現代美術作家、杉本博司の展覧会「杉本博司 絶滅写真」が東京・竹橋の東京国立近代美術館にて2026年6月16日(火)から9月13日(日)まで開催される。

現代美術作家、杉本博司の原点“銀塩写真” 杉本博司 《陰影礼賛 98.0001》 1998年 タイプCプリント 149.2×119.4cm 杉本博司 《陰影礼賛 98.0001》 1998年 タイプCプリント 149.2×119.4cm
© Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi

「杉本博司 絶滅写真」は、現代美術の多彩な領域で活動する杉本博司の原点である銀塩写真に焦点を当てる写真展。杉本博司は、小田原文化財団 江之浦測候所をはじめとする建築や、舞台芸術の演出、そして書、陶芸、和歌、料理と多岐にわたる分野で活躍を見せるものの、その原点は銀塩写真にある。

杉本博司 《ワールド・トレード・センター》 1997年 ゼラチン・シルバー・プリント 149.2×119.4cm 杉本博司 《ワールド・トレード・センター》 1997年 ゼラチン・シルバー・プリント 149.2×119.4cm
© Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi

銀塩写真とは、専用の用紙に光を当てることで現像液と化学反応させ、画像を浮かび上がらせた写真のこと。写真技術がデジタル化した現代において、銀塩写真の技術は“絶滅が危惧される”ものといえる。

杉本博司 《スタイアライズド・スカルプチャー 120,[クリスチャン・ディオール、Bar、1947]》 2025年 ゼラチン・シルバー・プリント 149.2×119.4cm 杉本博司 《スタイアライズド・スカルプチャー 120,[クリスチャン・ディオール、Bar、1947]》 2025年 ゼラチン・シルバー・プリント 149.2×119.4cm
© Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi

「杉本博司 絶滅写真」では、1970年代後半に制作された杉本の初期作品から現在の作品に至るまで、約65点の銀塩写真を紹介。作品の数々からは“写真は真実を描くメディア”であると考える杉本博司の、確たるコンセプトと独自の表現世界を見て取ることができるだろう。なお、写真作品で構成された美術館での個展は、国内では2005年に森美術館で開催されて以来、約21年ぶりとなる。

初公開の新作が登場 杉本博司 《相模湾、江之浦》 2025年 ゼラチン・シルバー・プリント 119.4×149.2cm 杉本博司 《相模湾、江之浦》 2025年 ゼラチン・シルバー・プリント 119.4×149.2cm
© Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi

注目は、初公開となる新作の展示。杉本の初期三部作として知られる「ジオラマ」「劇場」「海景」の3つのシリーズをはじめ、「建築」、「スタイアライズド・スカルプチャー」などのシリーズから新作を紹介する。

杉本博司 《ポコット族》 2025年 ゼラチン・シルバー・プリント 119.4×185.4cm 杉本博司 《ポコット族》 2025年 ゼラチン・シルバー・プリント 119.4×185.4cm
© Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi

特に、杉本のデビュー作「ジオラマ」には《ポコット族》などいくつかの新作が加わることで、人類史をめぐるひとつのストーリーが浮かび上がる構成に。1976年のデビュー当時から密かに構想されてきた、世界観の全容が約半世紀後に披露されることとなる。

所蔵作品などサテライト展示も

東京国立近代美術館所蔵品ギャラリー3階では、同館所蔵の杉本作品を全点サテライト展示。あわせて、杉本が写真撮影時および暗室での作業工程の覚書を1970年代半ばより記録してきた未公開資料「スギモトノート」も展示される。

【詳細】
杉本博司 絶滅写真
会期:2026年6月16日(火)~9月13日(日)
開館時間:10:00~17:00(金曜・土曜は10:00~20:00)
会場:東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
住所:東京都千代田区北の丸公園3-1
※観覧料、休館日、イベント情報等は、詳細が決まり次第、展覧会公式サイト等にて告知

【問い合わせ先】
ハローダイヤル
TEL:050-5541-8600

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