
岡山市の後楽園で映画の撮影に臨む尾上松之助
岡山市出身で日本映画草創期に活躍した俳優・尾上松之助(1875〜1926年)の生誕150年を記念した「里帰り上映会」が16日、出身地の交流拠点施設・旭坐(あさひざ)(同市中区西中島町)で開かれる。市民有志が節目に合わせて企画し、松之助が出演する無声映画を披露。日本最初の映画スターと称される地域ゆかりの俳優をしのぶ。
松之助は歓楽地として栄えた同所の出身で、15歳の頃に家出して芝居一座に飛び込んだ。役者として巡業中に「日本映画の父」と呼ばれる牧野省三監督に見いだされ、映画俳優に転身。ぎょろりとした目で見えを切るポーズから「目玉の松ちゃん」の愛称で親しまれ、生涯で千本を超える無声映画に出演し人気を博した。
「日本映画発展の下地を整えた功績は、岡山であまり知られていない」と、舞台芸術の振興に取り組むNPO法人アートファームの大森誠一理事長ら市民有志約10人が、実行委員会を組織。松之助を顕彰する「尾上松之助遺品保存会」(松野吉孝代表、京都市)に協力を呼びかけて上映会実現にこぎ着けた。
上映するのは保存会が所蔵する無声映画2本で、忍者映画のルーツとされる「豪傑児雷也(じらいや)」、ひょんなことから相撲の土俵に上がる男を描いた「渋川伴五郎」。映画に合わせて活弁士がライブで声を当てた様子を収録した映像を流す。
上映会前に、保存会の松野代表が松之助が日本の映画界に与えた影響や、晩年に京都で取り組んだ社会福祉活動などについて紹介。アートファームが松之助の顕彰のため、子どもらを対象に計画する無声映画のワークショップもPRする。
大森理事長は「大スターを育んだ地であることを発信し、住民による顕彰の動きを盛り上げていきたい」と話している。
上映会は午後1時半開始。一般千円、高校生以下無料。先着50人で事前申し込みが必要。定員に達した場合は17日午後6時からも上映会を実施する。問い合わせは実行委事務局(090ー9410ー9149)。
(宮本慶一)
