11月2日、開催中の第38回東京国際映画祭(TIFF)のアニメーション部門正式招待作品の映画『トリツカレ男』(11月7日公開)の公式上映が行われ、舞台挨拶に高橋渉監督、柿澤勇人が登壇した。
【写真を見る】演じたネズミのシエロのぬいぐるみを手にフォトセッション!柿澤勇人はシエロのしっぽで遊ぶ場面も
本作は、いしいしんじの同名小説をアニメーションを映画化したミュージカル仕立てのラブストーリー。なにかに夢中になるとほかのことが目に入らなくなってしまい、街の人々から「トリツカレ男」と呼ばれているジュゼッペが、公園で風船売りをしているペチカにひと目惚れ。今度は彼女に夢中になる。勇気を出してペチカに話しかけたジュゼッペだったが、彼女が心に悲しみを抱えていることを知る。ジュゼッペは大好きなペチカのために相棒シエロと共に、彼女の心配事をこっそりと解決していく。主人公のジュゼッペ役をAぇ! groupの佐野晶哉、ペチカ役を上白石萌歌、シエロ役を柿澤が演じ、それぞれ劇中歌の歌唱も担当している。
アニメーション映画の声優は初めてだという柿澤は「これはやりたい!と思いました」とオファー時の心境を語るも、「ただ、ネズミです、と…」と少し吹き出す。以前、ショートムービーでオペラグラス役をやったことに触れ、「なんで人間の役ができないんだろう…と思いましたが、あたたかい登場人物ばかり。しかもミュージカルですてきな音楽もあるので、絶対やりたいと思いました」と改めて、本作への参加を決めた時の心境を明かした。
柿澤のキャスティング理由を語った高橋渉監督
柿澤のキャスティング理由について高橋監督は、「ジュゼッペは好き勝手に動き回るので、(相棒のシエロは)しっかりした方にやっていただければと思いました。柿澤さんはミュージカル経験も豊富なので」と説明し、ネズミをやってほしいというよりもジュゼッペの親友をやってほしいという想いがあったそうで、「相棒感のある感じを出してくれると思ったので(参加が決まって)とてもうれしかったです」と笑顔で語った。
アフレコを振り返り「ネズミの正解がわからない。会話もあるけれど、チューチュー言っている。チューチューを100回以上録りました」と明かした柿澤に対し、高橋監督は「シエロ単独で映画ができそうなくらい(チューチューの)ストックがあります」とチューチューというネズミの言葉のバリエーションを豊富に収録できたとうれしそうに話した。
主人公ジュゼッペの相棒、ネズミのシエロの声を担当した柿澤勇人
ジュゼッペにについては「自分勝手に歌い踊って、勝手に好きになって、その女の子を追いかける。迷惑極まりないところがあります」と解説。でも愛嬌があると魅力に触れた高橋監督は「自分のためというより、なにかのため、誰かのために動いているさまがとても魅力に見えるキャラクターです」とニッコリ。「すごくピュアで自分の気持ちのまま、本能のまま、素直に人生を生きているヤツだと思いました」と感想を伝えた柿澤は、声を担当した佐野について「音楽の技術的なところも含めて、人間的なところもピュアでチャーミングで方なのでピッタリ」と絶賛していた。
フォトセッション前には監督の肩にシエロをのせてニコニコの2人
最後の挨拶で高橋監督は「とてもチャーミングな映画になりました」とおすすめし、「柿澤さんがチューチューチューチュー言ってますが、映画を観終わるころにはなにを言っているのかわかるようになっているところがあると思います。その変化も楽しんでほしいです」と呼びかけた。「誰かが誰かを思う、幸せを思う、健康を思う。この時代、なかなか人が人を思うということが難しくなっていると個人的には思います」と自身の思いを語った柿澤は「あたたかいものが心のなか、胸のなかに残ってくれたらうれしいです」と思いを伝え、上映前の舞台挨拶を締めくくった。
取材・文/タナカシノブ
※高橋渉監督の「高」は「はしご高」が正式表記





