スティーヴン・キングの息子として知られる作家ジョー・ヒルの小説「黒電話」を、『フッテージ』(13)などのスコット・デリクソン監督が映画化した『ブラック・フォン』(21)。スマッシュヒットを記録した本作の続編となる『ブラックフォン 2』が11月21日より公開された。死者たちとつながる“電話”が鍵を握る本シリーズの新作を楽しむために、前作のポイントをここで振り返っていきたい。
【写真を見る】『ブラックフォン 2』に向けて前作をおさらい![c] 2025 Universal Studios. All Rights Reserved.
連続誘拐犯に子どもたちの怨念と共に立ち向かう!
1978年、コロラド州デンバーの郊外に暮らす少年フィニー(メイソン・テムズ)は、家では父に怯え、学校ではいじめの標的にされる日々を送っていた。そんななか、街では子どもたちが失踪する事件が頻発し、フィニーもまた学校帰りに連続誘拐犯のグラバー(イーサン・ホーク)によってさらわれてしまう。
断線した黒電話が壁にかけられた地下室でフィニーが目を覚ますと、つながらないはずの電話が鳴る。それはこの部屋で殺されて霊となった子どもたちからの電話であり、彼らがどのように逃げだそうとし、失敗したのかを聞いたフィニーは、話を参考に脱出作戦を企てていく。
電話を通じて届く子どもたちの想いが泣ける
本作は、父スティーヴン・キングの影響を感じさせるような、子どもたちの活躍をファンタジックな描写を交えながらダークに描くジュブナイルホラー。
子どもたちの知恵を借りながら少年が誘拐犯に立ち向かった『ブラック・フォン』[c] 2021 Universal Studios. All Rights Reserved.
部屋からの脱出を試みるフィニー少年は、普段から高圧的な父親とのスリリングな生活を送っているからか、誘拐のピンチにもウジウジすることなく、断線しているのに鳴り響く恐怖の黒電話にすんなり出るほどの激強メンタルを持ち合わせている。
どんな道具や手段をとったのか、体験談を語る子どもたちのアドバイスに耳を傾け、さらに学校で自分を守ってくれていた亡き親友ロビン(ミゲル・モラ)と共に、打倒グラバーに向け、トレーニングに励むフィニー。死んでいった子どもたちの無念を背負いながら「これは〇〇〇〇の分!」と言わんばかりに、アドバイスを実践してグラバーに挑む様は、怖いけど泣ける…!
超能力とガッツを武器に妹グウェンが大活躍!ガッツのある妹として存在感を見せたグウェンがターゲットに!(『ブラックフォン 2』)[c] 2025 Universal Studios. All Rights Reserved.
そんな頑張るキッズたちのなかでも特にガッツがあるのが、フィニーの妹グウェン(マデリーン・マックグロウ)だ。兄が集団リンチに遭っていれば、「クソ野郎ども!」と啖呵を切りながら手にした石でいじめっ子の頭をぶん殴り立ち向かっていくなど、不利な状況にも物怖じしない骨太な根性を持っている。
つらい人生を乗り越えてきた兄妹の絆がエモい!(『ブラックフォン 2』)[c] 2025 Universal Studios. All Rights Reserved.
また亡き母と同じく予知夢を見る能力を持つグウェンは、その話をすると父から折檻を受けていたが、兄のピンチに父の抑圧を押し退けて能力を全開放し、グラバーの家を探し当てる大活躍を見せる。酒浸りで暴力的な父が支配する劣悪な家庭環境でも、互いに支え合いながら育った兄妹の絆が、自由を勝ち取っていく様には心を揺さぶられる。
とにかく不気味な最悪の殺人犯グラバー
そんな子どもたちを絶望のどん底に陥れるのが、“人さらい”の意味を持つグラバー。マジシャンを名乗る不気味な白塗りフェイスから笑顔にっこりのマスク姿まで、ビジュアルから怪しさ満点の男だ。
マスクの怪人として前作でも強烈なインパクトを放ったグラバー(『ブラックフォン 2』)[c] 2025 Universal Studios. All Rights Reserved.
誘拐した子ども相手に、ルールを破ったらお仕置きをするというゲームを楽しんでおり、わざと逃げる隙を与えては、エサに釣られた子どもをムッチムチのリアルな体をむき出しにしたパンイチ姿で待ち構えるいやらしい罠を仕掛けたり、はたまた躊躇ないフルMAXの暴力を振るったり…。悪意の塊みたいな男をイーサン・ホークがネットリと怪演する。
1972〜78年にかけて、33人の青年や少年を殺害した“キラー・クラウン”の異名を持つジョン・ウェイン・ゲイシーをモデルにしているグラバー。物語のクライマックスでフィニーに殺されるグラバーだが、その際にマスクを剥がされて怯える意味深な描写もあり、ベールに包まれた過去が続編で明らかになるのか、楽しみなところ。
