最終回が近くなるにつれて暗い展開が続いた「べらぼう」ですが、第44回『空飛ぶ源内』は今までの鬱憤を晴らすような痛快かつ予想外の展開に。

さまざまな人物が結集した第44回は、源内先生は生きてきた!と盛り上がったり、懐かしの人物が再登場したり、「べらぼう」らしい笑いが随所に散りばめられたりと、まるでずっと見続けてきた視聴者へのご褒美回のような展開でした。

【前編】では、絶望して生きる気力すら失った蔦重夫婦を支えた、“おっかさん”、チーム蔦重の人々、手代たち、源内の存在と、それに反して自分で選んだ結果なのに闇堕ちして孤独に追い詰められていく歌麿のことを考察しました。

『べらぼう』胸熱な「そうきたか!」源内生存説で笑顔が戻った蔦重夫婦に対し、闇堕ちの歌麿…【前編】

「大河べらぼう」第44回『空飛ぶ源内』。残すところ4回になった今、ファンの心を鷲掴みにする、まさかの胸熱な「そうきたか!」展開となりました。※前回放送の解説記事↓[insert_post id…

【後編】では、ビジネスを始めるきっかけとなり、“本”の真髄を教えてくれ、無念の死を遂げたあともずっと蔦重(横浜流星)の心の中に生き続けてきた平賀源内(安田顕)が紡いだ、思いがけないストーリーを振り返ってみます。

多くの人を陥れ操ってきたあの“傀儡師”を倒すため結集した“七つ星の龍”アベンジャーズと、写楽チームの誕生は、予想を大きく面白い展開でした。

NHK大河「べらぼう」公式サイト

“七つ星の龍”を書いた源内小説が復活!?

ある日、耕書堂の店内の長椅子に木箱が残されていることに気がついたてい(橋本愛)。出先から戻った蔦重に箱の中身を見せます。中には『一人遺傀儡石橋』と題した原稿が。

内容は、平賀源内が死の直前に書いた、『死を呼ぶ手袋』を題材にしたものでした。
田沼意次(渡辺謙)の紋が七つ星であることから“七つ星の龍”と名付けた男が、親友の“源内軒”と悪党退治に乗り出すも悪党によって殺され、“源内軒”がその敵討をするという展開。

まさに源内が書いていた内容そのもので「本人だよ、これを書けるのは源内先生しかいねえ」と確信する蔦重。この原稿を読んだことはあるし、最初の1枚だけを残し残りの原稿は何者かに盗まれたことも知っています。(蔦重は知らないことですが、一橋治済 (生田斗真)が庭でその原稿を焚き火で焼きながら、焼き芋を作っていましたね。)“七つ星の龍”と“源内軒”の活躍劇の続きは確かに、源内先生にしか書けないと、思いますよね。

けれども、三浦庄司(原田泰造)もこの内容を知っていました。高岳(冨永愛)から徳川家基が死ぬきっかけとなった毒入り手袋を見せられ、事情と犯人の推理を聞かされた松平定信(井上裕貴)は、三浦宅に駆けつけたときに『死を呼ぶ手袋』の内容を聞いて、この続きを二次創作したのではないでしょうか。(その場面はありませんでしたが)

定信は根っからの黄表紙好き。すべての黒幕は一橋治済であることがわかり、報復に打ってでるために仲間を募ろうと『死を呼ぶ手袋』の続きを書いて蔦重を呼び出したのでしょう。

一橋や幕閣らの裏切りで定信は政権の中心から外されていましたが、この計画を実現するために源内先生になりきり続きを書いている最中は、実はちょっと楽しんでいたんじゃないかななどと想像してしまいました。

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2ページ目 “七つ星の龍アベンジャーズ”の誕生に「そうきたか!」の声

 

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