
創立50周年を迎えた「ジョルジオ アルマーニ」が、コレクションを体系的にアーカイブ・管理し、ブランドのヘリテージを継承しながら過去と未来を結ぶプロジェクト「ARMANI/Archivio(アルマーニ/アルキビオ)」をローンチ。その一環として、90年代から2000年代初期を中心とした約30体のアーカイブ作品を展示するエキシビションを、アルマーニ/銀座タワーにて11月16日(日)まで開催している。
「ARMANI/Archivio」は、ジョルジオ・アルマーニの創作活動を体系的に保存・再解釈することを目的としたアーカイブプロジェクト。衣服やスケッチ、ルックブック、広告ビジュアルなど、多様な資料をデジタル化し、時代やテーマを横断して閲覧できる“生きた知識体系”を構築している。

アーカイブの対象となるのは、主にランウェイピースで、テクニカル要素・文化的要素・ブランドコードの三つの軸に基づいて選定。このアーカイブは、過去の遺産を保存するにとどまらず、現代や未来のクリエイター、研究者たちに新たな学びとインスピレーションをもたらす文化的資源として位置づけられている。


現在、アルマーニ/銀座タワーで開催されている特別展は、2000年にニューヨークのグッゲンハイム美術館で開催されたアルマーニ回顧展から着想を得たもの。時系列ではなく、「色(グレージュの濃淡)」「フォルム(アイコンの継承)」「素材(レイヤリング)」という三つの要素から構成されており、各ルックが独立した物語を持ちながら、ブランドの長期的なテーマを浮かび上がらせている。

メンズウェアでは柔らかなジャケット、ウィメンズウェアでは繊細な刺繍(ししゅう)が印象的。シンプルなラインの美しさやバランスのとれた比率が、アルマーニが追求する本質、エレガンス、そして控えめな美を体現している。

また、会場の壁面に設けられたムードボードにはエックス線写真が使用され、衣服の構造や素材のレイヤリングを可視化。創造と保存の両面からブランドの姿勢を象徴している。設立当初から一貫した美学と哲学を貫いてきた「ジョルジオ アルマーニ」の軌跡を、ぜひ体感してほしい。
text: Tomoe Tamura
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