2026年1月期のフジテレビ火9ドラマ『東京P.D. 警視庁広報2係』で、福士蒼汰が主演を務めることが発表された(※)。

福士蒼汰、1月期フジ火9ドラマ『東京P.D. 警視庁広報2係』で主演 緒形直人と初タッグに
福士蒼汰が主演を務める連続ドラマ『東京P.D. 警視庁広報2係が、2026年期のフジテレビ系火9ドラマ枠で放送されることが決定し…

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 本作は、警視庁の広報課を舞台に、報道対応や情報統制といった“見えない現場”を描く社会派ドラマ。かつて捜査一課への昇進を目前にしていた刑事・今泉麟太郎(福士蒼汰)は、過去の出来事をきっかけに広報課2係に異動となる。記者との応酬、世論操作、組織内の圧力――現場の正義と広報としての使命の狭間で揺れる男の物語だ。骨太なテーマと緻密な心理描写が交錯する本作は、福士が10年ぶりにフジテレビ主演を務める作品としても注目を集めている。

 王道ラブストーリーである『恋仲』(2015年/フジテレビ系)でゴールデンの連ドラ初主演にして月9初主演を務めた福士が今作で演じるのは、警察組織の広報課という異動先で葛藤する刑事。今泉は、捜査現場に未練を残しながらも、広報課として警察組織の“顔”を担う役職に就く人物であり、真実を伝えたいという理想と、組織を守るための現実の間で、彼の葛藤が描かれる。福士にとってこの役は、“感情を抑えながら信念を貫く人物”という新たな挑戦となる。かつて『恋仲』で見せたまっすぐな誠実さはそのままに、今回はそこに理性と矛盾を抱えた複雑な大人の姿を重ねる。彼が積み重ねてきた静かな演技の深度が、この作品でさらに磨かれることになるだろう。

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 『好きっていいなよ。』(2014年)、『ストロボエッジ』(2015年)、『お迎えデス。』(日本テレビ系/2016年)、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(2016年)と、かつては恋愛ドラマ・映画の第一線を牽引していた福士だが、現在は社会派作品にも数多く出演している。思えば、福士がラブコメ帝王と呼ばれなくなったのはいつ頃だっただろうか。『4分間のマリーゴールド』(2019年/TBS系)では生と死に向き合う救命士を演じ、『DIVER-特殊潜入班-』(2020年/カンテレ・フジテレビ系)では冷徹な潜入捜査官を熱演。そして『大奥』Season2(2023年/NHK総合)では、一人二役で、「お万の方」こと万里小路有功と、13代将軍・家定の正室・天璋院/胤篤を抑制の効いた芝居で高い評価を得た。

福士蒼汰

 さらに彼の進化を決定づけたのが海外経験である。『THE HEAD』シーズン2(2023年/Hulu)では全編英語の台詞に挑戦し、ドラマ『この恋、通訳できますか?』(2025年/Netflix)では韓国のスターであるキム・ソンホ、コ・ユンジョンらとともに主演を務め、国際キャストと肩を並べて演じた。2026年公開の台湾映画『花臉猫:修羅道』では、武術に秀でた警察官役でハン・ニンとともに主演を務めることが発表されており、アジアを横断するキャリアを着実に築いている。国内での人気を保ちながら海外で評価される俳優像を築いたことが、彼のキャリアの大きな転換点となっている。

 1993年生まれの福士蒼汰は、同世代の菅田将暉、竹内涼真と並び語られることが多い。だが、その歩み方はまったく異なる。菅田が“カメレオン俳優”として変化の幅を広げ、竹内が“王道ヒーロー”として真っ直ぐな熱を貫いてきたのに対し、福士は“国際派・知的本格派”という新しい道を選んだ。感情を爆発させるのではなく、静かな表情の中で心情を伝える演技。言葉を抑える代わりに、視線や呼吸で語る芝居。そんな表現が、グローバル時代の映像演技として自然に受け入れられている。『恋仲』や『好きっていいなよ』、『ストロボ・エッジ』など見せたラブコメを原点にしながら、そこへ知性と深みを加えることで、いまの落ち着きと品格を備えた俳優像へと自然に成長していったのだろう。

 『東京P.D. 警視庁広報2係』は、福士の15年にわたる軌跡の集大成と言える。ラブコメの時代に培った誠実さと、国際舞台で鍛えた柔軟さ。その両方を併せ持つ彼だからこそ描ける現実と理想のあいだの人間像がある。“ラブコメ帝王”という言葉は、もう過去のものだ。だが、その真っすぐな眼差しの奥にある信頼と品格こそ、彼の進化を支える根幹に違いない。新しいフィールドで見せる静かな熱に、再び注目が集まりそうだ。

参照
※ https://realsound.jp/movie/2025/11/post-2212023.html

■放送情報
『東京P.D. 警視庁広報2係』
フジテレビ系にて、2026年1月スタート 毎週火曜21:00~21:54放送
出演:福士蒼汰、緒形直人ほか
脚本(ライターズルーム方式):阿部沙耶佳、阿部凌大、島崎杜香
企画・原案・プロデュース:安永英樹(フジテレビ)
プロデューサー:中村亮太
演出:岩田和行、植田泰史ほか
制作:フジテレビ
制作著作:共同テレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/tokyopd/
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川崎龍也

川崎龍也
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