日本経済新聞社と日本経済研究センター共催の2025年度・第68回「日経・経済図書文化賞」において、日本経済新聞出版より刊行した大湾秀雄(早稲田大学政治経済学術院教授)著『男女賃金格差の経済学』が受賞しました。
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男女賃金格差の経済学
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『男女賃金格差の経済学』大湾秀雄著/日本経済新聞出版/2200円(税込み)(写真:Witsanu/stock.adobe.com)
男女の賃金の平均を単純に比較するだけでは、実態も改善度も分からない。日本企業の実情や男女の行動特性までふまえ、真の格差をいかに測り、改善するか、最新の経済学の実装の仕方を解説する。
2023年のノーベル経済学賞は、ハーバード大学で労働市場における男女格差を長年研究してきたクラウディア・ゴールディン教授が受賞した。また、日本でも企業に男女賃金差の開示が義務化されるなど、男女格差の改善への取組みが注目されている。
ただ、年齢や職種、雇用形態など従業員の属性を考慮しない男女差比較は、実態が分からず、企業が改善努力しても現れにくい。それだけでなく、ジェンダーバイアスや統計的差別といった問題、自己アピールの仕方などの男女の行動特性、男性だけの集まりに情報が偏在する「オールド・ボーイ・ネットワーク」の存在など取り組むべき課題は多い。
人事の経済学の第一人者で、企業と共同研究し実態を分析してきた著者が、経済学研究で明らかになった様々な知見や手法を紹介し、企業の取り組みに活かしやすいように解説する。

<著者>
大湾秀雄(おおわん・ひでお)
早稲田大学政治経済学術院教授
1964年生まれ。東京大学理学部卒業。(株)野村総合研究所勤務を経て、留学。コロンビア大学経済学修士、スタンフォード大学経営大学院博士(Ph.D.in Business)。ワシントン大学オーリン経営大学院助教授、青山学院大学国際マネジメント研究科教授、東京大学社会科学研究所教授を経て、2018年から現職。(独)経済産業研究所ファカルティフェロー兼任。東京大学エコノミックコンサルティング株式会社アドバイザー。ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会理事。専門は、人事経済学、組織経済学、および労働経済学。Journal of Political Economy, Journal of Labor Economics, Management Scienceなどに論文多数。著書に、『日本の人事を科学する』(2017年、日本経済新聞出版)など。
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【日経・経済図書文化賞とは】
日経・経済図書文化賞は、経済および経営・会計分野の学問、知識の向上に貢献するとともに、その一般普及・応用に寄与することを目的として、1958年に設立された。毎年5点前後の優れた書籍に対して著者および出版社を表彰する。日本経済新聞社と日本経済研究センターの共催。社会科学分野で最も声望の高い出版賞の1つ。前年7月1日から当年6月30日までに刊行された日本語の経済・経営図書、または前年1月1日から同年末までに刊行の日本人著者による外国語図書が対象。
