ビデオ通話で気丈に振る舞うガザ在住のフォトジャーナリスト、ファトマ・ハッスーナ ©Sepideh Farsi Reves d’Eau Productions

パレスチナ人のカメラマンとイラン出身の映画監督

 イスラエル・ガザ戦争が2023年に勃発した後、この映画を撮ったセピデ・ファルシは、どうにかガザに入り込めないか、と画策するが、不可能であることを知る。

 ファルシが知りたいと思ったのは、「あの包囲下で、何年も生き延びるにはどうすればいいのか?」「パレスチナの人々は、戦火で荒廃した祖国でどのような日常を送っているのか?」「イスラエル国家は、数百平方キロメートルの小さな地域に、数多くの爆弾とミサイルを投下し、ガザの住民を飢餓に追い込むことで、何を消そうとしているのか?」――といったことだった。

 自分がガザに入れないのならと、自分の代わりにガザの目となり耳となる存在を探した。そうして出会ったのが、この映画の主役である、24歳のフォトジャーナリストであるファトマ・ハッスーナだった。

映画『手に魂を込め、歩いてみれば』予告編

 還暦を迎える監督のファルシには、ファトマと同じ年代の娘がいる。年齢でいうと二回り違う。また、10代で反体制派としてイラン政府に投獄されたファルシには、その後、パリを拠点にしてこれまで15本の映画を撮影してきた。

 年齢も話す母国語も違い、宗教に対するスタンスも、生きる環境もまったく異なる2人が、1年間、英語を使ってスマートフォンのビデオ通話での会話を重ねることで、シスターフッド(女性同士の連帯)を育てていく物語である。

ビデオ通話でコミュニケーションをとるファトマとファルシ ©Sepideh Farsi Reves d’Eau Productions

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