21_21 DESIGN SIGHTで企画展「デザインの先生」が開幕した。会期は2026年3月8日まで。展覧会ディレクターを務めるのは、デザインジャーナリストの川上典李子と、キュレーター/ライターの田代かおるである。

 「デザインとは何か」という根源的な問いが揺らぐいま、6名の巨匠たちの思想と活動を通して、現代社会におけるデザインの役割を改めて考える機会を提供する展覧会だ。取り上げられるのは、ブルーノ・ムナーリ、マックス・ビル、アキッレ・カスティリオーニ、オトル・アイヒャー、エンツォ・マーリ、ディーター・ラムスの6名。いずれも20世紀のデザイン史に大きな足跡を残した人物だが、川上と田代はこの6名をたんなる巨匠ではなく、「デザインの先生」として位置づける。

 田代は記者会見で、彼らに共通する視点として3つの点を挙げた。まず、戦後社会の混乱のなかで「人間はいかに幸せに生きられるのか」を真摯に問い続けたこと。また、専門分化が進む時代にあっても「統合的な視野」を失わず、生活全体を見渡しながらデザインをとらえていたこと。そして最後に、人々の幸福や環境への視点を持ちながら「高度な美」を生み出したことだ。

 また本展では、彼らに学び、日本のデザイン教育を牽引した向井周太郎(1932〜2024年)の視点も重ねて紹介する。とくにビルやアイヒャーとの交流から生まれた記録は、今回初公開となる資料を含め、展示の重要な軸を成している。

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