SDGsという言葉が広く知られるようになった今、その理念を行動に移す著名人たちが増えています。未来のための大切なことを、日々の活動や作品を通して伝え続けている人たち。そのまなざしに、目を向けました。今回は、俳優・見上愛さんのインタビューをお届けします。

●情報は、『FRaU SDGs MOOK つながるから、生きられる 生物多様性とダイバーシティ。』発売時点のものです(2025年5月)。 

夢への執着を手放し、導かれた方へ進む生き方

漫画家の東村アキコさんが、学生時代に出会ったスパルタ絵画教師との9年間にわたる日々を描いた自伝的漫画『かくかくしかじか』が映画化。見上さんは、主人公の明子と同じ夢を追う友人・北見を演じる。

「この作品を通して、高校時代に自分に真剣に向き合ってくれた先生や大人を思い出したんです。人生って人との出会いで豊かになっていくし、出会った人によって人生が変わっていくんですよね。そんな当たり前のことを改めて感じさせてくれました」

主人公・明子は美大に入るため、先生と二人三脚でとにかく絵を描いて描いて描きまくる。けれども、見上さんが夢を叶えるための方法や考え方は、明子とは少し違う。

「私はあまり夢や目標を決めてこなかったんです。絶対にこれを成し遂げる、これを叶えないと幸せになれない、と自分を追いつめるようなことが得意じゃなくて。そうなっても、ならなくてもOKと思っていると自分の満足いく結果や幸せな時間につながる気がしています」

夢や目標への執着を手放すことが、良い結果につながってきたと語る見上さんは、もともとは演出家を目指していたという。しかし、そんな夢への執着を手放したことで可能性が広がった。

「舞台の演出家を目指していた時に、役者の仕事をしてみませんかと声をかけてもらったんです。そこにチャンスがあるなら、挑戦してみようかなと思いました。その先で、演出家をやりたいという気持ちがさらに強くなるかもしれないし、また別の運命的な出会いがあるかもしれない。だから、まずは少しでも光が見えるところから人生を切り開いていこうと考えたんです」

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