【小津が描いた女】若尾文子の”別れの儀式”が美しい
へ仕掛けた仕事の岩の中一を開かめと思いのに帰りがけ なあかやちゃんあんたに頼みがあるんやけどね。 何? ここの郵便局にな若い男の人がおるんや。きよさん言うてな、ちょっとえ。 へえ。 それはどうした? あのな、何これ?絶対いて。 なんやの? あんたその人におてな。ちょっと誘いかけてみてんか? 誘い? あんたやったらきっと引っかかってくるわなあ。頼む。やだ、そんなこと。 真面目な話やで。かよちゃんだって。そんな追ったこともない人ならえ。いよならええわ。頼みがいのない人やね。 だって姉さん もうええ。もうえ。うちにやれるかな?そんなことできるよ。そやから頼むんや。 あんたがにっこりして白い歯見せたらエビでもタコでもみんな騎士寄ってくるわ。うまいこと寄ってくるかいな。じじっても知らんよ。大丈夫大丈夫。はでも姉さんどうして? まえやってごらん。ちょっとあんたの腕試しや。取っとき。そのお金もらっとこ。 お気にほんだら明日な。 うん。やってみるわ。
#若尾文子 #映画 #京マチ子 #1959年 #浮草
加代(若尾文子)とすみ子(京マチ子)が並んで化粧をする名シーン。
何気ない仕草の中に、女同士の探り合い・諦め・静かな緊張が滲む場面。
加代がお金を受け取る一瞬に、若尾文子の繊細な演技が凝縮されている。
出演
#京マチ子 #若尾文子
監督
#小津安二郎
脚本
#小津安二郎 #野田高梧
