
全日本写真連盟埼玉県本部の公式サイトより(現在は削除済み、編集部で一部加工)
2025年11月12日 14時02分
写真コンテスト「第42回埼玉県写真サロン」の最優秀賞の授賞が取り消された問題で、受賞者が制作者の許諾を得ずに応募していたことが11月12日、わかった。事実上、「盗用」を認めたことになる。
このコンテストは、全日本写真連盟埼玉県本部と朝日新聞社が主催したもので、カエルの頭にトンボが止まった瞬間をとらえた作品「俺の頭だぞ!」が最優秀賞を受賞した。
しかし、海外サイト上に酷似したAI生成作品が存在することがSNSで指摘され、「盗作ではないか」と疑念が広がり、その後、授賞が取り消された。
●当初は「自身が制作していない作品」と説明
当初、主催者は弁護士ドットコムニュースの取材に対し、受賞者が「自身が制作していない作品を応募した」と説明していたため、最優秀賞の授賞を取り消したと説明していた。
その後の取材で、朝日新聞社は受賞者が「制作者の許諾は得ていなかった」ことを新たに明らかにした。
授賞が取り消された作品は、応募総数743点の中から最優秀賞に選ばれていた。
全日本写真連盟埼玉県本部の公式サイトには、「カエルの頭にトンボがひょいっと止まっている、とてもユーモアあふれる一枚です」「確かな撮影技術と構成の巧みさで、不思議な魅力と親しみを兼ね備えた作品になりました」と評価されていた。
作品は今年9月、埼玉県立近代美術館で展示されたほか、朝日新聞の埼玉版朝刊にも掲載されていた。
●「AIの使用について定めなかった」
SNS上では、「著作権フリーの生成AI画像に見える」との投稿があり、疑念が拡散した。似ているとされた画像は、海外のフォトストックサイトで公開されており、「AIによって制作された」と明記されている。
主催者によると、選考過程で画像検索などの確認もおこなっておらず、「AIによる生成や加工の取り扱いについての定めはありませんでした」という。
全日本写真連盟埼玉県本部は「今後、AI生成画像などの取り扱いについて検討します」としている。
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