「これまでフランス語で映画に出演したことはありましたが、こんなに多くのセリフを使ったのはこの作品が初めてでした。ですが、それが本作への出演の決め手になったのは確かです。私はずっと、フランス人のチームでフランスの日常に基づいた本物のフランス映画を作りたかった。ハリウッドの大掛かりな資本の入らない、本物のフランス映画を。そのチャンスが、この作品でした」
2025年、『Variety』誌にこう語ったジョディ・フォスターは、1962年11月19日、アメリカ・LAに生まれた。今月63歳を迎える彼女の新作「Vie Privée」が11月26日にフランスで公開されることもあり、今あらめて彼女に注目が集まっている。
本格的なフランス映画出演に挑む
著名な精神科医リリアン・シュタイナーは、患者の一人を亡くし深い悲しみに暮れるが、それが殺人だったことを確信し独自に捜査に乗り出す──「The Silence of the Lambs 」(1991)、「The Accused」(1988)等々社会派問題作やサスペンススリラーに多く出演してきた彼女が本作「Vie Privée」で挑むのは、全編フランス語での演技だ。監督はフランス・パリ出身のレベッカ・ズロトヴスキ、共演にダニエル・オートゥイユ、ヴィルジニー・エフィラらフランスを代表する名優を迎えた”本格的なフランス映画”である本作への主演は、ジョディの映画人生における新章の幕開けでもある。
そんな彼女は、18歳のとき『Interview』誌上でのアンディ・ウォーホルとの対談でリセ・フランセ・ドゥ・ロサンゼルスに学び、フランス語に非常に堪能であることを明かしている。そのため、これまでもたびたびフランス映画に出演したり、英語圏の映画のフランス語版の吹き替えも行ってきた彼女のフランス語に、ズロトヴスキ監督が「むしろフランスの俳優ではない」ことに違和感を覚えるほどだったという。
昨今は語学力を武器に多言語エンターテインメントに進出し、ボーダーレスな活動を展開する若手俳優らが増える中、63歳でフランス映画界に本格的に進出したジョディは、どちらかと言えば遅咲きかもしれない。だが一方で、本作で実際にフランス映画界に触れた彼女は、ハリウッドとの明確な違いについてこんなふうに語っている。
