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Kling AIが10月29日、東京国際映画祭の公式マーケットイベント「TIFFCOM」に初登場した。TIFFCOMはアジア最大級の映像コンテンツ取引の場として知られ、世界各国の制作・配給関係者やクリエイターが集う国際的なプラットフォームである。
開催初日の夜、Kling AIは「NEXTGEN グローバル新映像創作コンテスト」の授賞式とラウンドテーブルフォーラムを実施した。アカデミー賞受賞者のティミー・イップ氏や韓国の映画監督リ・ファンギョン氏が登壇し、AIがもたらす映像制作の新たな可能性について議論を交わした。
同コンテストには世界122の国と地域から4600本以上の応募があり、最優秀映像賞1名、新鋭賞2名、オフィシャルセレクション7名が選出された。最優秀映像賞は中国の曹懿喆氏と魏筝氏による短編『Alzheimer』が受賞。アルツハイマー病患者の心の世界を、温かい色彩と真摯な語りで描き、観客の共感を呼んだ。
新鋭賞にはトルコのSefa Kocakalay氏による寓話的コメディ『BOZULMA』、イギリスのJosh Williams氏によるレーサーを題材とした『Ghost Lap』が選ばれた。いずれの作品もAIを活用し、人間の感情とテクノロジーの融合を試みている。
授賞式後のフォーラム「Filmmaking Reimagined: Next-Generation Storytelling with AI」では、受賞者たちがAIとの創作体験を語った。LEAMMONN氏は「インタラクティブな映画の未来」を構想し、Dawid Meller氏は「AIが中小規模チームにも映画制作の可能性を開く」と述べた。曹懿喆氏は「AIは共に創作する仲間のような存在」と語った。
ティミー・イップ氏は「AI映画においても、人間と世界のつながりを語ることが重要」と強調し、リ・ファンギョン氏も「AIと人間の共鳴が新しい芸術を生む」と述べた。Kling AIの運営責任者、曾雨珅氏は「このイベントはすべての物語と創作者に敬意を表する場だ」と語った。
Kling AIは9月から10月にかけ、釜山国際映画祭ACFMフォーラム、カンヌMIPCOM、東京TIFFCOMなど世界各地の映画イベントに参加。カンヌではPhantam Xと共同制作した『Echo Hunter: A Memory Too Far』を発表した。最新モデル「Kling AI 2.5 Turbo」を用いて高品質な映像表現を実現したとして注目を集めた。
現在、同社は世界で4500万人以上のクリエイターと2万社超の企業向けにサービスを展開している。今後もAI技術の高度化を進め、創作者がより自由に「良い物語を語る」ための環境づくりを続けていく構えだ。
