても愛され、ファッションアイテムにすらなっているではありませんか??」
「うっ・・いや私が言っているのはだな・・その・・」
「戦争でなくともそうです!肉体的な攻撃や命の奪い合いのみならず、誰かをターゲットに仕立て上げ、その精神が削られる様を手を叩いて大笑いしているではありませんか!!個人間でもメディアを通じたものでもそんな光景はそこここに溢れている!!!」
都築は二の句が継げずに押し黙ってしまった。極論ではあるが、この星の事象、風習や文化を大枠で見ればそう説明出来てしまうかもしれない。
「いや失礼!決して責めているのではないのですよ!!そうした多角的にあらゆる物事をエンタメ化出来る文化をお持ちだからこそ、我々は遠路はるばる赴いたのですから!!!」
「いったい・・我々をどうするつもりなんだ・・」
男は何かを含んだように笑みを噛み殺しながらバッと両手を上げて言った。
「それではひとまずお仲間達との再会としましょう!!!」
(つづく)
文/平子祐希
