『大阪・関西万博』閉幕の10月13日、大阪メトロ「夢洲駅」の様子(Lmaga.jp撮影)
「阿部寛パビリオン」として、大阪メトロ「夢洲駅」で親しまれていた「象印マホービン」(本社:大阪市北区)の大型広告。なぜ、この場所への広告出稿を決めたのだろうか?『大阪・関西万博』に逆風が吹く時期の決断には、必ず「多くの反響が得られる」という同社の確信があった。
■ 大阪のオフィス街に、新「阿部寛パビリオン」!?
俳優の阿部寛が、茶碗を持って微笑む「象印マホービン」の広告。地下鉄から万博会場へ向かう、エスカレーター横に掲出されていたため、「夢洲駅」を利用した2100万人以上(※)が目にした。次第に、SNSでは「阿部寛パビリオン」と呼ばれ始め、待ち合わせの目印としても一役買っていた。
大型広告が撤去された後の「夢洲駅」(10月27日/Lmaga.jp撮影)
閉幕後、10月24日に「夢洲駅」から広告が撤去されると、SNSでは「万博終わったんやなぁ」と悲しみの声が広がった。そんななか、大阪・天満の「象印マホービン」本社別館には、「夢洲駅」と同じ広告が掲出。新たな「阿部寛パビリオン」として注目を集めている。
「象印マホービン」(大阪市北区)本社別館に掲出されている阿部寛の広告(11月6日/Lmaga.jp撮影)
(※)「2025年日本国際博覧会協会」が10月23日発表の「大阪・関西万博 来場者輸送実績」によると、73.53%が鉄道を利用。累計来場者数2901万7924人から計算すると、2133万6880人が「夢洲駅」を利用した計算になる。
■ 象印マホービンに訊いた「不安はありましたが…」
では、なぜ「夢洲駅」へ大型広告を出稿することになったのだろうか? 批判的な声も多かった『大阪・関西万博』開幕前の決断は、勇気のいるものだったはず。「象印マホービン」の広報担当・美馬本さんに話を伺った。
『大阪・関西万博』へ向かう人で混雑する「夢洲駅」の様子(9月5日・10時頃/Lmaga.jp撮影)
──なぜ「夢洲駅」への広告出稿を決めたのでしょうか?
今回の「夢洲駅」広告は、サイズと場所的にとてもインパクトがあります。万博を楽しみに来場される多くのお客さまにとっては、改札を出て、目線の先に最初に出てくるメッセージとなるため、きっとポジティブに受け取っていただけるだろうと感じていました。お客さまのワクワク感や高揚感を、さらに高められるような存在になれたらという思いから、今回の出稿に至りました。
出稿決定時には、万博自体の不透明な部分もあり不安はありましたが、開幕すればきっと多くのお客さまで盛り上がると感じていました。
さらに、俳優の阿部寛さんは「アジア・フィルム・アワード」の受賞など、日本国内のみならず、国際的にも高い知名度と人気を誇っています。海外からの来場者からも好反応を得られると考えました。
阿部寛さんの存在感と「象印。おいしいごはんの印です。」という強いメッセージを組み合わせることで、多くの反響を得られると確信していました。
「象印マホービン」(大阪市北区)本社ビルに掲出されている阿部寛の広告(11月6日/Lmaga.jp撮影)
──「夢洲駅」が「阿部寛パビリオン」と呼ばれていたことについて、どう思っていますか?
多くの方に「夢洲駅」の弊社広告にご注目いただき、ここまで話題にしていただけたことは、想像以上の反響であり、非常に嬉しく思っております。この広告をきっかけに、阿部寛さんを通して、「象印」というブランドが少しでも皆さまの記憶に残ってくださったら幸いです。
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「象印マホービン」(大阪市北区)本社ビルの外観(11月6日/Lmaga.jp撮影)
「夢洲駅」と同じ広告が掲出されている「象印マホービン」本社別館は、大阪メトロ「南森町駅」または「天満橋駅」より徒歩10分。すぐそばの本社には、入場無料の「まほうびん記念館」が併設されている(平日のみ開館・事前予約が必要)。
「象印マホービン」(大阪市北区)本社に併設されている「まほうびん記念館」。「昭和レトロ」な炊飯器やポットがずらり(11月6日/Lmaga.jp撮影)
取材・文・写真/Lmaga.jp編集部
