11月28日より全国の映画館で公開される、内田英治監督の最新作『ナイトフラワー』。北川景子さんが子どもの将来のためにドラッグを売る二児の母・夏希を演じ、森田望智さんが夏希ら親子を助ける格闘家・多摩恵を演じている。
青くまだらに染まった艶のない髪、「身なりになど構っていられない」という必死の形相。美貌を封印した体当たりの演技で、終始観る者を圧倒する北川さん。クランクインの半年前から徹底的な食事制限と格闘技の特訓を重ね、迫力のあるファイトシーンを自身でこなした森田さん。実力派俳優2人の高いプロ意識から生じる化学反応は、本作の見どころのひとつになっている。
『ナイトフラワー』でSnow Manの佐久間大介さんが演じるのは、多摩恵の幼なじみであり、彼女を大切に思う海。役柄との向き合い方とSnow Manのグループ愛やファンへの思いを語ってもらったインタビュー第1回、内田監督から受けた影響について聞いた第2回に続き、インタビュー最終回では多摩恵への深い思い、今回の共演者に感じたこと、そして俳優業と声優業について思うことを聞いていく。
感情を爆発させて、心の底から出た言葉
ピュアなラブストーリーとも言える、海と多摩恵の関係性。今回海として見せたような、相手への秘めた思いや抑えていた気持ちを爆発させる繊細な演技は、過去にも経験があったのだろうか?
「それがなかったんです。ちゃんとした純愛を演じたのは今回が初めてで。僕は先ほども言ったとおり、胸キュン系やキラキラ系、学園ものといった作品には縁がなかったのですが、今回の現場を経て、純愛物語をやりたいと思いました。自分の感覚と感情的に純愛は合っているかも、とすごく感じたので。やりたいと思わせてくれました、この作品が」
佐久間さん演じる海は、森田さん演じる多摩恵の幼馴染で、互いに支え合って生きていた ©2025「ナイトフラワー」製作委員会
劇中、海が危険な行動に出ようとする多摩恵を引き留めるため、自身の強い感情をぶつけるシーンがある。焦燥感に駆られた表情が特に印象的だった場面だ。
「多摩恵のことが心から好きで、大事にしたくて、本当にやめてほしいという気持ちを自分の中でめちゃめちゃ大きくして臨んだシーンです。心の底から出たセリフだったので、終わったあと『はぁ……』と脱力するくらいつらかったです。どうしても彼女を止めたいんだけど、これ以上強くは言えないしというもどかしさもあったので。
そしてそれを映像を通して伝えるには、監督が『大きいスクリーンは嘘がつけない』と言ったように、心から思いを出さないとダメなんだなと感覚として理解できた。完成したものを観たとき、自分がやったシーンなのにすごくいいなと思いました」
撮影/大坪尚人
