ストレスを解消するいい方法はないか。脳生理学者の有田秀穂さんは「近年の脳科学研究で、『感動の涙』を生み出す脳の仕組みと、蓄積した疲労を癒す涙の効果が明らかになってきた。一週間分の疲れを解消するとっておきの泣き方がある」という――。

※本稿は、有田秀穂『スマホ中毒からの心のモヤモヤをなくす小さな習慣』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

泣いている女性

写真=iStock.com/Siarhei Khaletski

※写真はイメージです

友情、スポーツ、結婚式…泣けるシーンで癒される理由

涙を流すとスッキリする、という人は少なくないのではないでしょうか。

確かに、泣いた後にはモヤモヤした気持ちが晴れます。なぜ、このような変化が起こるのでしょうか? 脳内で何が起こっているのか、わかりやすく解説しましょう。

そもそも、涙は眼球に付随する涙腺で作られます。

涙はドライアイを防ぎ、目に入ったゴミを洗い流す作用もあります。

でも涙は、そういう直接的な作用を果たすだけではありません。

人間は心が激しく揺り動かされたときにも涙を流します。

これが「感動の涙」で、人間だけが流すものです。犬や猫などのペットは、ある程度人と心の交流ができますが、ドラマやドキュメントで涙を流すことがありません。人間性の脳である共感脳が十分に発達していないからです。

では、どんなシーンで、共感脳が刺激されるのでしょうか?

その1:熱い友情のシーン

仲間を思いやる友情があふれるシーンには、否が応でも涙が出てきてしまう……そのような人も少なくないでしょう。

ピンチのとき、いつも助けてくれた心強い味方。

学生時代のあの頃、あの景色、あの言葉。

ふと脳裏をかすめては胸がぐっと詰まり、青春時代の切なさがよみがえって、思わず熱いものが込み上げてくる。友達の存在は懐かしく、そして尊いものです。

その2:スポーツで感動の共体験

スポーツの世界は“涙の宝庫”です。

オリンピックやパラリンピック競技大会をはじめ、甲子園、フィギュアスケート、サッカーなど、誰かと一緒に観戦することで一体感が生まれ、感動を共有しやすくなります。

普段は「泣きのツボ」が違う人同士でも、スポーツだけは同じものを見て、一緒に盛り上がれるはず。

その3:結婚式のスピーチや手紙

参列のたびに「今回は泣かないぞ」と思ってもやっぱり泣いてしまうのが結婚式。式から披露宴まで全編にわたって琴線に触れるシーンがあり、涙腺は常に崩壊しがち。

特に新婦が読む家族への手紙は涙の鉄板ネタ。「お父さん、お母さん……」と冒頭からすでに号泣です。幸福感であふれ出る涙に、気持ちもほんのり温かくなります。

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