(CNN) タイで開催されるミス・ユニバースの出場者が、男性の運営責任者から叱責(しっせき)を受ける様子を捉えた動画が公開された。運営責任者について女性蔑視の疑惑が広く浮上するとともに、女性のエンパワーメント(力を高めること)やこのコンテストの意義について世界的な議論が巻き起こっている。

動画では大会を運営するナワット・イサラクライシット氏が、メキシコ代表のファティマ・ボッシュさん(25)を叱責する様子が映し出された。今年の第74回ミス・ユニバースは、今月下旬にバンコクで開催される。

動画は数十人の出場者と行われたコンテスト前のミー​​ティングを撮影したもので、4日にライブ配信されていた。この中でナワット氏は、ボッシュさんが開催国タイのプロモーション活動を十分に行っていないと非難している。

ナワット氏は、メキシコ代表のコンテスト事務局長がプロモーション活動を妨害するようボッシュさんに指示したと示唆。ボッシュさんがその指示に従うなら「愚か者」だと述べたとみられる。ナワット氏はこの発言を否定し、実際にはボッシュさんが損害を与えたことを非難したのだと主張している。

ボッシュさんが侮辱に反論すると、ナワット氏は「発言の機会は与えていない」と述べて、黙らせようとした。そして警備員を呼び、ボッシュさんを部屋から連れ出した。すると、他の出場者たちも立ち上がり、連帯を示すように退場した。これに対しナワット氏は、着席しなければ脱落させると脅した。

ナワット氏は後に出場者たちに公に謝罪したが、同氏の行動は世界中から即座に非難を浴びた。メキシコのシェインバウム大統領もこれを「攻撃的」な行為と表明。ボッシュさんは「尊厳」をもって対処したとの認識を示した。

ボッシュさんはTikTokに投稿した動画で、ナワット氏による侮辱を非難。「彼(ナワット氏)は私に『黙れ』など、色々なことを言った。世界はこれを知る必要があると思う。なぜなら私たちは力を持った女性であり、ここは私たちの声を届けるプラットフォームだから。誰も私たちの声を封じることはできない」と語った。

5日の式典で大会出場者らと登壇した運営責任者のナワット・イサラクライシット氏(中央)/Rungroj Yongrit/EPA/Shutterstock
5日の式典で大会出場者らと登壇した運営責任者のナワット・イサラクライシット氏(中央)/Rungroj Yongrit/EPA/Shutterstock

ミス・ユニバース・オーガニゼーション(MUO)のラウル・ロチャ会長もナワット氏の行為を批判し、今後の活動への参加を制限もしくは完全に禁止する意向を示した。

ナワット氏は5日にライブ配信された式典で謝罪。誰かを傷つける意図はなく、関係者全員を尊重していると説明した。その上で共に壇上にいたボッシュさんら数十人の参加者に対し、「大変申し訳ない」と述べた。

Leave A Reply
Exit mobile version