2人の女性が底辺の現実から抜け出すため、隠された金塊を手に入れようと死闘を繰り広げるクライムサスペンス『PROJECT Y』(2026年1月23日公開)。 第50回トロント国際映画祭、第30回釜山国際映画祭でのプレミア上映ですでに話題を呼び、“日韓同時期公開”でも注目を集めるなか、ハン・ソヒ演じるミソンと、チョン・ジョンソ演じるドギョンの場面写真3点が解禁となった。さらに12月には、韓国公開に先駆けてイ・ファン監督の来日プレミアム上映が決定。日本の観客との交流を待ちわびるイ・ファン監督からの特別コメントも到着した。
『PROJECT Y』の舞台は、ソウル・江南の歓楽街。昼はフラワーショップで働き夜はクラブで男たちの接客をするミソン。そんなミソンのほか水商売の女たちの頼れるドライバーとして生活費を稼ぐドギョン。苦楽を共にして育った幼馴染でもある2人は、いまの厳しい生活から抜け出し、「昼は働き、夜は眠る」という普通の生活を夢見ていた。しかし夢を掴みかけたその日、ある人物の裏切りにより、一夜にしてすべてを失ってしまう。どん底に突き落とされた2人は、一発逆転を狙い危険極まりない大勝負に乗り出すが、予想外の展開が待ち受けていた。
主演を務めるのは、ドラマ「夫婦の世界」でブレイクを果たし、「わかっていても」、「マイネーム: 偽りと復讐」と立て続けに話題作に出演したハン・ソヒ。アクションからロマンス、時代劇までジャンルを問わない演技力で確固たるキャリアを築いてきた。そしてもう一人、イ・チャンドン監督作『バーニング 劇場版』(18)で鮮烈なデビューを飾り、圧倒的な演技力と存在感で観客の心を虜にするチョン・ジョンソ。劇中で、苦楽を共にして育った同い年の幼馴染を演じる2人は、実生活でも親友として知られている。この化学反応が、登場人物に深みを与える。
【写真を見る】妖艶さの中に芯の強さがにじみ出る眼差しのミソン(ハン・ソヒ)[C]2025 PLUS M ENTERTAINMENT, CLIMAX STUDIO AND WOWPOINT ALL RIGHTS RESERVED.
今回公開された場面写真は、赤いジャケットと豹柄のアウターに身を包み夜の街に繰り出すミソンとドギョン。危機的状況でも揺るがない彼女たちの覚悟が垣間見え、物語の展開を期待させる空気が漂う。さらに、鋭い視線を向けるミソンの姿、車に寄りかかり挑発的な表情のドギョンの姿を捉えたシーンも。韓国トップ女優2人のスタイリッシュな姿が印象的だ。
アンニュイな魅力を醸し出すドギョン(チョン・ジョンソ)[C]2025 PLUS M ENTERTAINMENT, CLIMAX STUDIO AND WOWPOINT ALL RIGHTS RESERVED.
本作を手掛けたイ・ファン監督は、大胆な題材とインパクトのある演出でこれまでも韓国映画界に新風を吹き込んできた。日本でも多くのファンを獲得した韓国映画きっての不朽の名作『息もできない』(08)に出演の後に撮り上げた監督デビュー作『パク・ファヨン(原題)』(18)は、第22回釜山国際映画祭をはじめとする主要映画祭に招待され、家族や社会に見捨てられた若者の生々しく力強い描写が批評家の絶賛を浴びた。長編2作目『大人たちには分からない』(21)では、10代の若者たちが抱える問題をさらに深く掘り下げ、第25回釜山国際映画祭で2つの賞を受賞。
本作で人間のリアリティに迫ったイ・ファン監督[C]2025 PLUS M ENTERTAINMENT, CLIMAX STUDIO AND WOWPOINT ALL RIGHTS RESERVED.
これまでに、韓国社会で生きる若者が直面する問題を掘り下げた作品を発表し、その社会意識の高さが評価されてきた彼の長編3作目となる『PROJECT Y』については、「私が最も惹かれるのは人間そのものです。彼らの極限の欲望と葛藤を探求したかった」と並々ならぬ意気込みがあったことを語っている。ハン・ソヒ&チョン・ジョンソという韓国トップ女優を迎え、次なるステージへの期待を高めたイ・ファン監督。そして今回の来日決定について、「日本の皆さまにお届けできることを、大変光栄に、そしてうれしく思います。本作をご覧いただき、それぞれの心に響く形で受け取っていただければ幸いです」と喜びを口にした。本国公開前に作品を鑑賞できる極めてレアな上映であることに加え、監督が自ら作品や制作背景について語る、日本のファンにとってまたとない貴重な機会をお見逃しなく。
文/荒井 南
