大河ドラマの放送開始以来、ほとんど全てのテーマ音楽を演奏してきた“本家本元”NHK交響楽団による、年に1度のコンサート。3回目となる2026年は、注目の若手指揮者・沖澤のどかを迎え、和楽器や合唱とのコラボを含む、ひときわ華やかなラインナップでお贈りします。
勇壮なオープニング、「風林火山」(2007年)に続くのは、話題の最新作「豊臣兄弟!」(2026年)。池辺晋一郎がフランス由来の電子楽器、オンド・マルトノを取り入れた「独眼竜政宗」(1987年)と「八代将軍 吉宗」(1995年)は、ユニークな音色が特徴的です。
今回のハイライトは、幻の作品の復活演奏。没後30年の大作曲家、武満徹が手がけた「源義経」(1966年)の失われたスコアを、「春日局」(1989年)の坂田晃一が独自に再現、60年ぶりに蘇らせます。薩摩琵琶や龍笛を用いた斬新な響きは必聴です。
特別ゲスト・高橋英樹のデビュー作、「竜馬がゆく」(1968年)も、長く楽譜の所在が不明でしたが、2024年に亡くなった間宮芳生の書斎から見つかり、久々のお披露目となります。
「徳川家康」(1983年)には、オリジナル録音と同じ男声合唱の慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団が、「新選組!」(2004年)には、次世代を担うテノールの工藤和真が加わり、N響創立100年を祝う〈特別編〉のプログラムに花を添えます。
後半は恒例の“大河”にまつわるクラシック音楽。おなじみの《モルダウ》や、懐かしの名曲《ドナウ川のさざ波》など、優雅な調べに浸れるひと時をお約束します。

西川彰一(NHK交響楽団 芸術主幹)

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