『落下の王国 4Kデジタルリマスター』
日本国内では権利関係の都合で17年以上の長きにわたり再上映不可の幻の冒険ファンタジー。新たに4Kデジタルリマスター版で生まれ変わり、11月21日から全国公開。
早速Bunkamuraル・シネマに足を運びましたが、全回満席でした。
ロビーは入れ替えで大混雑。これほど混雑している同館は初めてでしたね。
ストーリーは無声映画時代に撮影中の大けがで半身不随になったスタントマンが自暴自棄になり、同じ病棟で入院している少女に自分の代わりに自殺のための薬を盗ませるために「作り話」を聞かせて仲良くなろうとするが、いつしか少女を手懐けるためのたわいもない「作り話」は少女と自分自身を救う壮大な物語へと昇華されていく…。
作り話をベースとしたファンタジー映画として、ティム・バートン監督の『ビッグ・フィッシュ』(2003)やテリー・ギリアム監督の『バロン』(1988)などがありますが、本作の出色は、北京オリンピック開会式の衣装も手掛けた石岡瑛子氏のビビッドな原色を基調とした鮮やかで眩しい壮麗な衣装、そしてインド出身のターセム・シン監督らしいタージ・マハルやアグラ城をはじめとする世界各地の建築物の荘厳で美麗な実在のロケーションとの溜息が出るほどの見事な調和です。ワンシーン、ワンカットがまるで絵画のような美しさです。
4Kデジタルリマスターでさらに色彩がクリアになって、スクリーンに引き込まれる感じ。
アート色の強い難解な作品の印象を持たれるかも知れませんが、ラストもホロリさせられる素敵なファンタジー映画でしたね。
