【ライブレポート】AI、デビュー25周年記念ベストツアー完遂。日本武道館公演のゲストにPUSHIM、DABO、ATSUSHI、三浦大知、Awich、OZworld登場も

2024年11月からスタートしたAIの25周年イヤー。2025年2月にリリースされた25周年記念ベストアルバム『25th THE BEST – ALIVE』を引っ提げ、5月から始まった全国ツアー<AI 25th best tour ←ALIVE→>のファイナル公演が11月24日、日本武道館公演で開催された。
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本ツアーは、アリーナ公演数を含む全32公演・総動員数10万人規模のベストツアー。生演奏のみによるバンドサウンド、日本トップのダンスチームKADOKAWA DREAMS のパフォーマンスとともに、AIのパワフルかつソウルフルな歌声を堪能できるステージが全国各地で繰り広げられた。
ツアーファイナルとなる日本武道館公演には、スペシャルゲストアーティストとして、EXILE ATSUSHI、Awich、Ozworld、三浦大知、DABO、PUSHIMが出演。新たなミュージックビデオも話題となっている「Story」をはじめ、「アルデバラン」「ハピネス」などの代表曲を網羅した全24曲が披露され、デビュー25周年の集大成と呼ぶべき圧巻のライブとなった。
18時ちょうどに会場の照明が落とされ、まずはバンドメンバーである岸田勇気(Key)、Bubby Lewis(B)、Soy(Dr)、YUMA HARA(G)とダンサーがステージへ。ダイナミックなバンドサウンドとともにコーラス隊の植松陽介、高橋あず美、Chloeが奥行きのあるハーモニーを響かせ、AIが3階建てセットの最上段に登場。凄まじい歓声が沸き起こるなかで放たれたオープニングナンバーは「YOU ARE MY STAR」。さらに「キラキラfeat.カンナ」ではAI、Chloeの歌声が共鳴し、早くもライブは最初のピークへと達した。「What’s up!? 武道館! 最後まで楽しんで!」と呼びかけるAIも、このライブを全身で楽しんでいるようだ。


「今日は来てくれてありがとう。あんたたちの顔を見ると感動する!」という言葉とともに「ワレバ」を披露し、気持ちいいシンガロングが生まれる。そして、この日の最初のゲストは、PUSHIMとDABO。「ワレバ」とPUSHIM feat. DABO「I Wanna Know You(J.J remix)」をマッシュアップした「Untitled feat. PUSHIM, DABO」を3人でパフォーマンスし、会場全体が華やかな雰囲気で包まれる。「シンガー、アーティストとして大尊敬しているし、人格者!」というPUSHIMのコメントに客席から大きな拍手が送られた。
〈愛 愛 愛 愛があれば〉の大合唱が巻き起こった「VOICE」、AIとダンサーの着替えを挟んで披露された「INDEPENDET WOMAN」からは、ダンサーと一体となったステージへ。「Welcome To My City」「SHOUT IT OFF」ではダンサーのソロが組み込まれ、「リスペクト」では歌詞のメッセージを身体的に表現。「みんながみんな英雄」における大らかな一体感、ステージの1階から3階までをフルに使った「NAKAMA」を含め、AIのボーカル、バンドのサウンドを際立たせるKADOKAWA DREAMSのパフォーマンスはまさに圧巻だった。



続く「THE MOMENT」では、¥ellow Bucksのラップパートにチャレンジする観客を募集。AIが指名したのは、なんと7歳の男の子。お母さんと一緒にステージに上がり、一生懸命に歌う姿にAI、バンドメンバー、そしてオーディエンスもみんな笑顔に。この日の会場には小さいお子さんの姿も多く見られ、親子連れも多数。そんな温かい光景もまた25年のキャリアの賜物だ。
ここからはアコースティックコーナー。まずは植松陽介、高橋あず美、ChloeがAIの25周年をテーマにした小曲を披露。思わぬプレゼントにAIは笑顔で目を潤ませた。さらに「懐かしい曲をやります」という言葉から「Believe」、〈最高の未来を作るんだキミと〉というフレーズが手渡された「BE WITH YOU」を素朴なアレンジとともに歌い上げた。
そしてAIのキャリアを代表するバラードを2曲。「アルデバラン」はギターと歌から始まる、このツアーだけの特別バージョン。バンドサウンド、コーラスが加わることで荘厳なスケール感へとつながり、大きな感動が生まれた。「Story」はもちろん、この日のライブのハイライトの一つ。1番のサビで声を詰まらせたAIの気持ちを受け取り、観客が〈一人じゃないから/キミが私を守るから〉と大合唱するシーンは、AIとオーディエンスの強いつながりを証明していた。



「Bad Bitch美学」「生者の行進」とヒップホップ系ナンバーを繋げ、ここからライブは後半へ。「IN THE MIDDLE feat. 三浦大知」では三浦大知が登場し、“真ん中でいよう”というメッセージを込めたリリックを二人で歌い上げる。間奏のパートでもキレのいいダンスで盛り上げまくった三浦はやはり生粋のエンターテイナーだ。
「 Not So Different Remix feat. Awich」ではAwichとの生パフォーマンスが実現。ゆっくりと階段を上がり、ステージ最上階で凛としたラップを放ちまくるAwichに観客も完全にPut your hands up状態。最後にしっかり抱き合った二人からは、この国におけるR&B~ヒップホップのトップランナー同士の絆を感じ取ることができた。


続く「I Wanna Know」も心に残った。2006年リリースの楽曲だが、〈What’s goin’on/今何ができる?〉というフレーズに象徴されるこの曲のメッセージは、むしろ現在のほうが強く響く。真摯でポジティブな思いを曲に込め、それを心あるファンと共有しながら進んできたAI。「I Wanna Know」のパフォーマンスからは、25年間に培ってきた豊かな音楽性が真っ直ぐに伝わってきた。
ここでAIは改めて観客に語りかけた。「あと1曲なんだけど、アッという間すぎない? 本当にありがとう。一人一人いろんなことがあると思うけど、最後までいっぱい楽しんで」から始まり、支えてくれたバンドメンバー、ダンサー、参加してくれたゲスト、そしてオーディエンスへの感謝を伝えたAI。「みんな、すごく温かいよね。拍手をもらうと感動する」という言葉に導かれたのは「ハピネス」。歌詞の通り、武道館全体に満面の笑顔が広がるなか、ライブ本編は終了した。
会場中で「My Friend」の合唱が沸き起こるなか、AIとバンドメンバーが再びステージへ。「ヤバい曲やるよ!」と始まったアンコール1曲目の「RISE TOGETHER feat. OZworld」では、OZworldが登場。鋭く、強烈なラップを繰り出すと、AIが思わず「カッコ良すぎる!」と叫ぶ。もちろん観客のテンションも最高潮。去り際にAIに向けて放った「自分のなかでAIは、このAIの時代のなかで、ChatGPTよりも最高のAIだ」というパンチラインも流石の一言だ。


サプライズはまだ終わらない。AIに呼び込まれて姿を見せたのは、EXILE ATSUHI。今年の4月に843日ぶりにステージに立ち、復活を遂げたEXILE ATSUHIとともに披露されたのは「So Special-Version AI-」。華やかさと奥深さを共存させたEXILE ATSUHIの歌声に、会場からはさらに大きい歓声が沸き上がった。「AIちゃん25周年おめでとう。AIちゃんのファンの皆さん、最高です!」という言葉も最高の贈り物。シーンを代表する2人のシンガーの共演が久々に実現したことは、この日のライブの大きな意義だったと思う。


「いろいろあると思うけど、諦めないで、乗り越えていこう」というAIがラストの曲に選んだのは「HANABI」。ツアーに参加したダンサー、ミュージシャンもステージに上がり、大勢で「HANABI」を打ち上げ、ライブはエンディングを迎えた。最後は出演者、ゲストがステージに並び、全員で挨拶。AIのお子さんも花束を持って登場し、ツアーの終了をお祝いした。
キャリアを代表するヒット曲を惜しみなく披露しつつ、現在進行形のパフォーマンスを見せつけたAI。しかし、25周年はまだ通過点。さらに進化したAIのステージを早く見たい――この場所にいたすべての人がそう願っているはずだ
文◎森朋之
写真◎田中聖太郎