映画『港のひかり』(公開中)の公開記念舞台挨拶が11月26日、新宿バルト9にて開催され、舘ひろし、眞栄田郷敦、尾上眞秀らキャストと共に、木村大作キャメラマンが登壇。撮影裏話も飛び出し、和気あいあいのトークでイベントを盛り上げた。
【写真を見る】名キャメラマンの木村大作のストレートな発言に笑いが止まらない舘ひろし&眞栄田郷敦
主人公の“おじさん”を演じるの舘は、本作が7年ぶりの単独主演作となる。彼が救いをさしのべる盲目の少年、幸太役に歌舞伎界の新星として注目を集める尾上が扮し、成長した青年、幸太を眞栄田が演じておじさんと幸太との年の差を超えた、12年にわたる運命と絆を描き出す。
大きな拍手と歓声に包まれるなか、「本当にすばらしい作品になったと思っています」と笑顔を見せる舘。眞栄田は「作品が愛されているという声が届いてうれしく思っています」と感謝。「早く観てほしいと思っていたのですごくうれしいです」とにっこりの尾上に続き、誰よりも元気な声で挨拶したキャメラマンの木村は「今日、観てくれた方は、お金を払って観てくださった方。『国宝』とは言わないけれど、今日からも宣伝をよろしくお願いします!」と観客にリクエストし、もっと作品が広く伝わっていくことを心から願っているとも話した。
元ヤクザで漁師の主人公の”おじさん”を演じた舘ひろし
映画の反響を訊かれると「泣いたとおっしゃっていただけることが多いです」と明かした舘は「何年振りかで観ましたよ!と言ってくれる人もいるのでうれしいです」と微笑む。「いい映画だった、いい話だったというお言葉をいただきます」と語った眞栄田は「上の世代の方からも懐かしく感じたとか、日本映画っていいよなという声もいただいています」と報告。尾上は「担任の先生とか、いろいろな先生が観てくれているようで、うれしいです」とニコニコ。眞栄田も尾上も自身よりも上の世代からの反響が多いことに触れていたが、木村は周囲からの感想で印象に残っていることについて訊かれると、「全部!」と回答。「普段電話してこない人からの感想も来ました。一番多いのは(藤井道人)監督とうまくいったのかという話から、この映画を観てよかったという声」と話し、笑いを誘う。さらに「舘さんよりも年齢が上の方から電話があって。女性なのですが、『舘さんってあんなによかった?』って驚いていて」と名前は明かさないとしながらも、舘が思わず「うれしいです。ありがとうございます」とお礼の言葉を挟んでしまうほどの同業者からの反響に触れる。そういった反響は当然といった様子で、「舘さんを哀愁漂う男として撮った自負があります!」と言い切る木村に、会場からは割れんばかりの拍手が湧き起こっていた。
舘演じる”おじさん”が出会う目の見えない幸太の青年期を演じる眞栄田郷敦
「雨のシーン、雪のシーンは圧巻。これこそ木村ワールドという気がしました」と話した舘は「お芝居もしなくてもいい環境を作ってもらうというのかな。そのなかにいるだけでお芝居が成立しちゃう。とてもやりやすかった気がします。大作さん、ありがとうございました」と木村が生み出す世界観に感謝。眞栄田は「見ての通り、本当に嘘のない方」と木村の印象を語り、「現場には監督として藤井さんがいるので、すごく立てているとも思いました」と振り返る。木村はいつもエネルギッシュだと話した眞栄田は「それが現場に伝染して、活気あふれた現場になったという印象です」と木村の熱が現場の活気を生み出していたと話した。
目の見えない少年、幸太を演じた尾上眞秀
尾上が「すごい元気というか、エネルギーがすごいです」と木村の印象を語ると、舘がそっと近づき「バカ!って大きな声を出すから、本当はビックリしたんでしょ?」とニヤリ。すると尾上は「監督と揉めたというか…」と切り出し、舘も眞栄田も大爆笑。「眞秀くんが言ってくれたから、ひとつ話すけれど…」と撮影時のエピソードを語り出した木村は、輪島の市場での一幕を明かすことに。「エキストラがいっぱいのシーンで、なかなか思うように動いてくれない。そうなると、バカやろー!ってなるわけです」と話す木村。「その時に監督が僕のところに来て、肩を抱えて隅に連れて行って…。『バカやろーはダメです。パワハラって電話されます』って言われて。僕はいつもこんな調子だから大丈夫」と答えたという木村。「年上にも偉い人にもバカやろーってなる」という木村は、年上、年下、立場などわけへだてなく出る言葉だとも補足し、木村節を炸裂させる。キャスト陣がタジタジになるも、貴重な撮影裏話の披露に観客は手を叩いて大よろこび。その後、保護施設で子どもたちが遊ぶシーンの撮影では、思うように動いてくれない子どもたちに、「今度は監督が、バカやろーってなって(笑)。僕が子どもにバカやろーはダメでしょと言ったら、スタッフがみんなわーっと笑って。そういう一連のシーンを全部眞秀くんは見ている」と冷静に現場を観察していたことを知っていると話した木村は「子どもって正直」と、尾上のコメントをフォローする形で撮影の裏側を伝え、「今日は背広なんかきちゃって。すっかり青年になったね」と尾上の成長に目を細めていた。
名キャメラマン、木村大作のトークに観客も大よろこび!
イベントでは作品にちなみ、ずっと大切にしているもの、思い出深いものを発表するコーナーも。「3年前に親父が亡くなった時の約束を大事にしています」と話した眞栄田は父である千葉真一と交わした約束の内容は言わないとしながらも「今回、舘さん、大作さんとご一緒したことをよろこんでいるのかなと思います」と、大切にしている約束をしっかり守っていることをほのめかすように語った。「映画界が自分の居場所」と力強く話した木村は「最後まで映画の現場に立ちたいと思っています」と宣言。続けて「いま86歳になっています。終末を歩いています。そのうち居なくなります。でも居なくなる前まで現場に立っていたい」と力を込める木村に大きな拍手が送られる。さらに木村が「次回作もあります!」と明かし、「自分の企画で監督もやります、撮影もやります。次の目的があると思うと生きていられます。封切りは再来年です!」と笑顔で語った。ペットショップで一目惚れした愛犬のノアくんを大切にしているという尾上は「一目惚れ。見た瞬間に飼いたいと思いました。おとなしくもあり凶暴でもります(笑)。寝転んでいると膝の上に来て寝るけれど、僕が起きる時には噛んできたりします」と愛おしそうに語った。
大切にしているのは渡哲也からもらった時計だという舘ひろし
渡哲也から10年前にもらった時計が大事なものだという舘は「すごく大事なのであまり普段はしないようにしています」と大切に保管してあるとし、「それと共に、渡さんが残してくれたもの、生き様だったり俳優としてのありようだったり。そういうものがいまでも思い出。いまの僕があるのは舘さんのおかげかなと思っています」と渡への想いや2人の絆を、時折懐かしそうな表情を見せながら語っていた。
最後の挨拶で舘は自身の集大成のような作品になったと伝え、もっと広がっていくように「ご協力をお願いいたします」と呼びかけ、笑顔いっぱいのイベントを締めくくった。
取材・文/ タナカシノブ
