「第18回 オリコン年間“本”ランキング 2025」が11月28日に発表され、主要3部門でそれぞれ『大阪・関西万博ぴあ』(ぴあ)、吉田修一『国宝 上 青春篇』(朝日新聞出版)、尾田栄一郎『ONE PIECE 111』(集英社)が1位に輝いた。

 このランキングはオリコンが毎年発表しているもので、主要3部門である<BOOKランキング><文庫ランキング><コミックランキング>のほか、<BOOKランキング>の下位区分としてさまざまなジャンルや形態別のランキングがある。今回の実質集計期間は2024年11月18日~2025年11月16日で、以下に記載の推定売上部数(期間内)はすべてオリコン調べ(oricon.co.jp)。

『大阪・関西万博ぴあ』(ぴあ)©Expo 2025

 まず、<BOOKランキング>の1位に輝いたのが、今年開催された大阪・関西万博のガイドブックである『大阪・関西万博ぴあ』(62.4万部)だ。単行本などの一般書籍部門にあたるこのランキングで、旅行ガイドジャンルの作品が1位を獲得するのは史上初。

 『大阪・関西万博ぴあ』の編集長・伊奈禎氏は、コメントでこう語る。「もともと博覧会協会は公式ホームページを中心としたWebでの宣伝告知をメインにしていました。しかしながら万博のような複雑で多岐に渡るコンテンツは、PCやスマホの画面からでは理解しづらい。今こそ“紙メディア”の出番だ!と確信してMOOKの制作をスタートしました。やはり紙メディアの特長である『一覧性』は今回のような複雑なコンテンツを理解するには有効であると」。

吉田修一『国宝 上 青春篇』(朝日新聞出版)

 <文庫ランキング>では、今年大ヒットを記録している映画『国宝』の原作本である吉田修一『国宝 青春篇 上』(74.1万部)と『国宝 下 花道篇』(朝日新聞出版/64.9万部)がそれぞれ1位・2位に。文庫ランキングで同一シリーズが1位・2位を独占するのは史上初となった。

 小説執筆にあたり、自身も黒衣として現場に入って取材したという吉田氏は、その体験について「何より歌舞伎という芸道の凄みを感じましたし、一方でその鷹揚さを知りました」とコメント。また、映像化による広がりについては、「ここまでの社会現象を経験したことがありませんので、今はまだその渦中で一日一慶の日々にただただ驚いているというのが正直なところです」と語った。

尾田栄一郎『ONE PIECE 111』(集英社)©尾田栄一郎/集英社

 <コミックランキング>で1位に輝いた尾田栄一郎『ONE PIECE 111』(137.0万部)の『ONE PIECE』シリーズは、同ランキングで3年連続1位、通算でも15作目の年間1位で「同一シリーズの年間コミックランキング通算1位獲得数」の歴代1位記録を自己更新した。

 また、今年の2位・3位には、芥見下々『呪術廻戦』シリーズ(集英社)の最終巻となった30巻(133.0万部)と前巻の29巻(129.9万部)がそれぞれランクインした。

二宮和也『独断と偏見』(集英社)

 そのほか、<BOOKランキング>の下位区分となるジャンル別・形態別ランキングでは、二宮和也『独断と偏見』(集英社/16.6万部)が「タレント本」「新書」で1位となる2冠を記録。

 「写真集」では『乃木坂46 井上和 1st写真集 モノローグ』(講談社/12.4万部)が1位を獲得したほか、1位から4位までを乃木坂46関連作品が独占。「写真集」男性部門ではダンス&ボーカルグループ・THE RAMPAGEメンバーの『吉野北人2nd写真集『Orange』』(幻冬舎/7.3万部)が1位に。

 「文芸書」では阿部暁子『カフネ』(講談社/33.7万部)が1位、「ライトノベル」では日向夏『薬屋のひとりごと 16』(イラスト:しのとうこ/主婦の友社/20.0万部)が1位に輝いた。

リアルサウンドブック編集部

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