劇場版『鬼滅の刃 無限城編』が今年9月に北米で公開され、初週興行収入で約7000万ドル(約106億円)の新記録を達成した。海外メディアは、アメリカの若者が国民的スポーツであるNFL(アメフト)よりも頻繁に視聴していると報じ、日本のアニメに注目している――。

写真提供=©Nina Prommer/ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ
2025年9月9日、米国カリフォルニア州ロサンゼルス:TCLチャイニーズシアターIMAXで行われた『鬼滅の刃』英語吹替版プレミア上映
米でオープニング興収1位、ハリウッド大作並みの大成功
ニューヨーク・タイムズ紙によると、9月に公開された『鬼滅の刃 無限城編』は公開初日の木曜夜から日曜日までの4日間で、アメリカとカナダで約7000万ドル(約106億円)の興行収入を記録した。北米アニメ映画のオープニング週末興行収入として過去最高となる。
アナリストの予想を約55%も上回る特大級のヒットとなっており、これまでの最高記録であった1999年の『ポケモン ミュウツーの逆襲』を大幅に更新した。同作は当時の金額で3100万ドル(現在のレートで約47億円)、インフレ調整後で約6100万ドル(同約93億円)であった。
『鬼滅の刃』は、鬼に家族を殺された少年・竈門かまど炭治郎たんじろうを主人公とする冒険譚だ。唯一生き残った肉親の妹・禰豆子ねずこだったが、鬼の血に感染してしまったことが発覚。妹を人間に戻す方法を探すべく炭治郎は鬼殺隊に加わり、人々を襲う鬼を討伐してゆく。今回の『無限城編』では、鬼の総大将である鬼舞辻きぶつじ無惨むざんの本拠地に突入した炭治郎たちが、目まぐるしく変化する要塞の中で死闘を繰り広げる。
映画はすでに日本でも7月18日に公開され、記録的なヒットとなっている。盛況は海外メディアにも取りあげられた。米ディプロマット誌は9月11日時点で同作が317億円を売り上げ、日本映画史上2位になったと報じている。歴代1位は同シリーズの前作『無限列車編』(2020年)だ。3位以下は順に『千と千尋の神隠し』『タイタニック』『アナと雪の女王』となっており、『無限城編』はこれらを大きく引き離した。
米ブルームバーグのコラムニストは、『無限城編』の興行成績を、「ジェームズ・ボンドや『ワイルド・スピード』といった、ハリウッドの主流大作に期待されるレベルの数字」だと評価。英BBCによると、英国でも好評であり、『ダウントン・アビー』最新作に阻まれて公開第1週の首位は逃したものの、2位の座を射止めている。
