11月7日から3日間にわたって開催されている第21回山形国際ムービーフェスティバルで11月8日、U-NEXTで独占配信中の「IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー “それ”が見えたら、終わり。」の第1話(字幕版)が上映され、日本語吹替版でボブ・グレイ役の声を担当した下野紘が上映後の舞台挨拶に登壇した。
“ホラーの帝王”スティーヴン・キングの小説「IT」をニ部作で映画化した「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」シリーズのアンディ・ムスキエティ監督が製作総指揮とエピソード監督を務め、同シリーズの前日譚を描くドラマ。映画第1作で描かれた時代から27年前の1962年の田舎町デリーを舞台に、子どもたちがペニーワイズの恐怖に直面する姿を通し、町の秘密やペニーワイズ誕生の謎などが明らかにされていく。
大きな拍手に迎えられて登壇した下野は、壇上に置かれていたペニーワイズのシンボルともいえる赤い風船を見るや「風船が置かれていますね」と微笑む。山形を訪れるのは今回が初めてだと明かし、序盤から衝撃的なシーンが連続する第1話を観終えたばかりの観客を気遣いながら「どういうテンションでお話ししていくのが正解かなと、まだ迷子です」と挨拶した。
【写真を見る】登壇早々「風船が置かれてますね…」ペニーワイズの人間の姿ボブ・グレイ役を演じた下野紘「いちファンとしてうれしかった」
下野が声を担当したのは、ペニーワイズが人間になった時の姿であるボブ・グレイ役。かねてからホラー映画が好きで映画版の「IT/イット」シリーズのファンでもあるという下野は、役が決まった時の感想を訊かれると「いちファンとして本当にうれしかった」と述懐。「あれだけ子どもたちに襲いかかるピエロの、人間の姿ってなんなのだろうかと。ああいうふうになったきっかけが『ウェルカム・トゥ・デリー』で見られるのかなと」期待を寄せる。
すでに第1話と第2話の配信がスタートしているものの、まだ劇中にボブ・グレイは登場しておらず、下野は「実はまだ収録はしていないので…」と告白。「ですが吹替版でご覧になってお気づきの方もいると思いますが、第1話の冒頭の映画館のシーンで、子どもを捕まえようとする支配人の声もやっております。この作品で初めてセリフをしゃべるキャラクターとして出演しています」とアピールし、「支配人は(ペニーワイズと)全然関係ないですからね!」と笑いを誘った。
映画第1作の27年前を舞台に、デリーの町とペニーワイズの秘密に迫っていく[c]2025 WarnerMedia Direct Asia Pacific, LLC. All rights reserved. HBO Max and related elements are property of Home Box Office, Inc.
その後下野は、事前に集められた質問に回答していく。子どもの恐怖心に襲いかかるペニーワイズにちなみ、下野自身が子どもの頃に経験したトラウマ的体験があるかと訊かれると、「子どものころは無言電話がかかってきたことぐらいですかね」と前置きをし、「大人になってから、現実なのか夢なのかという経験をしたことはあります」と明かす。
「20歳ぐらいだったと思うのですが、真夏の夕方ぐらいに自転車を漕いで走っていたら歩道橋の階段のところに全身黒づくめの人が立っていたんです。すごく暑い日で、帽子まで被って暑くないのかなと見ていたら、カクンカクンと変な動きをしていて…。急いで横を通り抜けようとして、でも怖いと思いながらも好奇心が優って、その人の顔を横目で見たんです。そうしたらニヤっと笑っていて。通り過ぎてから振り返ったら、もう誰もいなかった。それがなんだったのか、いまだにわからないんです」。
ペニーワイズの吹替えでおなじみの多田野曜平の息づかいを再現するのか、別のものにしていくのか
また、アニメの収録と吹替えの収録での取り組み方の違いを訊かれると、「アニメは元々のキャラクターがいて、それに合わせて自分の呼吸でできる。でも吹替えでは、すでに別の方が自分と違う呼吸で話されていたりするので、それに合わせながらキャラクターに合った声色を探らなきゃいけない」と丁寧に回答。「最初は全然アニメと違うんだなと感じながら、吹替えって難しいと思っていました」と語る。
本作で演じるボブ・グレイ役の場合は、ペニーワイズというキャラクターが土台となっており、同役の吹替えは映画版でも本作でも多田野曜平が担当している。「なにを真似するのが正解なのか、どういうふうに作り上げていこうかと模索しているところです。皆さんのなかにペニーワイズのイメージもあると思いますし、それが人間になってどう出るのかという楽しみもある。多田野さんの息遣いを研究しなきゃいけないのか、違ったかたちになるのか、まだわからないです」と説明した。
「IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー “それ”が見えたら、終わり。」はU-NEXTにて独占配信中[c]2025 WarnerMedia Direct Asia Pacific, LLC. All rights reserved. HBO Max and related elements are property of Home Box Office, Inc.
最後に下野は「僕が演じるボブ・グレイがどの話数から登場するのかはわからないですが、ペニーワイズという怪物がどういうふうにして生まれてきたのか、きっとこのドラマでわかるのではないかと思っていますし、僕自身も期待しています。ホラー作品や『IT/イット』が好きな方、たくさんの人に観ていただけるように、僕も全力で演じていきますので、是非ともご覧ください」と呼びかけていた。
文/久保田 和馬
