2024年のSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)映画祭でプレミア上映され、ホラーやスリラーといった深夜上映向け作品が集まる「ミッドナイターズ部門」で観客賞を受賞したホラー『視える』が11月7日に公開された。
【写真を見る】木の人形が大暴れ!『視える』に影響を与えた作品は?[c] 2023 Shudder / Keeper Pictures Limited / Nowhere Content Inc All Rights Reserved
アイルランドの新鋭ダミアン・マッカーシー監督が手掛けた本作は、人形、盲目、双子、霊媒師、仮面…などホラーの定番と呼べるエッセンスをごちゃ混ぜにし、手触りはゴシックながらフレッシュな恐怖で高い評価を集めている。ここではそんな本作を構成する要素を洗いだしながら、恐怖の源泉をひも解いていきたい。
※本記事はネタバレ(ストーリーの核心に触れる記述)に該当する要素を含みます。未見の方はご注意ください。
姉の死の謎に迫った妹が視たものとは…?容疑者と思われたオリンも怪死を遂げ…(『視える』)[c] 2023 Shudder / Keeper Pictures Limited / Nowhere Content Inc All Rights Reserved
郊外の古い屋敷で精神科医の夫テッド(グウィリム・リー)と共に暮らすダニー(キャロリン・ブラッケン)が惨殺される事件が発生。現場に現れたテッドの患者オリン・ブール(タイグ・マーフィー)による犯行とされていたが、オリンの怪死により事件は謎を残したまま幕を閉じた。
テッドの妻ダニーの死から物語は動きだす(『視える』)[c] 2023 Shudder / Keeper Pictures Limited / Nowhere Content Inc All Rights Reserved
それから1年、ダニーの双子の妹で目の不自由な霊媒師のダーシー(キャロリン・ブラッケン/2役)は不気味な木製のマネキンと共に、テッドが新たな恋人ヤナ(キャロライン・メントン)と暮らす事件現場を訪問。自らの力を用いて謎の真相を探ろうとするのだが…。
呪術で動く木の“人形”が放つ不気味〜な存在感
数ある要素のなかでも抜群のインパクトを放つのが“人形”だ。ホラー映画にありがちなかわいらしい“お友だち”ではなく、木で作られた人間大のサイズという造形からして不気味なこの人形。お察しの通り、思わぬ形で動きだし、あるキャラクターを恐怖のどん底へと突き落としていく。
呪術によって動きだした人形が襲いかかる人物とは!(『視える』)[c] 2023 Shudder / Keeper Pictures Limited / Nowhere Content Inc All Rights Reserved
人間大の木彫り人形という点では、呪われた木の人形が人里離れた山荘で次々と人間を襲うヴィンセント・ロバート監督の寓話的ホラー『ザ・フィアー』(95)を彷彿とさせるが、マッカーシー監督はこの作品を観ていなかったそう。
人間大の木の人形が恐怖をもたらす(『ザ・フィアー』)[c] A-Pix Entertainment/courtesy Everett Collection
「チャイルド・プレイ」シリーズや『クリープショー』(『クリープショー2/怨霊』(87)の一編に木彫りの先住民の人形が活躍するエピソードがある)といった古い人形が動きだす作品のファンだというマッカーシー監督は、「人間のサイズだったら…」という思いから、本作では人間大にしたのだそう。人形の原動力が“呪術”である点など「チャイルド・プレイ」からの影響が見受けられる。
人形ホラーの代表作といえば『チャイルド・プレイ』[c]United Artists/courtesy Everett Collection
『クリープショー』の一編に登場する“木箱”を彷彿とさせる一幕も[c] Warner Brothers/courtesy Everett Collection
