秋の深まりとともに、読書熱がふつふつと再熱しています。
ようやく秋らしい爽やかな陽気になってまいりました。外のお出かけももちろん楽しい季節ですが、予定のない休日は好きなだけ読書に没頭するのが最近の楽しみです。
足元の愛猫を愛でつつ読書。なーんていい休日なんでしょう。
さて、今回は2026年に映画化が決定している作品を中心に最近読んだ本5冊の読書感想をお伝えしてみたいと思います。
原作が先か?映画が先か??
さて「映画」と「原作」どっちが先か?!について。わが家では気になる作品が映画化されるとなると、しばしば子どもたちとこの話題について討論がなされます。
結論としては(まぁ個人の好みでいいのですけれどもね)、それぞれ言い分があり、「先に映画派」と「先に原作派」に分かれるわが家。なかなか毎回白熱する話題なのです。

ちなみにわたしは「原作先取り派」です。
何と言っても原作の情報量は圧倒的。まずは原作を読み、隅々まで作品の世界を楽しみたい。そして登場人物の背景や細かな心情をふまえながら読みすすめ、ある程度登場人物たちについては予習をしてから映画を観たい派です。
原作を読みながら勝手に想像する世界観や、脳内キャスティングなどが、映像化されることでいい意味で大きく覆されるのもまた映画の面白さ、と個人的には思います。
ちなみに気に入った作品については原作→映画→原作(読み返し)のパターンで振り返るのも新たな気付きがありまた楽しい♡
そして原作、映画化のどちらかにしか描かれないシーンや描写もありますよね。何気ない目線や表情で様々な感情を表現する俳優さんたちってすごい!と思いますし、改めて原作を読み返すことで、こういう気持ちが込められていたのか!と気づくことも。
まずは最近観た映画の中から、特に印象的だった原作本をご紹介します。
さて、ここからは2026年公開予定の作品の中から読んだ原作をいくつかご紹介します。
1・『シーソーモンスター』 伊坂幸太郎
2019年刊行作品ですが、オリヴィア・ミルチ(オーシャンズ8で脚本担当)の脚本、アン・ハサウェイとサルマ・ハエック主演で実写映画化が決定しているそうです。間違いなく面白そう~!
日々の暮らしの中で静かに勃発する「嫁姑紛争」にも目が離せません。こんなお姑さん、いや~。
原作の舞台はバブル期の昭和後期の日本。元情報員(もちろん家族にはナイショ)の妻と姑との嫁姑争いが思いもよらない方向に進んでいく……という作品。伊坂ワールド炸裂のとっても面白い世界観、一気に読み終えました。
海外での映画化ではどのような設定になるのでしょう、今から公開が楽しみな作品です。
2・『終点のあの子』 柚木麻子
こちらも2012年刊行、10年以上前の作品です。
舞台は都内のお嬢様高校、そこに通う女子高生たちの物語です。今の時代とはまた少し異なる時代背景を感じながらも、彼女たちの繊細で多感な年頃が故に、日々の生活の中のささやかな出来事に気持ちが揺さぶられる、その丁寧な描写は自分自身や遠い昔に関わってきた誰かと重なる部分もあり、読み終えた後は何とも言えない気持ちになりました。

こちらはすでに映画撮影を終え、海外での映画祭の出品が決まっているそうで公式サイトも立ち上がっています。みんなそれぞれ、どこか残酷さと儚さを抱えている登場人物たちがどのように映像化されているのか、今から公開が楽しみな作品です。
個人的には不器用ながらも愛らしい一面を覗かせていた「恭子」役の南琴奈さんに注目しています。最近話題作の出演が続く、これからの活躍が楽しみな俳優さんです。
3・『ほどなく、お別れです』 長月天音
シリーズ化され、累計40万部突破している長月天音さんのデビュー作品。
原作は、就活に悩む女子大生がアルバイト先の葬儀社で働く中で出会うさまざまな人たちとの関りを経て、自分の未来に少しずつ向き合っていく物語。

ご主人を看取ったことがきっかけで書かれたという本作品を読む中で、誰しもがいつか向き合う、大切な人との別れについて考えるきっかけにもなりました。
この年になるとわたし自身も何度か大切な人を見送ってきていますが、大好きだった祖父母たちのお葬式のことはよく覚えていますし、今でも時々心の中で話しかけることも。人生の中でもお葬式って特別意味のある儀式だからこそ、仕事として関わる人々の想いに共感するところもたくさんありました。
シリーズ化された他の作品もぜひ読んでみたいと思っています。
映画のキャストは浜辺美波さんと目黒連さん。ちょっと特殊な能力を持つ主人公の感覚や想いをどう表現されるのか、公開を楽しみに待ちたい作品です。
4・『すべて真夜中の恋人たち』 川上未映子
こちらは2011年刊行の川上未映子さんの作品。長きにわたり、国内だけでなく海外での評価も高く、アメリカタイム誌が選ぶ「2022年の必読書100冊」にも選出されたことも話題になりました。

すでにキャスティングが発表されていて、(綺麗な髪と肌をもつ)孤独で不器用な主人公に岸井ゆきのさん、そして(いつも同じ格好で同じ喫茶店に現れる)朴訥とした58歳の男性に浅野忠信さんの主演が決まっているそう。
原作はずいぶん前に読んでいましたが、今回久しぶりに(脳内キャスティングしながら)再読しました。
フリー校閲という仕事をしつつ、極力人との関わりを避けてきた孤独な女性が、年上の物理教師と出会い、不器用ながらも関わる中で淡い恋心を抱き、そしてまたゆっくりと忘れていく物語。岸井さんといい浅野さんといい、ハマリ役!!
5・『ALL GREENS 万事快調』波木銅
21歳現役大学生によるデビュー作にして松本清張賞受賞作品。来春公開を控えた作品です。
舞台は茨城県の田舎町。自分たちの境遇に嘆く女子高生3人が、田舎を抜け出すために一攫千金を夢みて、ふとしたことをきっかけに大麻栽培に手を出し……という物語。
危なっかしいほどに実直に全力疾走する彼女たちの姿は実にエネルギッシュ。おいおい、そっちへ行っちゃうのかいーと思わず引き止めたくなる場面が何度も出てきますが、果たして映画ではどのように描かれているのでしょうか。
予告編もみましたが、南沙良さん、ぶっ飛んでます!キャプションは「不適切な青春が始まる」。言い得て妙だな、と読み終えて納得です。
この日の読書のお供は「かぼちゃのチーズケーキ」。芋栗カボチャスイーツが美味しい季節ですね。
ちなみに今期わたし的ヒット作品はこれ。『この夏の星をみる』 辻村深月
辻村さんの作品は結構読んでいるほうなのですが、本当にどの作品も登場人物が活き活きと描かれ、また深い心理描写に気が付くとぐいぐい作品の世界に惹きこまれて没頭してしまうこともしばしば。
こちらの作品はコロナ渦を舞台にした、日本の主に3拠点に住む中高生の部活動を軸に綴った物語。ひと言でいえば青春ものになるのでしょうが、子どもたちの想いだけでなく、そこに関わる大人たちの眼差しにも温かさと熱量があり、何度も涙腺が緩みながら完読しました。
先が気になり、職場でも休憩時間中に読み進めた1冊です。面白かったなー。
原作読破後に映画も見てきました!
先日都内のミニシアターの最終公開日に滑り込み、無事に見ることが出来ました。あっぶなーい。
すごく良かったです。本の中の登場人物たちが圧倒的な瑞々さをもって描かれ、若者たちが好きなことに夢中になる姿は愛おしく、尊ささえ感じました。そしてどんな状況下においても、時代や環境のせいにせず、もがきながらも逞しくひたすら前を向く姿に勇気をたくさんもらいました。
映画化される作品を再び読み返すことで見えてくる、新たな景色
どの作品にも言えることですが、映像化されることで途端に原作の世界は色彩と温度感を帯び、また新たな世界を広げてくれます。

また劇中歌などによって、より印象的なシーンとして際立つ場面を原作に戻って読み返してみることで、まったく気づかなかった景色が見えることも。俳優さんに魅せられ、脇役と思っていた登場人物にフォーカスして読み返すことで、ちがう目線で物語が動きだしたり。
一人の作家の方が生み出した作品が、多くの人たちの力によって映画化され、原作の世界観を壊すことなく別の新たな魅力を備え、見る人の心を揺さぶるって、本当に素晴らしいケミストリー。
これからもたくさんの素敵な本、映画に出会えますように(そして読書も映画も記憶が新鮮なうちに、感想を記録する習慣をつけたいと思います!)

clara
48歳 / 埼玉県 主婦
夫と2人の子ども、猫(♂)との暮らし。自分に必要なものをその時々で取捨選択し、日々心穏やかに過ごせるよう心がけています。ひと手間かかっても五感を満たしてくれるもの、丁寧に作られたものを好みます。
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