バラエティ番組「ガチンコ!」(1999~2003年、TBS系)はどこがすごかったのか。社会学者の太田省一さんは「さまざまな企画は、感動ストーリーでありつつも、参加者たちの暴走を極端なまでに強調することに演出上最も力を入れていた。ドキュメントバラエティとしての完成度が非常に高かった」という――。(第4回)
※本稿は、太田省一『とんねるずvs村西とおる』(双葉社)の一部を再編集したものです。
「ガチンコ・ファイトクラブ」が大ヒットしたワケ
『電波少年』以降、ドキュメントバラエティの人気番組が相次いで誕生した。『ガチンコ!』(TBSテレビ系、1999年放送開始)は、そのひとつ。TOKIOの司会で素人参加による挑戦系・修業系の企画が人気を呼んだ。
「大検ハイスクール」では、不良を集めて短期間での大検合格を目指す。参加した不良は全員寮生活で、厳しく生活指導もおこなう。その責任者が大和龍門という武道家で、「お前らホームラン級のバカだな」「喧嘩するまでオレはここを動かねえからな」といった暴言、無茶ぶりを連発し、物議を醸した。
ただ反発していた不良たちも少しずつ改心して努力を重ね、最後は目標を達成して大和ともども喜びを分かち合う。そこに感動が生まれるというわけである。
「ラーメン道」も有名だろう。当時人気ラーメン店の店主だった佐野実が講師となり、一般参加者が店を出せるようになるまで修業させる。いつもポーカーフェイスで冷徹に指導する佐野のキャラクターの魅力もあって、人気企画になった。こちらもピリピリした雰囲気のなかでトラブルや挫折がありながらも、最後は参加者が目標を達成するまでの感動ストーリーがベースになっていた。
そしてこれらの企画の原点となったのが、「ガチンコ・ファイトクラブ」である。

写真=時事通信フォト
東京五輪/フラッグと共に登場したTOKIO=2019年3月30日、東京・丸の内
