映画『サイレントナイト』が、11月22日(土)よりユーロスペースほかで全国順次公開されている。主演を務めるのは、国際的な名バイプレイヤーとして数多の作品を支えてきた菅田俊。本作は、彼の“静かなる強さ”が物語の中核に据えられたハードボイルド人間ドラマであり、冬の小樽という静謐な舞台に、父として生きることの尊厳と、過去との決着を描き出す。
『サイレントナイト』ポスタービジュアル ©2025 クイーンズカンパニー
▼初日舞台挨拶で明かされた制作秘話とキャストの熱量
映画『サイレントナイト』初日舞台挨拶の様子=11月22日(土)、ユーロスペースにて
公開初日、ユーロスペースで行われた舞台挨拶には、菅田俊、矢野優花、渡辺哲、永倉大輔、島津健太郎、松田優、荒井敦史、藤原健一監督が集結。主演の菅田は「高倉健さんの、『冬の華』(1978)みたいな映画を、フランス映画やB級映画風に撮りたくて。やっぱり健さんに憧れていますからね…、まぁ、親分は菅原文太なんですけど」と会場を沸かせ、作品への熱量を示した。
舞台となった冬の小樽は、キャストたちを“食の記憶”でも魅了したようで、「海鮮がおいしすぎる記憶しかないほどです!(矢野)」「信じられないほど旨い!(松田)」「毎日食べたこともない美味しいものが!(荒井)」と絶賛が止まらなかった。一方で、バイオレンス描写の担い手である島津健太郎は「僕だけ北海道行ってない!」と嘆きつつ、「ホンマは優しいですよ!」と会場を沸かせた。
矢野優花、菅田俊、映画『サイレントナイト』初日舞台挨拶の様子=11月22日(土)、ユーロスペースにて
音楽を手がけた坂本つとむは、本作で俳優としても参加。「空気感を大切に作曲しました。バイオレンス描写も際立つ映画ですが、エンドロールで優しさを感じて欲しい」と語り、映画の“余韻”へのこだわりを示した。渡辺哲も「最近こういうヤクザ映画が無いんでね~!本当に楽しかった!」と笑いを交えて語り、会場は温かな熱気に包まれた。最後に菅田が「映画を様々な方法で楽しんで、作品のリピーターになっていただければ」と力強く語ると、拍手喝采が広がった。
▼“父とは名乗れない男”が挑む最後の闘い…『サイレントナイト』あらすじ
映画『サイレントナイト』より ©2025 クイーンズカンパニー
かつて極道の世界にいた男・久能慶蔵(演:菅田俊)は、過去を断ち、小樽で静かに暮らしていた。“叔父”として毎年欠かさず送っていたクリスマスプレゼントをきっかけに、記憶障害を抱える高校生・文香(演:矢野優花)が小樽を訪れる。叔父として会いに来たはずの男が、実の父だった――その事実を胸に秘めた久能は、娘の未来を守るため、再び抗争の渦に身を投じていく。父とは名乗れない男の、最後の闘いが静かな夜に響きわたる。
▼菅田俊×藤原健一…20年の信頼が生んだ“魂のタッグ”
映画『サイレントナイト』より ©2025 クイーンズカンパニー
本作は、藤原健一監督と菅田俊が『虎狼の群れ』に続いてタッグを組んだ作品であり、「菅田さんという役者がいるからこそ、この物語を撮れた」と監督が語るほど、菅田の存在そのものが企画の原点となっている。脚本は、“極道の舎弟の娘に年賀状を送り続けた男”の実話をベースに構築され、菅田の圧倒的な存在感が役・久能に説得力を与えている。矢野優花、高岡蒼佑、赤井英和、小木茂光、大友康平、渡辺哲ら、多彩な俳優陣が物語に奥行きを与え、小樽を舞台にした重厚なドラマが生まれた。
菅田俊は「映画館にお客さんが戻ってきた今、あえて単館のB級映画に自分だけの楽しみを見つけてもらえたら」と語り、映画への純粋な愛をにじませる。監督の藤原も「役者 菅田俊の全てが詰まった映画を感じて欲しい」と語り、20年以上にわたる信頼関係の結晶であることを明かした。
静寂を裂く一撃と、雪に覆われた父娘の絆――観る者は、極道映画という枠を超えて「父親とは何か」「家族とは何か」という問いに向き合わずにはいられない。静かで熱い魂が宿る、まさに“菅田俊だから成立した”映画である。
映画『サイレントナイト』は、ユーロスペースほか全国順次公開中。
映画『サイレントナイト』本予告
<映画『サイレントナイト』作品情報>
出演:菅田 俊、矢野優花、荒井敦史、高岡蒼佑、小木茂光、芳本美代子、赤井英和、永倉大輔、島津健太郎、宮田早苗、松田優、坂本つとむ/渡辺 哲、大友康平
監督:藤原健一
主題歌:坂本つとむ「Oh!Lady」(TEICHIKU RECORDS) 原案:菅田 俊 脚本:石川二郎 藤原健一
エグゼグティブプロデューサー:大岩良江 プロデューサー:大塚和雄 指原寿比古
撮影:古谷 巧 照明:今野健 録音:松島匡 助監督:佐藤吏 美術:寺田瑛 衣裳:安部実花
スチール:中居挙子 ヘアメイク:田中希 擬斗:二家本辰己 ガンエフェクト:浅生マサヒロ 編集:高木聡
制作担当:大西裕 音響効果:井筒康仁 / スーパーバイザー:浅野博貴
北海道ロケーションコーディネート:岡田厚思 佐々木英司 齊藤康晃
配給:クイーンズカンパニー 配給協力:T-artist 2025|日本|カラー|90分 映倫|PG12
公式サイト: http://silentnightfilm.com 公式X:https://x.com/SN_Film
©2025 クイーンズカンパニー
記事/和田 萌

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