鬼才・小池博史の人気舞台を映像化した映画版『WE‐入口と世界の出口』(11月29日公開)より、予告編映像が初解禁された。
【動画】映画版『WE‐入口と世界の出口』予告編
2023年に初演され、翌年2024年には早くも再上演され多くの観客を熱狂させた鬼才・小池博史の人気舞台「WE-入口と世界の出口」。
物語の舞台は、上級、中級、下級国民に分かれるようになった2073年の日本。そこは、表面上では平等を謳うが、誰もが監視し合う社会だった。そして、そんな社会のなかで治外法権的な場所として唯一残っていたスペース、“スペースE”。人々がこの出口の見えない“スペースE”に逃げ込み、逃げ込んだはずのその中で徐々に追い込まれる。互いが互いを幻惑と嘘の記憶によって静かに追い込み、そして追い込まれていく姿を、映像、光、音などさまざまな実験的手法を駆使しながら描き出していく。
80年代から現在まで世界を股にかけて舞台芸術をクリエイトし続け、今年10月11日から東京・中野ZERO大ホールで上演された大作『HINOTORI 火の鳥・海の神篇』でちょうど100作目の創作となった鬼才・小池博史。
そんな小池の一つの到達点でもあるこの舞台作品の映像化について、監督・脚本・振付を務めた小池は「僕は基本的に舞台・映像・音楽・美術などの区分を設けず、『空間』要素を最大限活かしつつ可能性を追い求めてきました。そもそもジャンル分け自体が自在さを阻害する要因でもある。ジャンルを否定はしないが、さまざまな越境的行為の中に芸術的本質の大きな要素があると感じています。これは映画であり舞台です。芸術の可能性を追い求めたひとつの証が『WE』という映画です」と自信をうかがわせるコメント。
ライブ映像、映画、美術、ガラクタ音楽、古典音楽、ラップ、ヴォイスパフォーマンスやダンス、演劇など多様な要素が縦横に絡み合うオルタナティブな舞台表現を、映画表現として再構築した本作。
出演は、小池博史が中心となって結成された伝説的なダンス・カンパニーであるパパ・タラフマラ(1982~2012)のほぼ全作にメインパフォーマー・舞台美術家として参加した松島誠、能役者・小鼓奏者でシルクロード能楽会代表の今井尋也、バレエをルーツに多種多様な舞台や映像作品に出演する福島梓など。
音楽は、小池作品常連で、NHK教育のテレビ番組『にほんごであそぼ』『天才ビットくん』『みんなのうた』のほか、劇場版ドラえもんの主題歌・挿入歌の作詞作曲などで知られる下町兄弟が奏でる。岡本太郎現代美術賞受賞の美術家・山上渡が手掛ける美術にも注目だ。
予告編映像は、ステージから撮影する演者、ステージ上に設置されたジオラマによる幻惑世界、ステージから飛び出した演者が映し出されるところから始まる。見る者が見られ、撮る者がまた撮られ、舞台という固定された場でしか起き得ない、相互作用による鏡面世界。ダンス、撮影、演奏、全てがリアルタイムに進行する熱狂のライブ芸術が垣間見える予告編となっている。
映画版『WE‐入口と世界の出口』は、11月29日よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。
