単身赴任の夫から離婚届と隠し子の写真→息子「母さんやったな!」→即提出→家売って1億の新居へw

ある日、軒から風所が届く。中にはサ院 済みの離婚届けと子供の写真が入っていた 。私はすぐに軒や夜の隠しだと分かった。 曲がりなりにもつまに隠しの写真を送る なんて本当に愚かな男だ。母さんやったな 。うん。即提出よ。 私はすぐに離婚届けに自分のサインを記入 し、とやと一緒に役所へ行って10秒で 提出した さ。これでもう赤の谷。あに地獄に落ちて もらいましょう。私の人の親とも思えない 独絶にとやは大きく頷いた。家に帰って 荷物をまとめる。これから母のいる実家へ 行くためだ。 かつて私が憧れた夜は特の昔にいくなっていた。私は瀬く子 [音楽] 36 歳の主婦だ。夜と小学生の息子の友屋と暮らし。夜は高校時代の同級生で [音楽] 12年前の同窓会で再開した。 高校の時はほとんど話したことはなかった が、私は当時から彼の存在をよく知ってい た。学校でも目立つ存在で常にスクール カーストの上位だったけや。地味で 大なしく印象の薄い私とは住む世界が違っ たように思う。しかし私は影ながらに憧れ を持っていたのだ。 大学を卒業し、社会人として少し慣れてき た時に同窓会は行われた。 通常であれば私のような地味な人間には 同窓会など声もかからないだろう。だが 主催したのがたまたま少し仲良くしていた 学みであったため連絡が来たのだ。その時 もしかしたら軒や夜に会えるかもしれない という淡い期待があったのは確かである。 暴走会当日。私はすぐに軒やの姿を見つけ た。当時と変わらない眩しさに直視でき なかったのを覚えている。一言でも話が できれば上だと思っていたのだが、予想と は裏腹にけ夜は私たちの座るテーブルに やってきた。あ、白川さんだよね。 めっちゃ赤抜けて一瞬わかんなかったよ。 け夜はそう言って私に笑いかけてくれたの だ。かつて遠くから見ているだけだった 賢夜の顔が今は目の前にある。それだけで 私は天にも舞い上がる気持ちだった。私が 剣やに憧れを持っていたことを知っている まな気を聞かせて私と剣やが2人で話せる ようにお前立てしてくれた。 みんながそれぞれ同窓会を楽しむ中、店の カウンター席で私は剣やと話をする。する と意外にも剣やは当時の私のことを知って いてくれたのだ。 白川さんってさ、大きい家のお嬢さんって 感じだったよね。俺みたいなやとは確式が 違う感じがしてたんだよ。そやご両親は 元気なの?ちょうどその頃父は寿病悪化し てニュータ院を繰り返しており、私も母を 気遣う日々を過ごしていた。そのことを 話すとけ夜はものすごく心配そうな顔で 大変なことを聞いちゃってごめんね。俺で よかったら力になるからと言って頭を撫で てくれた。け夜と話せるだけでもおの字 だったのに優しくされた私は涙が出そうな ほど胸がいっぱいになった。 同窓会が終わった後、まなみを通じて 軒や夜から連絡をもらい2人で会うように 学みに冷やかされながらも何度もデートを 重ねた。深夜のコミュニケーション能力の 高さには驚かされるものがあり、すぐに私 の家族とも仲良くなり、病少の父に至って は本当の息子のように可愛がった。 賢夜の両親は海外にいてなかなか会えない らしい。だからこそけ夜も私の父を本当の 父親のように慕ってくれていた。 そしてト拍病子に結婚が決まり、入籍の 翌年には長男のとやが生まれる。父がまだ 元気なうちに孫を見せられたことを嬉しく 思った。世の中のどれくらいの人が初恋い の人と結ばれることができるのだろう。私 は人生で唯一愛した剣やと結婚できたこと にこの上ない幸せを感じていた。 いく子の人生俺に半分ちょうだい。 それが剣のプロポーズの言葉だった。けは その言葉の通り私の人生の半分を かっさらおうとしていたのである。 いく子久しぶり。その後どけとは仲良く やってる。 数年ぶりにまなみからそんな電話が来た。 私が剣と結婚した後もしばらくは連絡を 取っていたが、まなみが仕事で他に行って から音信が途えていたのだ。それなりにね 、息子も6年生になったのよ。 そう伝えると電話の向こうの学は少し安度 したように息をついた。ならよかった。 ちょっと心配してたの。高校時代に1個子 が剣やに憧れてたとはいえ、無理やり くっつけちゃったかなって。実はね、あの 同窓会は私が賢夜に頼まれて開催したもの だったの。け夜がいく子に会いたいって 言うからさ、私も嬉しくなっちゃって。 まなみの言葉に私は少なからず同揺する。 そんな話は初耳だったからだ。でも仲良く やってるなら安心した。また今度ご飯でも 食べましょうね。 電話を終えて私は少しだけ当時を思い出す 。剣との再会からもう12年が経つのだと 時の流れの速さを感じた。あの時に授かっ たとはもう11歳だ。まなみにはそれなり にと伝えたが、私の中で剣に対する思いは あの頃と大きく変わっている。結婚した後 の軒夜は悪い意味で高校時代と何も変わっ ていなかったからだ。 憧れの剣と再開して2人で会うようになっ た頃はまるで夢 だった。地味な性格言え、それまでに男性 と交際をしたことがない私は剣を中心に 生活をするようになる。学生時代に驚こう とモてていたであろう剣はとにかく自己 中心的でわがままだった。結婚前は 優しかったが結婚後の軒夜はまるで王様。 釣った魚に餌をやらないとはよく言った ものだ。 俺がこの家のア字だから俺の言うことは 絶対だからな。結婚ってそういうもんだ から。 軒やはいつも勝ち誇ったような顔でそう 言っていた。そんな姿は学生時代にもよく 見たような気がする。常にカーストの トップにいた軒夜は何人もの射程を従えて 校内を歩いていた。当時はそんな権夜に 憧れていたが、それも学生だからかっこ よく見えたのだと今なら分かる。しかし 男性免疫の低い私は言われるがままに剣や のわがままを受け入れてしまった。とやが 生まれても賢夜は育児には全く参加しない 。だから当然とやも剣には懐つかない。 仕事を理由に家を開けがちだった剣は物心 ついたばかりのと屋にしてみれば時々家に やってくる男の人といったところだろう。 気が向いた時に抱っこをしようものならば とやは大鳴きをして私にすがってきた。 ち可愛く ないガキだな。 それからというもの、軒はとやに関心を 示さず、運動会も参日も参加することは なかった。私がとやの行事で休日の軒の 要求を満たすことができない時は 俺とそのガキどっちが大事なんだと言って ダをこねる。困った時の解決策はお金だっ た。3万ちょい。 したら留番でも何でもしてやれや。 私がとやの行事を外せないことを分かって無信するのだ。背に腹は変えられず私は [音楽] 3 を渡して手を打つしかなかった。当然行事が終わって帰宅しても夜やが留守番をしていることはない。昼間から飲みに行っているのか帰ってくるのは翌日の朝だ。 [音楽] [音楽] 文句を言えばまた余計な打だをこねられる だけなので私は目認していた。 そして何でも思い通りにならないと気が 済まない剣やは仕事も長くは続かない。私 と結婚した時はたまたま大手企業に務めて いた。しかし営業職であったためうまく いかないことがあるとすぐに周りのせいに して暴れるらしい。同士も同僚も手がつけ られず結局結婚後2ヶ月でその会社をやめ てしまった。 その後は様々な職を点々として定食につい ていない。 俺の価値を最大限に活かせる仕事を探し てるだけだ。 常に充電期間といい当然のように生活費を 家に入れることもなかった。剣夜にして みればこの12年はさぞ快適だっただろう 。仕事をしようがしまいが住むところが あり、仕事をすればお金は全て自分で使う 。食事は自動で出てくるし、お金が なくなれば私に無信すれば良いのだから。 私は想像した結婚と大きく管理している この生活にため息しか出なかった。 私にはもう1点軒やの言動で理解できない ことがある。それはやたらと父の容弟を気 にするところだ。 親父さんまだ元気なの?次の入院はいつ? 心配して聞いているというよりはまるで父 の容態が悪くなるのを望んでいるかのよう な口ぶりである。父はニュー隊員こそ 繰り返すものの病院での治療が効いている らしく、最初に入院してから10年以上 経った今でも比較的元気に過ごせている。 時々自身が経営する会社にも顔が出せる ほど調子がいい時もあるくらいだ。 私が家で過ごせるほど回復している胸を 伝えるとはあ。兄弟悪くなったら教えてと つまらなそうに返してくる。父はけやを とても可愛がっている。結婚前はけやも そんな父の気持ちに答えるように頻繁に顔 を見せに行っていた。しかし結婚してから は容大を気にするばかりであまり私の実家 にも寄りつかない。それなのに 俺は親父さんの息子同然だよな。 俺も本当の父親だと思ってる。間違いない などとゴ護する時もある。彼の理解しがい 言動に首をひねるばかりだ。 その日の夜は珍しく軒やが家にいた。 そして君が悪いくらい上期限である。 私がどうしたのかを聞くよりも先に賢夜が 口を開いた。仕事が決まった。 早速明日から単心不妊するから。 明日からでかぎにでも行くの?そう思う方がしっくり来るほどやの発言は突然で単純に驚いた。夜やは余裕な顔で私に言う。俺の仕事のことは関係ないから作するな。ま、時々は親父さんの様子を見に帰ってくるからよ。 [音楽] とりあえず生活費だけ毎月振り込んどけ。 働きに行くのになぜこちらが生活費を 振り込まなければいけないのだろうか。私 の疑念の表情にも気づかずに軒やは荷造り を始める。そして翌日、私が目覚める前に 家を出て行ったのだった。 これまでも散々権夜に振り回されてきたが 、今回はさすがに気がめいった。 だがけ夜が家を出たことで少し肩の荷が 降りたと感じている自分もいる。私が リビングのソファーで唸だれているととや が起きてきた。そして 母さん、もう父さんと離婚していいんだよ 。僕母さんについていくから というのだ。まだ11歳の子供にこんな セリフをるなんて。 母親失格である。私はともやを抱きしめ ながら大丈夫よと言った。でもとやのため にも今後のことは考えなければいけない。 しっかりしなくちゃ。私は自分に言い聞か せた。 こな間だお父さんの病室にけや君が来た みたい。 ある日、母から聞かされた話だ。父はつい 最近容大が悪くなり、もう何度目かわから ない入院をした。今度は本当に先が長く ないと思い、単心不妊をしている剣やにも 伝えたのだ。するとけ夜は マジか。でかした親父さん最高だな と不謹慎極まりない発言をしたのである。 おそらくこの電話の後、父に会いに行った のだろう。ちょうど私も母き添っていない 時間だったため、剣やの姿を見ることは なかった。 それでね、お父さんが会社は契約に 引き継ぐ。俺の財産も捜索するって言い 出したのよ。 母の言葉に私はぎっとした。え、でも お父さんの財産って そうなんだけどけや君が了承したっていう の。 けやが父の元を訪れた際にどのような話が されたのだろう。父が剣やに自分の財産を 相続すると言ったらしい。剣やが遺言書を 書くように迫ったのだろうか。憶測だけが うずまくがその後剣やに連絡をしても 繋がらない。 メッセージで連絡をよすように伝えるも 親父さんが言ったら連絡しろ。それまでは 電話もメールもするなと返信が来た。その 時に私の疑念が確信に変わった。軒やは 最初から知事の会社や財産を狙って私と 結婚したのだと。そのために何年も私に 規制しながら生きてきたのだ。 愚かな男である。 私は軒や夜の言う通り裕二の際まで連絡を しないことに決めた。それから2ヶ月ほど 経った時に父は病院で息を引き取った。 軒やは艶にも葬儀にも現れない。ただ父の 遺言書を開封するとメッセージを送ると 息よとやってきたのだ。家庭裁判所には 相続の対象となる親族弁護士の先生らが 集まった。軒夜はニヤニヤしながら着席し 、その手にはロック音器を持っている。 もしもの時のための証拠用だよ。お前らが 後からガタガタ言わないようにな。 剣やの態度に親戚人が引いているのが 分かった。母に関しては無表情を通り越し て脳面になっていた。そして遺言書の内容 が私たちに伝えられる。その瞬間不謹慎 大王の権夜が大きくガッツポーズをしたの が見えた。遺言書は白川順一の所有する 会社。その他全ての財産をか瀬夜に相続 するというものだった。 は自賛した録音機器に向かって換期のお たけびをあげている。 けや、話を聞いて。大事な内容だから。私 がそう言うもけやは全く聞く耳を持たない 。うるせえ。お前の話なんか聞くものか。 親父さんの財産は俺のものだ。ちゃんと 録画してるからな。証拠があるんだ。後 から文句言うなよ。 親父さんは俺を続人に選んだんだよ。お前らじゃなくてこのことを重く受け止めるんだな。ざミラ。 親戚人にはあらかじめ夜の性格を伝えてはいる。あまりにも非常識で気分をするかもしれないと。事前に忠告していたにも関わらず親戚人は権夜に対して快感をわにした。 [音楽] [音楽] けや君、話を聞きなさい。 けやは母の言葉にも反発をする。奥さんなのに相続できなくて残念でした。会社は俺がもらった。俺が社長だから口出しないでくださいよ。弁護士の先生を含む私たちの最算の忠告を聞かずに夜は大質。 [音楽] [音楽] 残された我々はただひたすら呆きれること しかできなかった。 その後何度も剣に連絡を取り続けたが一切 応じない剣や。ただ相続の手続きのことで 弁護士さんと会ってほしいといった時だけ 応じた。それ以外は完全にシャットアウト 。まるで話を聞いてはもらえなかった。 親戚人からは早くあんな男とは離婚する ように言われたが、私は叱るべき時が来る まで離婚を先延ばしにしていたのだ。 ただ離婚したんじゃ。けやの思う壺だから ね。 私はとやと一緒に腰淡々とその時を待った 。 そしてある日、軒や夜から風所が届く。中 にはサイン済みの離婚届けと子供の写真が 入っていた。私はすぐに剣やの隠し後だと 分かった。2枚目の写真には子供の母親と もしき女性と子供を抱いた剣やの姿。添え られた神切れには俺は幸せになるぜと書か れている。曲がりなりにもつまに隠しごと 愛人の写真を送るなんて本当に愚かな男だ 。 母さんやったな。うん。即提出よ。 私はすぐに離婚届けに自分のサインを記入 し、とやと一緒に役所へ行って10秒で 提出した。母に電話でそのことを伝えると 、親戚人含めてみんな喜んでくれたという さ、これでもう赤の他人。あは勝手に地獄 に落ちてもらいましょう。 私の人の親とも思えない独絶にとやは 大きく頷いた。家に帰って荷物をまとめる 。これから母のいる実家へ行くためだ。 かつて私が憧れた夜は特の昔に亡くなっていた。変わらないことが美しいものもあれば、変わることができない愚かなものもあるんですね。剣や、 [音楽] あなたは完全に社ですよ。までも自分が世界の中心だと思い込む方は見ていてたしいです。 [音楽] あなたと結婚できたことで浮かれてしまっ た自分も相当な愚か者だと思います。でも 私は変わります。とやのためにも 最初から私たちの結婚に愛なんてなかった んですね。 人生の半分を迎える前に気づけて本当に 良かったと思います。父があなたに残した 財産を大切にしてください。あなたが全て 相続したのですから ご就傷様です。 父が亡くなり19日が終わった頃、父の 会社の副社長が実家に来てくれた。 そして夜の様子を伝えてくれたのだ。 社長から生前に話は聞かされていたんです 。義のご則が社長になると阪神半義でした がご主は会社にやってきました。 最初は張り切っていたらしい軒夜はその うち社長に飽きてしまったそうだ。2週間 もしないうちに会社に来なくなったという 。副社長が何度も電話をするも何かと 言い訳をして出社をしないらしい。 やっと出社したと思っても社長室のテレビでゲームばかりやっているとか も私も全社長が亡くなる前から退職は考えておりましたのでパートさんも他の社員もみんな退職するです。取引先にも迷惑がかからないようき継ぎも住んでます。副社長のかりのない仕事ぶりに私は復した。 [音楽] 突然現れたけ夜のりはさぞ大変だったことだろう。 もちろんやさんにも伝えました。そしたらそれは高都合だ。俺が [音楽] 1 から会社を作り直すと行きまいておられましてさっさといなくなれと言われましたので昨日退職いたしました。元々父の会社は大幅に傾いていた。 言い方は悪いが、最初から父の趣味で始め たような会社だったのだ。副社長は母が 経営する会社の社員さんだったが、父が 会社を立ち上げるにあたって協力をして くれた人材である。今後は剣やの手に渡っ た会社を退職したので、また母の会社に 戻ってきてもらうだけだ。父の会社を辞め たパートさんも他の社員たちも彼らさえ 良ければ母の会社で受け入れるつもりで ある。 私の実家は地元でもかなり大きくいかにも 昔の金持ちといった風格があった。 しかしそれは父の資産では一切ない。お 金持ちだったのは母方の家計なのだ。母の 祖母から受け継いだ遺産が多かったため、 私の実家は大きい。そして母は母で会社を 経営している。母の会社は業績が良好で 今年もかなりの黒字になる見込みだ。軒や は父が金持ちなのだと勘違いをしているが 、父自身の資産などほとんどない。会社を 経営してみたけれど、父にはさがなく赤字 が続いていた。法人でも個人でもあるのは 借金だけ。それも全て軒や夜に説明しよう としたが話を聞いてもらえず。弁護士の 先生があってやっと話ができたが軒やは 相続を放棄しなかった。相続イコール奥万 長者って手を持ってる時点で終わってるの よ。 遺産はプラスのものだけではない。父の ように負の遺産を抱えているものだって いる。もう相続の手続きをして父の金に手 をつけてしまった剣は放棄することはでき ない。おそらくそろそろ剣から怒りの電話 がかかってくる頃だろう。 そう思って翌日早速剣から檻のような着信 が入る。もう他人だから何を言われても 怖くはない。 私はけやの電話に応とした。おい、どうなってるんだ?この会社請求所ばかり来るぞ。電気貸す。会社なのにどうしてそんなもの払わなくちゃいけないんだよ。 [音楽] 経営者とも1 人前の大人とも思えない夜の発言に私は盛大なめ息をつく。電気もガスも使ったら払う。当然でしょ。 会社だから払わないとかないから。 どうしてこんな人間が父から会社を 譲り受けようと思ったのだろうか。電気や ガスの料金など今後請求されるであろう 諸々の料金に比べたらまだ小さい方だ。 会社をやっていく上でどれだけ経費が かかるかおそらく計算していないは今後 必ず資金に陥る。父から受け継いだ借金も 返さなければいけないというのに本当にご 就相様だ な。何なんだよ、この会社。全然金は入っ てこないし、請求ばかり来るし。それに 足こち汚いんだけど。たくさんある机も 邪魔。なんとかしてくれ。 あのね、装しなけり汚くなるし、机も リースなんじゃない?ちゃんとしないと。 机やパソコンのリース代の請求もたくさん 来るわよ。それにあなたが父の会社を欲し がったんでしょ。わざわざ入院中の父に 会いに行ってまで交渉したらしいじゃない 。愛人さんと子供と一緒に来たんですって ね。あ、今は奥さんかしら。 それは病院の看護師さんから聞いた話だ。 け夜は愛人と子供を連れて父の元を訪れ、 自分に相続してほしいとお願いしたらしい 。 俺のこと息子だと思ってるんでしょ?ほら 、新しい子供もいるんだって。こいつらを 幸せにするためにもお父さんの会社と財産 を俺にくださいよ。 それがあって父は軒やに相続することを 決めたのだという。義の父親の元に愛人と 隠し号を連れてくるふき者を生売しようと したのだ。きっと私のために。剣が少しで も賢ければ相続は放棄するだろうけど 愚か者だったら喜んで相続すると考えた ようだ。結果軒や夜は校舎だった。人の話 をちゃんと聞かないからそういうことに なるのよ。私の言葉にけ夜はいつもの口調 で反論する。は?俺は悪くないぞ。何も 払わないからな。こんな会社ぶっつぶして やる。 電話の向こうでわめき散らかす軒や夜に私 は思わず電話を耳から話した。もう彼の声 など少しも聞いて痛くなどない。 私はもう関係ないからお好きにどうぞ。 私はそう言って通話を終了させたのだった 。 それから1ヶ月もしないうちに軒や夜から 再び着信が入るが、私はしばらくスルーを していた。要件がどんなことかも大体の 想像ができたのと、何より関わりたくない と思ったからだ。軒やは昔から自分が充実 している時は全く連絡をよさない。しかし 金がなくなったり自分が不利益を葬りそう になると電話をしてくる。婚姻中ならまだ しも離婚してまで剣夜の面倒を見るのは 勘弁してほしい。しかし剣やからの着信は なりむことがない。いし方応答すると電話 から軒や夜の土が響いた。 お前何をした?家がおかしいことになっ てるぞ。知らないやが住んでる。 けやはかつて私と一緒に住んでいた家に 戻ってきたらしい。そこに知らない住人が いたから驚いて電話をしてきたのだろう。 そうよ。あの家は売ったものだから相手の 方が住んでるんでしょ。 剣が単心不妊だと言って家を出てから離婚 するまでの間に色々調べたのだが仕事が 決まって単心不妊するというのは軒やの 真っ赤な嘘である。どうせそんなこと だろうと思ったが愛人と一緒に暮らすため に単心不妊だといったのだ。 考えが稚切絶すぎてヘドが出そうだ。 私は剣やが家を出てからはお金を渡してい ない。おそらく思ったよりも早く父の容大 が悪くなったからだろう。けやは父の病室 を訪れて父にお金を無視した可能性がある 。父が心よく剣やにお金を渡したことで 剣やは私に金を要求してこなかったのだ。 しかし父の渡した金がその後剣や自身の 借金になるなんて皮肉な話である。ざ見ろ としか思わないが。 家を売ったってどういうことだよ。あの家 は俺の家だろ?お前の実家が所有していた 家なんだから俺が相続した家なんじゃない のか。何勝手なことしてるんだ。ふざけん なよ。 ここまで来てもまだプラスの財産があると 思えるけ夜はある意味すごい。私は剣やに 家のことを説明した。 あなたは私の実家がお金持ちだと思って 近づいたんでしょ。確かに家は大きかった し、お金もあったと思う。でもそれは母の 祖母からの遺産だからお父さんはあんまり 関係ないのよね。 賢夜は目を見開き、眉を仕める。やはり父 に取り入れば多額の財産が入ると思ってい たのだろう。それにあの家は母だから 売ろうがどうしようがこっちの勝手 愛人作って家を出た人に戻ってくる場所 なんてないのよ。 け夜は小さな声で騙されたとつぶく。誰も 騙してなんかいないわ。人の話を聞か なかったのはあなたよ。ご丁寧に自分で 証拠まで残して。 しかも夜は録画した映像をコピーして私の 親戚中に配っていたのだから逃げも隠れも できない。だから本データを消しても無理 よ。あなたが裁判所で遺産ゲットだぜって 大騒ぎした記録と証拠はしっかり残ってる からね。 電話の向こうで剣やが悔しそうに唸って いるのが聞こえる。私はもうこれ以上話を したくなかったが、剣やは納得がいかない 様子だ。 お前あのガキと一緒にお前の実家にいるん だろ。でかいだけのあんなボロや。俺が 言ってぶっ壊してやるから覚悟しとけ。 そう言ってけやは電話を切った。もう少し めんどくさいことが起きそうだ。 とりあえず壊れたら困るものは隠して おこうかな。 私は来るべき権夜の来に備えるのであった 。 翌言通り私の実家にはやってきた。正しく は私の実家の敷地に元愛人である現在の奥 さんと子供を連れてきたのだ。軒夜から 送られてきた写真ではまだ赤ん坊だったが 、連れてきた子供はどう見ても5歳は過ぎ ている。この子が本当に軒夜の子ならもう 5年以上も前から彼女と関係があったと いうことだ。本当に軒やは自分から証拠を 提供するのが好きな男だと関心する。ある 意味でとてもありがたい存在だ。 そんな剣は実家があるはずの敷地にやって きて目を丸くして立ち尽くしている。公引 中は私の実家に訪れた際は常々ね々 でかいけどボロい。自信が来たら一たも ないと実家の古さを馬鹿にしていた。 しかし今はもう古い家は物置きと貸し同じ 敷地に新しい大きな家を立てた。母がよせ を楽しみたいからと言って1億円で立てた 新築だ。田舎なので1億あれば驚くほど 大きな家が立つ。け夜は新しくなった実家 に驚いていたのだ。 あら、本当に来たのね。お揃いで。 初めまして。én夜の元妻の白川いく子 です。 私がそう挨拶すると愛人は軽く頭を下げた だけで名乗りはしなかった。 あまり素情を明かしたくないのだろうが、 もう彼女がどこの誰かは調べがついている 。しかしひとまずここは無理に名前を聞か ずにそのままやり過ごした。剣や一家を リビングに通すととやが剣の子を遊びに 誘った。あっちで一緒に遊ぼう。 の子供の手を引き、奥の部屋に消えるとや 。子供は子供同士で遊んでいる間に大人は 大人の話をすることにした。 それで今日はどんなご要件かしら?私が やや上目線だったからか、剣やは分かり やすく嫌な顔をする。もう私の音ではない のだからそんな顔をされる筋合いはない。 剣は相変わらずの強い口調でこう言った。 知り合いに聞いたんだ。離婚したら財産は 切般するものだって。だからお前の財産の 半分は俺のものだからな。 ここまで来て何を言い出すかと思えば財産 分与の話だ。誰に聞いた知識か知らないが 教えた方もしっかり教えておいて欲しい ものである。 もしくは剣やが都合のいい部分しか聞かなかったかだろう。危うくかずにもらい損ねるところだった。お前知ってて俺に言わなかっただろ。ずるい奴な。今はこんな立派な家に住んでるんだ。この家の半分だって俺のものってことだろ。今この間にはや [音楽] 夫婦の他に私と母がいる。 母もケアの言文を聞いてため息をついてい た。財産分与ね。けや、何が財産分与の 対象になるか知ってる?それは婚姻中に 形成維持された共有財産よ。一緒に貯めた 貯金や保険、車や不動産などが対象になる と言われてるわ。 私はごく一般的な情報を伝えたが、剣やは 意味が分からないのか首をひねっている。 ねえ、あなた12年間1度だって家にお金 を入れたことがある。生活費は全て私が 働いたお金で賄なっていた。だから貯金 なんてできなかったわよ。するとけ夜はマ を潜めて言い返してくる。はあ。知ってる んだぞ。お前がたんまり貯金を持っている ことくらいその金の半分をよせって言っ てるんだ。 どうして私に貯金があることを知っている のかは謎だが、残念ながらそれは軒や夜に 渡せる金ではない。あれは私があなたと 出会う前独身時代に貯めたお金よ。あなた と結婚してから貯めたお金ではないから 財産分与の対象じゃないのよ。 容と単価を切るくらいならそれくらい事前 に調べてきなさいよ。 明らかにむかついた顔で私を睨むけや。 財産分野与の話を聞いた時は佐大きな期待 をしたことだろう。言ってみれば車も家具 も何もかも私が独身時代に買ったもの ばかりやだ。今夜に分きる財産など何1つ ない。 しばらく沈黙が続いたが、ここでついに愛人が口を開いた。 私の立場でいい子さんに反論できることはないのですが、線に腹は変えられません。お願いします。お金を貸していただけませんでしょうか?そしてその場に深頭を下げる。彼女の隣にいる夜が驚いた顔をして隣怒鳴り出した。 [音楽] おい、何してる?こんなずるい奴らに頭を 下げる必要なんてないぞ。こいつらに手ら なくても金なんてどうにでもできる。頭を あげろ。 それでも彼女は頭を下げ続けている。 小さな声でお願いしますと聞こえる。けや は相変わらずやめろと言って怒鳴っていた 。あなたは黙ってて。私はあの子育てた なくちゃいけないの。 どうにでもできるって言って、今までどう にかなった試しがない。もうこうするしか ないでしょ。 涙を流しながら頭を下げて懇願する愛人。 彼女もけ夜と一緒にいたことで辛い思いを してきただろう。略奪という後ろめたさも 感じていたと思う。同じ子供を持つ母親と して共感できる感情もあった。しかし、 それは彼女が自分で選んだ人生である。 剣やからうまいこと言われて社長夫人の座 が手に入るという夢を見たに違いない。元 妻に頭を下げなければいけないほど切っぱ 詰まった状況なのは理解できる。だが彼女 に対しての同場の余地はない。残念だけど あなたに貸せるお金なんてありません。 なんだったら請求させていただくお金しか ないわよ。け夜にもあなたにもしっかり 慰謝料請求をさせていただきますから。 彼女は信じられないという顔で私を見る。 きっと彼女には私が鬼か悪魔に見えたこと だろう。私のことどう思ってくれてもいい わよ。でも被害者みたいな顔されても困る から。私は愛人を見据える。心なしか怯え たような表情を見せた。少なくともあなた 自身の判断でけやと一緒になったんですよ ね。社長夫人になれるって。だから子供も 産んだんでしょ。まずはご自身の実家を 頼ってはいかがですか?真っ赤な他人を 頼らないでください。私の言葉に彼女は 泣きながら答える。 方は少し折り合いが悪くて 折り合いが悪いから何だというのだろう。私は話を続けた。お言葉ですが、あなたにとって私以上に折り合いの悪い人間がいますか?あなたはそんな私に今こうして頭を下げることができたんですよ。だったら絶対にご実家の家族に手ることができるはずです。 [音楽] [音楽] 考えるべきは子供の未来だ。大人の ゴタゴタに子供を巻き込むのは本当に不毛 である。お子さんをあなたが守ってあげて ください。そう言うと彼女はそのまま手で 顔を追って泣き続けた。けやはまるで一人 一言のような顔でそれを見ている。どこ までも救えない男だ。けや、あなたは私に 騙されたと言ったけれど、騙したのは あなたの方だった。私も父もみんなを騙し た。最初から私たちの結婚には愛なんて なかった。悲しいけど。私は軒や夜を見た が少しも目が合うことはなかった。12 年間彼はこうして私から目を取らしてきた のだ。もしあなたに俺を言うとすればとや に出会わせてくれたことかしら?本当に それだけ。あなたはもう一生とに会うこと はないわよ。そのことずっとずっと生きて いるうちはずっと食いて欲しいと思ってる から。 剣やの視線の先には突然奥の部屋から出て きたとやがいた。今どんな気持ちでとやを 見ているのだろう。とやはきっと剣やに 対して何の感情も湧いていない。湧くほど の時間を剣やと過ごしていないのだから。 とやは無表情のまま奥の部屋に戻っていっ た。おそらくこれが賢との最後の対面に なる。さすがの剣やにもそれが分かった ようだ。両目から大粒の涙を流し、顔を くしゃくしャにして泣き出した。豪は先に 立たない。 大切なものに気づいても遅い時の方が多い のだ。あの時剣やは憧れのまま美しい 思い出のままの方がどんなに幸せであった かたらを話しても霧りがない。だから私は 剣やと結別をする。 さようならけや。かつて憧れた眩しい光は 色わせて今はただ体を振わせて泣いていた 。 そっか別れたのね。なんかごめんね。高校時代の友人であるまなと久々にお茶をする。諸々の問題があか方片つき心に余裕ができた時だった。剣夜と再開した同窓会はまなみが夜に頼まれて開催した。理由は夜が私に会いたがったからだとなみは言った。 [音楽] 高校時代剣やは私の家が金持ちなのを知っ ていて、金が必要だったため同窓会を開い て私に近づいたのだろう。 おそらくまなは剣やの思惑を知っていた。 だからこうして私を心配して定期的に連絡 をくれる。私が剣やに騙されることも予想 できただけに後ろめたかったのだろう。 まなみのせいじゃないわよ。私の判断で けやと結婚したんだから別れることになっ たのも私たちの問題だから気にしないで。 そう言うとまなみは少し安の表情を 浮かべる。本当にまなみのせいではない。 私と剣やの問題だった。 その後剣やと愛人には慰謝料を請求した。 調べると彼女とはもう6年以上前から関係 があったらしい。婚姻期間の半分は剣やは 浮気をしていた。それに気づけなかった私 も本当に愚かだと思う。 弁護士さんの話では愛人は自分の実家に 助けを求めたらしい。そして剣やと別れる ことを条件に実家に身を寄せる許可が出た のだとか。彼女は剣と別れ、子供のために 実家に戻ったという。またこの12年1度 も合わせてもらえなかった剣やの両親だが 、若い時の剣の悪さが原因でだいぶ前から 絶縁状態であることが分かった。今回の件 で両親にも連絡が入ったらしいが、もう 息子とは関係がないと言われ、完全に シャットアウトされたという話だ。夜は 結局父から相続された負の遺産を持て余し 、会社も潰すことになった。彼には自己 破産の道しか残されていなかったが、母が そうさせなかった。父が作った借金のみ母 が片わりをしたのだ。その理由を聞くと 自己破散されたら彼はあなたへの慰謝料の 支払い義務が免除されてしまう。私の大切 な子とやを傷つけたのだから。しっかり 慰謝料払って罪の重さを感じてほしい というものだった。今更だが母の愛の大き さを感じた瞬間である。母が私を守って くれているように私もとを守らなければ いけない。そうだ。まなみ、今度家に遊び に来て。とやも喜ぶと思うから。まみは 近いうちに必ずと言って笑った。行って みればまなみのおかげでとやに会うことが できたのだ。そう思うと私はまなみに感謝 せずにはいられなかった。 裏らかな春の日、とやは中学校に入学した 。 制服かっこいいわよ。せも私より大きく なっちゃって。母さんしみじみしすぎ。 ほら、一緒に写真撮ろう。とやはそう言っ て桜の木の下に私を誘う。並べた方は私 よりもずっと上にあった。ねえともや、 高校になっても大学になっても春には一緒 に写真を撮ってくれる? 私は何気なくとやに聞いてみた。子供の 成長は嬉しくもあり寂しくもある。だが 時々でいいから一緒の思い出が欲しいのだ 。とやは昔と変わらない笑顔で私に言った 。そんなのお安い後よ。彼女ができても 結婚して子供が生まれても一緒に写真を 撮ろう。 春の柔らかな日差しの中、カメラに向かっ て2人で特大のピースを向けたのだった。 [音楽] 家族以外は乗れません。お母さんは徒歩で どうぞ。来れるものならですけどね。 長男夫婦の引っ越しを祝いに少し離れた駅 まで来てみれば出会い頭にそう言ってくる なおさん。とてもじゃないが一般的な老人 には片道1時間の距離を歩くことは難しい だろう。それを分かっていて、そんなこと を言うなんて普通なら許されないことだ。 なおさんと正義は車に乗ってその場を去っ てしまう。さに向けられた正義の期待した ような視線が私を借り立てた。数年ぶりに 私は自分の実力を発揮することにしたのだ 。 私の名前は近藤裕子。60代の専業主婦だ 。夫の正義と2人で暮らしている。私たち の間には息子が1人いて、長男の優太は すでに1人立ちし、家庭を築づいていた。 長男夫婦の家は近くにあって、その分顔を 合わせることも多い。私からすれば長男 夫婦は大切な家族なので、それが何よりも 嬉しかった。最もそれは私だけのようだが 、 長男嫁のさんは何かと私のことを目のきに する。少しでも気に食わないことがあれば 、それがいくら些細なことでもきつい口調 で文句を言ってくるのだ。 お母さん、今日の料理やばくないですか? まずすぎて吐くかと思いましたよ。 ある日食事会に長男夫婦を招くと食事が 終わった後2人きりになったキッチンで なおさんがそんなことを言ってきた。 口に合わなかったならごめんなさい。でも あなたたちのために一生懸命作ったんだ からそんなひどいこと言わないで欲しいわ 。 なおさんの言葉に一瞬としながらそう言う とそんな私の態度が愉快で仕方がないのか なさんはクスクスと笑い出す。 何がそんなに面白いの?人が傷つくような ことを言っている自覚はある? こっちは本気で落ち込んでいるのにそんな 態度なんてありえない。まるで私が傷つい ているのを喜んでいるかのようで、なお さんの行動に苛立ちが湧き上がってきた。 しかしそんな私にお構いなしになおさんは 笑い続ける。そしてようやく口を開いたか と思えば お母さんはしょっちゅ嫁いりをしてるんだ からひどいこと言われても仕方がないと 思いません ととんでもないことを言い出した。 もちろん私には嫁いりをしたつもりなんて 一切ない。むしろ家族として大当な関係に なれるように親しみやすさを覚えて もらえるように毎日努力しているつもり だった。 お目いりをしたつもりは一切ないけど、 もしそう見えてしまったならごめんなさい 。具体的にどんな時にそう感じたのか教え てくれない?これから同じことを繰り返さ ないように気をつけるから。 私は別に嫁いりをするような意地悪なに なりたいわけではない。むしろ義とはいえ 家族として協力し合って生きていけるよう に、お互いに歩み寄りができるようにと 意識していたつもりだ。だけどなおさんの 話曰くそれができていないようだ。 それでもなおさんからすれば嫁いびりに 思える行動をしてしまったのならすぐに その態度を改めるべきだと感じていた。 しかし、残念ながら私には一体どんな行動 がなおさんにとっての嫁びりになったのか が分からない。だからこそなおさん本人の 口からどんな行動がいけなかったのか教え てもらわなければならなかった。 しかし私の問いかけになおさんはだんだん と表情を歪ませていき、はあっと大きな ため息を吐いた。 いちいち言われないと分からないんですか ?自分の胸に手を当てて考えてくださいよ 。 確かに悪いことをしておきながらその記憶 が抜けてしまっているのは良くないことだ 。無意識になおさんを傷つけるような行動 を取ってしまっていた自分自身に壁液した 気持ちにすらなってしまった。 だけど、どれだけ考えても考えても何が 嫁いりになってしまったのかが分から なかった。だって本当に私はいつもなお さんと家族になろうと必死でとにかくなお さんを傷つけないように家族として親しみ を持ってもらえるようにと一生懸命だった 記憶しかなかったのだ。 本当にごめんなさい。でも本当に何がいけ なかったのかが分からないの。なおさん からすればきっと嫌な姑トめに思えるわよ ね。でもお願いだから教えて欲しいの。そ したら今後は絶対に同じ行動を取らない ようにするから。だからお願い。 甘えるのも大概にしてくれません。自分が 悪いことをしても覚えてないような人のお 願いなんて聞いて私に何のメリットがあ るって言うんですか? なおさんの口調がだんだんときついものに なっていく。それだけイつかせてしまって いるのだと思うと申し訳ない気持ちで いっぱいだった。一体どんな行動がこんな にもなおさんを傷つけてしまったのだろう 。どうして私はその自覚がないのだろう。 無意識のうちに人を傷つけていたなんて 考えてしまうと自分への呆きれのような 気持ちが湧き上がってくる。 考えても考えても答えが出ないと問いなの にそれでもずっと考える。なおさんを 傷つけた要因を絶対に判明させなければと そればかりを考えていた。 してずっと黙っているとそんな私の相手を するのが面倒になったのか。それともどれ だけ考えても答えが出せない私をあらって いるのか。なおさんが愉快げな表情を 浮かべながら言った。 お母さんの言葉なんて信用できるはずが ないじゃないですか。約束したってまた 繰り返すんでしょ。なんてったって。 お母さんは意地悪なですからね。 なおさんの言葉に胸がえぐられたような 気持ちになる。そんなにも私の態度は ひどいものだったのだろうか。なおさんを 無意識に傷つけてしまうほどに私という 人間はひどい人間だったのだろうか。 自分のことが最低な人間に思えてたまら なくて辛くて結局それ以降なおさんと話を することはできなかった。キッチンで あんな話をしたというのに優太や正義と 接している時の直さんはとても楽しそうに していて、どれだけ私のことが嫌いなんだ ということがわざまざと伝わってきた。 その一見以降私はなおさんと距離を置く ことにした。また無意識のうちになおさん を傷つけ苦しませるようなことはあっては ならないと思ったからだ。だからと言って なおさんと和解することを諦めたわけでは ない。ちゃんと自分の行動を全部振り返っ てなおさんの言う嫁いりに相当する行動に 気づいた時にはもう一度なおさんと会って 精神誠意罪して許してもらえるまでできる ことは何でもしようと考えていた。 しかしそんなおり長男夫婦が引っ越すこと になった。ゆうたが仕事で移動になり、 かなり離れた土地に行くことになったのだ 。 その知らせを聞いた時、私の中には 落ち込む気持ちと同時に安する気持ちが あった。これで必要以上になおさんと 接する機会もなくなるわけだし、そうなれ ばなおさんを無意識に傷つけてしまうよう なこともきっとなくなるだろう。これ以上 なおさんとの関係が悪化することはない。 その事実が何よりも私を安心させたのだ。 走行して無事に長男夫婦の引っ越しが 終わると正義が引っ越し祝いをしたいと 提案してきた。なおさんと顔を合わせるの はっくだったがそれでもこういうことは しっかりとやらなければならない。私たち は優太と連絡を取り太の仕事が休みの時に 引っ越し祝いを届けに行くことにした。新 幹線に乗り約2時間変わっていく景色を見 ながらなおさんとどう話をしようとか嫌な 態度を取ってしまわないようにしなければ とかそんなことをずっと考えていた。 走行して長男夫婦の家の最寄り駅に着くと 見慣れた車からなおさんが降りてきた。 どうやら優太は家で留守番をしているよう だ。 しかし出会い頭になおさんはとんでもない ことを言ってきた。家族以外は乗れません 。お母さんは徒歩でどうぞ。来れるもの ならですけどね。 あまりの言葉に目舞いがする。ここから 長男夫婦の家までは片道1時間もかかる。 それを1人で歩いていけと言うなんて正気 の差だとは思えなかった。 だけどなおさんの目は真剣だ。私は絶対に 車に乗せないという意思がよく伝わって くる。それほどまでに嫌われていたことが 何よりもショックだったが、ダメなら仕方 がないと諦める気持ちもあった。 私がはいよと返事を返すとなおさんは満足 したように車に乗る。正義に関しては私を 信頼しすぎて何も心配していないようで、 むしろ期待した視線を向けられた。 実は私にはとっておきの秘密がある。なお さんはそれを知らないためにこんなことを したのだろう。しかしなおさんのは無意味 なものだ。なおさんが自らの口で家族じゃ ないと発言をしたことがショックではあっ たが同時に諦めるきっかけにもなった。 どれだけこちらが歩み寄ろうとしてもなお さんは答えてくれなかった。だったら家族 になろうと考えること自体無駄なことだ。 ここから始まるのは私の気持ちをろに 受け止めず邪犬に扱い続けたなおさんへの 復讐撃だ。 なおさんと正義を乗せた車が駅を去って いくのを見届けると私はその場で準備運動 を始めた。何分本格的に体を動かすのは 久々なのでできるだけ念入りに行った。 そして無事に体がほぐれたなと感じれば ふーと深呼吸をしてから走り出す。自分が 出せる速度の中で遅すぎない範囲でけれど も片道1時間の距離を走りきれる速さで 実は私は現役引退こそしているものの元 マラソン選手だった。フルマラソンを走っ た経験も片手で足りないほどに多く、正直 に言って片道1時間の距離を走るなんて 全く苦痛には感じなかった。気持ち的にも かなり余裕があったのでちらりと道路を見 てみると休日のこの時間だからか道路は 渋滞しているようだった。かなり長い間 動きが見えないので、これはもしかして なんて考えながら前持って聞いていた住所 へひたすら走る。 やがって長男夫婦の家にたどり着き インターホンを鳴らすと優太が出てきて あれ母さんだけと目を丸くした。どうやら 道路の渋滞も相まってなおさんと正義は まだ家についていないようだった。 ゆ太になおさんの行動を報告するとあいつ と呆きれたように大きなため息をついた。 土僚が大きく優しい性格の持ち主の優太で も今回のなおさんの行動は目に余ったよう だ。それから私だけ先に家にあげてもらっ て優太にこの間キッチンでなおさんと話し たこと。その際に嫁いりをしていると指摘 されてしまったことを報告し、ゆう太から すればどう感じたのか聞いてみると。 母さんが嫁いり絶対にありえない。だって 母さんはいつもなおのことを考えて行動し てたよ。俺から見ても母さんは本当に 優しい目に見えた。と言われた。私には 嫁いびりをした覚えはない。そしてそんな 私のことを客観的に見れたであろう言うた ですら私が嫁びりをしていたようには思え ないという。この時ようやく嫁いりをして いたというのはなおさんの言いがかりだっ たのだと気づくことができた。それと同時 にただでさえ顔を見せていた被化していく 。言いがかりをつけて私にひどい言葉を 浴びせ、会うことをためらってしまうほど に傷つけてきたなおさん。それはどう考え ても許されることじゃない。たえ義りとは いえ家族として向き合っていけるように、 手を取り合って生きていけるように努力し たつもりだった。どんなに気が合わなくて も歩み寄っていけば長い時間がかかっても 絶対にお互いを信頼し合えるのだと信じ きっていた。でもその気持ちは間違いだっ た。ダメなものはどれだけ頑張ってもダメ なのだ。伝わらない気持ちはどれだけ伝え ても受け取ってもらえないのだ。どうして それに早く気づけなかったのだろうと自分 にほと呆れると同時になおさんに対する 憎しみが湧き上がってくる。徹底的に 貶しめてやらなければ気が済まない。私の 気持ちを無限にしたなおさんを地獄の外に 落としてやらないと気が済まない。復讐心 に燃えながらなおさんと正吉の到着を待っ た。 ただいま。 玄関ドアが開く音と同時になおさんの そんな声が聞こえてきた。どうやらなお さんたちも到着したようだ。ゆうたがお 帰りとリビングから声をかけるとそれから なくしてなおさんと正義がリビングに入っ てくる。しかしそこに私の姿があることに なおさんは目を見開いた。 なんでお母さんがここにいるんですか? 置いて行ったはずなのに。 私が元マラソン選手であることを知ら なかったなおさんはここに私がいるのが なぜなのか理解ができず慌てている。 かわいそうなので種明しをしてやることに した。 実は私元マラソン選手なのよ。だいぶ走っ てないから体も鈍っていたけど、片道1 時間の距離くらいなら余裕で走りきれるわ 。それにあなたたち渋滞に捕まっていた でしょう。それもあって先に着いたのよ。 そんな なおさんは苦虫を噛みつぶしたような顔を する。思い通りに嫌がらせができなかった ことがそれほどに悔しいのだろう。 さんは私に嫌がらせをしたつもりかもしれ ないけど、私からすればむしろ久々に 大好きなマラソンをすることができて ありがとうって感じだわ。 預けるように笑ミを浮かべながらそんな ことを言う。なおさんはその言葉に深底 悔しそうな表情を浮かべた。大方あのまま 駅に私を置いて行ってどうすることもでき ず泣きね入りをするか。片道1時間も かかる距離を歩けるはずがないので、1人 惨目にタクシーに乗ってくることを期待し たのだろう。しかし残念ながらフル マラソンを何度も走ったことがある私には 片道1時間程度の距離なんてウォーミング アップにしかすぎないほどに全く苦痛に 感じる距離ではなかったのだ。むしろ もっと走りたいと思ってしまうほどだった 。余裕を持って長男夫婦の家に到着できた ことで、なおさんの言葉が嘘にまみれた ことであることもちゃんと理解できた。私 は一切嫁いりをしておらず、全部なおさん の言いがかりだった。よく考えてみれば 優太が結婚した当初からなおさんは私の ことを目の敵にしていたようにも思う。 小さいことで私と張り合って自分の方が私 よりも優れていると示そうとすることも 多かった。よく考えてみてようやく 思い出すことのできたなおさんの非常識な 行動の数々。嫁いびりをしていたなんて ありえない。むしろ私の方がなおさんに いびられていたほどだったのだ。もっと 早くその事実に気づけていればなおさんと の関係をこんなにも悩みに悩んで大切な 長男であるゆう太と距離を取る必要も なかった。自分の愚かさに壁へしてしまう けれどそれよりも私に嫁いりをしたと嘘を つきとにかく傷つけようとしてきたなお さんの行動の方が見るに耐えないほどに ひどいものだ。いくら姑トが気に入らない からってここまでの行動に出るなんて普通 に考えたらありえないことだし駅に 置き去りにするなんてどうかしている。 なおどうして母さんのことを置いていった んだ。母さんに家族じゃないって言ったん だって。なんでそんなひどいこと言ったん だ。 ゆう太が確かめるようになおさんに 問いかける けれどなおさんは答えない。 なんで何も言ってくれないんだ?なおの 意見が聞きたいだけなんだ。 めげずにゆ太が相いかける。するとなお さんはもう限界だとでも訴えるようにいい 加減にしてよと声をあげた。 前々からお母さんのことは気に食わなかっ たのよ。シト目だから何?家族ずらしてき てうざくて仕方がなかった。お母さんと話 をするだけで嫌な気分になってたのよ。 席を切ったようになおさんが声を 張り上げる。追い詰めて追い詰めて ようやく聞けたなおさんの本音。それは あまりにも理不尽なものだった。 初めて会った時からこの人は嫌な人だなっ て思ったの。いい旦那がいてゆう太からも 大切にされていてずるいなって許せない なって私だってみんなからちやほやされ たいのに 1度切れたはもう抑えが効かない。これ まで聞いたことがないほどの大きな声。 自分勝ってすぎるなおさんの気持ち。聞く に耐えない本音。それでも何も言わず 大なしく聞き届けているとなおさんが私を 指さした。 こんな人のどこにそんな魅力があるの? どこにでもいるおばさんじゃない。私の方 が若くて可愛いし魅力があるに決まってる なのに。なんでみんなお母さんばっかり ちやほやするのよ。 そう言ってなおさんはその場で泣き崩れる 。その姿はまるで自分は悲劇のヒロイン ですと言っているようだが実のところなお さんは悲劇のヒロインどころかヒロインを 追い詰める悪役そのものだ。 別にちやほやされているつもりなんてない し、ゆう太も正義もちやほやしている つもりはないだろう。ただ家族として大等 な関係で言ようとしてくれているだけ。 なおさんに対してもきっと2人は同じ態度 を取ったはずだ。しかしなおさんはあまり にも身勝手な性格の持ち主で自分以外に ちやほやされる存在がいることが耐えられ なかった。私のことがまるで目の上にでき た単コ部のように邪魔で仕方がなかったの だろう。 なんて自分かってな言だろう。優太も正義 も決してものではない。心があって気持ち があって信じたいものがあって私と家族で 言いようと考える権利だって2人にはある 。それなのになおさんは私だけを家族の輪 から追い出したくて仕方がなかったという のだ。 お母さんなんか家族じゃない。私の家族は ゆう太とお父さんだけです。だから今すぐ 出ていってください。もう2度と私の前に 現れないで。 ヒステリックを起こしたかのようにそう 言って泣極めくさ。その姿を見て呆きれた ようにため息をついたのは私だけでは なかった。 あまりにも自分本意なことしか言わない なおさんにもう限界だなと感じた私は口を 開く。 身勝手なことを言うのもいい加減にし なさい。私があなたに何をしたっていうの ?家族で言ようと家族になれるようにと。 私は何度も何度もあなたと心を通わせよう と頑張ってきた。その気持ちを無に扱って おきながら被害者ずらなんてしてるんじゃ ないわよ。 もう我慢がならなかった。家族で言ようと 家族になろうとずっとずっと頑張ってきた 。まだ私に見せてくれない気持ちを見せて いいなと思ってもらえるように。頼りがい のあるシトめになれるようにひたすら努力 してきた。その末路がこれだ。 私はただ家族になりたかっただけだ。太の 嫁として家族に加わったなおさんのことも 家族として受け入れ大切に扱いこれから先 も一緒にいたいと思ってもらえるような そんな存在になりたかった。 だけどその頑張りをなおさんはとことん 否定した。私がどれだけ歩み寄っても まるでその気持ちごと否定するかのように 距離を取って一切自分の気持ちを教えて くれなかった。きっと腹のうちにこんな 感情を隠していたとばれれば軽別されて しまうという自覚があったからだろう。胸 に扱われたことが悲しくて悔しくて苦しく てたまらなかった。しかもその理由が優太 と正義に家族として愛されていたからだ なんて。こんな理不尽な理由で嫌われて しまった私の立場を考えて涙が溢れてきた 。 私はあなたと家族になろうとしたの。 あなたと家族になれるように向き合える ようにって努力してきたの。でもあなたは 一切答えてくれなかった。それどころか私 を家族じゃないと弾いてあんなひどいこと をする始末。 あなたと家族になろう。あなたの気持ちを しろうって頑張り続けた私が本当に愚かに 思えてたまらないの。あなたのために使っ た時間をどう返してくれるの?どうお しまいをつけてくれるの? 私が問いかけてもなおさんは何も答えない 。本当に何も言えることがないみたいだ。 でも今はそれが何よりも嬉しかった。 出て行ってくれないか? ゆうたがなおさんに相かける。するとなお さんは静かに立ち上がり長男夫婦の家を後 にした。 良かったの?私がそう問いかけるとゆう太 はニこりと笑い。 もうあいつへの愛も覚めてたんだと言った 。 それからなくして長男夫婦は離婚した。 優太の話曰く前々からなおさんの態度が 悪いことには気づいていたようで、ゆ太の 方でも色々と注意をしていたようだが、 一向に治る気配が見えないので困っていた というのだ。なおさんは離婚したくないと ごねたそうだが、離婚頂定まですれば 受け入れるほなく、大なしく離婚届けに反 を押した。 長男夫婦の家は今は優太のものになった そうだ。そのことについても一悶着があっ た。なおさんはなかなか家を譲ろうとし なかったのだ。湘南夫婦の家はなかなかに 立派だったために簡単に手放したくは なかったのだろう。 しかし所有者名義が優太のものであった こと。家を立てるための頭金も全て優太が 支払っていたこともあり家がなおさんの ものになることはなかった。 なおさんというストレスの元がいなくなり 、私は優太が結婚する前のようなのびノび とした暮らしが遅れていた。仕事で忙しい ながらもゆう太はたまに会いに来てくれて 家族水らずで過ごす日もほどほどに取れて いる。なおさんの一見で家族の絆がより 深まったように感じる。優太からは母さ んって本当にすごいよなと尊敬のマ差しを 向けられ正義からはやってくれると思って たよと褒められた。家族というのはやはり こういうものではなくてわっと心から 嬉しい気持ちになった。 これからも私は家族を大切にしながら生き ていくだろう。家族というのはお互いを 守り癒すためのかけのない存在だ。この命 が尽きるまで私は絶対に家族を裏切るよう なことはしないと心に決めてこれから先も 頑張っていこうと思う。 母さんがもっと俺たちは孫に惜しみなく金 を使っていればこんなことにはならなかっ たんだよ。 悪質な嘘がバレたというのに息子の無は 謝るどころか開き直って私にそう言った。 そうですよ。お母さんが月収20万だ なんて嘘をついたのが悪いんです。 嫁のかほも無夫と同じ見下すような表情で 私を見ている。 私がケ地かどうかはともかくとしてあんたたちがしたことは詐欺だと思わない。 そうだとしても身内同士のことだからな。刑罰には消されないよ。それまで黙っていた夫が横からボそっと口を挟んだ。夫だって息子夫婦と同西在じゃないか。 可愛い孫のつみを使って私を騙そうとした なんて身内といえども許せない。こんな ことを黙って見過ごしてなどいられるもの か。 お金を出さなかった私が悪いのね。 ある考えを胸に私は心にもない言葉を口に した。じゃ、お詫びに麦夫とかさんを私が 雇うわ。 それならあなたたちも無職じゃなくって安定した収入が得られるでしょ。やった母さんサンキュー。俺たち社長の息子夫婦なんだから大きな顔してここにいられるよな。これで時期所長は私たちで決まりね。何も知らない麦夫かほはそう言いながら品のない笑顔を浮かべた。 私はさゆり58歳の会社経営者主婦だ。父 が設立した清掃業を営む会社を半年前に 過ぎ社長職についている。 経営者は現場をシルべしという父の考えに より10年間清掃の仕事をした後3年に 渡る父からの引き継ぎを受けての世代交代 だった。 夫の越は昔から1年働いては退職し、雇用 保険の給付が終わればまた就職することを 繰り返してきた。今は働いているが、どう やら近いうちにやめるらしい。 自主退職の場合、雇用保険の給付は3ヶ月 据え置かれるため、その期間は無になる。 給付終了後から次の就職までの間も同じだ 。当然生活費を入れられない月も多かった のだが、本人はケロっとしたものだった。 ストレス抱えて働くより社会の制度を利用 して生きればいいんだよ。お前は毎日他人 が汚したトイレや廊下の掃除してさ、 つまんない人生だと思わねえの。 [音楽] そんなことばかり言い続ける夫に対し、私 は愛情や尊敬の念などの昔に失ってしまっ た。 長男の麦夫は大学を卒業後、同じ会社に 務めるかほと授かり婚をした。今は私の家 から徒歩5分のところに家を借りて暮らし ている。 孫のつみは10歳。小さい頃から私を慕っ てくれる可愛い子だ。 仕事も順調だし、息子夫婦もなんとかやっ ている。夫に不満はあれど、それなりに 恵まれた人生だと思っていたのに。 ねえ、母さん。 日曜の夜、1人で家に来た無男がお茶を 飲みながら私を呼んだ。 社長の月収はいくら?どうしてそんなこと聞くの?ああ、いや、単なる興味だよ。単なる興味とはいえ、息子が母親の月収を担当直入に聞くなんていいことではないだろう。今不景器だし 20万かな。嫌な予感がした私はとっさに嘘の金額を口にしていた。 へえ、思ったより少ないんだな。ああ、で もボーナスは別か。清掃業にも不景なんて あるわけ? それはあるわよ。清掃社員さんたちでする ことに決めた会社もあるし。 うん。でも母さんは社長だから自分で自分 の給料を上げられるよね。そんな簡単な ものじゃないのよ。 私のその答えに麦夫は納得がいかないと いう表情を浮かべていた。 その翌日、ジムの女性社員が社長室のドア を開けながら私に声をかけた。 さゆりさん、ご主人と息子さんご夫婦が いらますよ。え、そうなの?はい。 ししてもいいですか? 私が答える前に彼女の背後から夫と麦をかほが現れた。平日の昼間だというのに仕事はどうしたのだろう? 事務さん、コーヒー入れてきてよ。スタントじゃなくてトリップのやつね。夫に言われ、彼女はした顔をしながら下がっていった。 その嫌な言い方に私の方が恥ずかしくなっ てくる。後で彼女にしっかり謝ろう。 今の事務さん社長じゃなくてさゆりさんっ て呼ぶんですね。 断りもなくソファーに座りながらかほが 呆れたように言った。 私が社長になる前から働いてる人なのよ。 ふーん。舐められてるわけじゃないんです ね。 かほの言葉にカチンと来るが喧嘩をしても 仕方ない。唇を引きんで言葉を飲み込んで いると、先ほどの女性社員がコーヒーを 運んできてくれた。おそらくインスタント のコーヒーだろう。それでいい。無の言う ことなど聞く必要はない。 母さん、今まで黙ってたんだけどさ。 彼女が社長室を出るのと同時に無が口を 開いた。 半年ちょっと前に俺とかほが勤務めてた 会社潰れちゃったんだよねえ 。 あまりの驚きに私は危うくコーヒーカップ を落とすところだった。 太勤め先の会社が潰れたなんて全く聞いて いなかった。 どうしてそんな大切なことを黙ってたの? 麦夫かほはお前に心配をかけないように 隠してたんだよ。いい息子夫婦じゃないか 。 夫が挟まなくてもいい口を挟む。つまり 知っていたということか。 それで今どうしてるのよ。雇用保険を もらって暮らしてるの。 今はね、会社都合の退職だからすぐに給付 が始まったし、俺とかほも仕事を探してる からなんとかなるとは思うんだけど、ただ つみが つみ?私の可愛い孫に何か影響が出ている のだろうか。 お母さん、つみ、中学はお受験をして市立 に行きたいって言い始めたんです。それで 色々調べてみたらお受験は4年生から塾に 行って対策する子が多いらしくて かほが私の疑問に答えるかのように話し 始めた。 4年生って今のつみの年齢じゃないの? そうなんですよ。だからすぐにでも塾に 通わせたいんです。でも私たち今2人とも 出業中じゃないですか?ちょっと先行きが 不透明で。それでお母さんに相談なんです けど なんだろう。嫌な予感がする。 夕べ無に私の月収を聞かれた時のような 感じだ。 そういえばあの質問が何だったのかも わからない。 母さんお願い。杉身の受験の日を出して もらえないかな? 私の違和感を知ってか知らずか無が本題を 切り出した。やはりお金の無神か。 お受験費用っていくらくらいかかるの? 塾の費用が6年生までの3年間で200万 くらい。家庭教所をつけたり受験科目が 増えたりすれば上乗せになるけど。 200万 正直なところ出せない金額ではなかった。 私は夫が不害ないこともあり、今まで多め に貯金をしてきたのだ。しかしそれは全て 私の名に夫が勝手に手をつけることはでき ない。それで今日長男夫婦と一緒に夫も やってきたのだろう。 可愛いつみのためならお金を出してあげる こともやぶさかではない。しかし私に まとわりつく嫌な感じが気になって仕方が なかった。 この正体がつめるまで首を縦に振らない方 がいいだろう。 ちょっと考えさせてくれる? そう思って私は返事を保留にすることにし た。 そんなこと言わずに出してやれよ。麦かほが困ってるんだ。 頼むよ、お母さん。俺たちも一生懸命次の仕事を探してるんだからさ。お願いします。お母さん。入宿が遅れれば遅れるほどに受かる可能性が少なくなっていくんです。 3 人同時に反論し始めたけれど、私はそれでも自分の感覚にこだわっていた。 こんな気持ちでお金の約束などしたくない のだ。 突然の話で自分の貯金総額が把握できて ないのよ。確認する時間をちょうだい。 私は少し強い口調で言うと来却予定がある と嘘をついて3人を追い出した。 その晩浴草の掃除をしていた私はようやく 嫌な感じの正体に気づいた。 お正月につが泊まりに来た時一緒にお風呂に入ったのだがその際にこんな会話があったのだ。将来何になりたいの? 何の仕事をするかは決めてないけどね。ダンスをやりたいんだ。 あら、いいじゃない。つが踊るとこバーも見たいわよ。 見れるよ。 つが行く中学に大きいダンス部があるから立なのに私立より強いんだよ。つも中学に行ったら入るんだ。はお事件どころかの効立中学に進むつもりだったのだ。しかしかほはつがお受験をして私立に行きたいと言っていると話していた。 その帰りが私に嫌な感じを与えていたの だろう。しかしこれはどういうことなのか 。 つ自身の希望ならお金を出してあげる方向 で考えていたけれどそうでないなら話は別 だ。 納得がいかない私は直接つみに聞いてみる ことにした。 翌日私は昼休みの時間帯につの小学校へ 行った。 職員室へお邪魔し、孫に用事がある胸を 告げるとの先生が呼んできてくれた。 わあ、どうしたの? そう言い笑顔を浮かべるつみはやはり私の 宝物だ。 3人の先生が職員室の隣にある学習準備室 を貸してくれたので、つと私はそこへ移動 した。 コピー機や事務などが置かれた小さな部屋 の真ん中に会議用の長テーブルがある。 私たちはそこに置かれたパイプ椅子に座っ た。 ねえ、つは学内の高立中学校に行くって 言ってたじゃない?うん。 ダンス部の強い中学校でしょ。 そう、そう。今もその気持ちは変わってないの? 変わってないよ。つぐみダンス部に入るのを楽しみにしてるんだもん。 やっぱりそうか。つのきっぱりとした返事を聞いてわかまっていたものが確信になる。私は心の奥で金の無信をしてきた息子夫婦を疑っていたのだ。 例えばお受験をしてファイクラスの私立 中学に行きたいとかそういう気持ちはない の?あ、全然ないよ。お受験なんてめんど くさいもん。絶対に嫌だよ。もう間違い ない。夫と息子夫婦は私を騙してお金を 巻き上げようとしたのだ。許せない。嘘。 そのものより許せないことがある。その嘘 につみを利用したことだ。 怒った私は社員たちが帰った後の会社に夫 と息子夫婦を呼ぶことにした。 話なんて家ですればいいじゃないか。どう して俺まで呼ばれるんだよ。 社長室に入ってきた夫はどうやら不機嫌の ようだ。家から私の会社へ来るのが面倒 だったのだろう。 昨日の話考えていただけたんですか? 逆にほはいつになくにやかだ。私がお金を出すと確信しているのか?悪いね。母さんにお金を出してなんて言っちゃって。でももうすぐ父さんもまた仕事を辞めるし俺たちは出業中だろ。裕福なのは母さんだけなんだよ。麦夫おはやけに口数が多くなっている。 きっと私の態度に何かを感じているのだ。 母さんの月収が月20万っていうのは びっくりしたけどボーナスは別だろ。それ に何よりつみのためだからさ。 つみが自分からお受験したいって言ったの ね。そうだよ。だから母さんの援助が必要 なんだ。 今日つみに会ってきたのよ。 私がそう告げた瞬間、夫と息子夫婦の顔色 が変わった。自分たちの嘘がバレたことを 理解したのだろう。 つはお受験なんてめんどくさい。絶対に嫌 だ。公立中学に進むって断言してたわ。 麦夫とかほが言い訳を探すように顔を 見合わせている。 夫は腕組をして黙り込んだままだ。 つみを利用して私から 200万も騙し取ろうとしたのね。 母さん、それは違うとは言わせないわよ。私のお金をどうするつもりだったの?私がそう聞くと麦おの表情がさっと変わった。ふてくされた生意きな顔。これは開き直った証拠だ。 母さんがもっと俺たちに惜しみなく金を使っていればこんなことにならなかったんだよ。私を見下すような嫌な目つき。口調まで平もに変わっている。そうですよ。月収 [音楽] 20万だなんて。私たちをごまかしたのはお母さんじゃないですか。ほもおと同じような表情と目つきになっていた。 私が正直に月収を告げていたら騙す金額は もっと跳ね上がったということか。 自分たちがしたことは詐欺だと思わないの ? そうだとしても身内同士だからな。刑罰に はしされないよ。 夫が横から口を挟むのも頭に来る。この3 人は自分たちが何をしたのか分からないの だろうか。 俺とかほは一生懸命真面目に働いてきたの に会社がいきなり潰れて無職になったんだ 。退職品だってスズメの涙だし雇用保険は 給料の全額が出るわけじゃない。おまけに もうすぐ給付期間だって終わっちまう。 麦おの口数がまた多くなった。 母さんは社長のくせに俺たちにあんまり金 を出さなかったよな。息子と孫なんだから 、ある程度いい生活ができるように援助し てくれても良かったはずだよ。 あんたたちは毎年のように海外旅行へ行っ たり、ブランドのバッグや高級家具を買っ たりして贅沢に暮らしてたじゃない。援助 なんて必要なかったでしょ。 つみの手前海外旅行も必要だろ。それに ある程度の金回りを見せないと友達や会社 の人たちにも尊敬されないし。 なんという言い訳だろう。やっぱりこれは こらしめてやる必要がありそうだ。 お金を出さなかった私が悪いのね。 それなら私にも考えがある。 じゃあお詫びに麦夫とかさんを私が雇うわ 。それならあなたたちも無職じゃなくなっ て安定した収入が得られるでしょ。 私はそう言って息子夫婦の顔を交互に見た 。 やった母さんサンキュー。俺たち社長の 息子夫婦なんだから大きな顔してここにい られるよな。これで時期社長は私たちで 決まりね。そうだよな。よかった。めんど くさい就職活動ともこれでさよならできる よ。 自分たちが何を担当させられるか知らない 息子夫婦は高取りして大喜びだ。 なんだよ。最初からそうしてやればよかっ たのに。 人のように言う夫ももちろんお仕置きは 用意してある。覚えてるよ。 1週間後、私は入社した麦夫現場に配属し た。 俺たちは社長の息子夫婦なんだから経営の 仕事じゃないの。 経営者は現場を知るべしっていうのが仙代 の社長の方針なの。あなたたちにも現場 から入ってもらいます。 お母さんは私たちに戦争の仕事に出ろって 言うんですか? かほさん。そんな言い方はないわよ。うち の会社はお客様のところへ清掃に入らせて いただくことで初めて売上を頂戴できるの 。嫌ならやめてもらってもいいのよ。将来 の社長夫人の座も失うけどね。 無条件に会社を告げると思っているあま ちゃんにはこう言ってやるのが1番効果的 だ。 それってかほがやめるなら俺も首はそうよ 。2人1組で雇ったんだから無嫌ならやめ てめんどくさい就職活動に戻ったら 不採用の度にショックを受けているで あろう無はこの言葉に口をつぐんだ。 私が麦夫とを行かせたのは巨大な工場の 清掃業務だ。受け負っている中で最も過酷 な現場なので通常この仕事をする社員には 特別手当てを払っている。しかし息子夫婦 にその手当てを出すつもりはなかった。 全くの新人なのだから給料だって最低学だ 。車内で1番厳しい先輩社員を監視につけ 現場に送り込んだところ。2人は3日目に 寝を上げた。 母さん現場を変えてくれよ。きつくて工場 の入り口を清掃するだけでも大変なんだ。 知ってるわよ。100人いる従業員の 下駄箱1つ1つ吹かなくちゃいけないのよ ね。 つまり100速の脱いだ靴があ るってことだよ。もう強烈な匂いでさ、 吐きしてくるんだ。その臭い中俺とかほで 全部の毛タ箱を拭くんだよ。きつすぎ るって。 私もその現場に行っていた時期があり、辛 さはよく知っている。しかも清掃が緩いと すぐにクレームをつける顧客なのだ。 それにトイレがすごく汚いんですよ。大人 が使うは思えないくらい。社員がたくさん いるのに女子トイレは4個しかないから もう何回も何回も掃除させられて。男子 トイレもだよ。人数が多いからすぐ汚れて 臭いし大変なんだ。あの鬼軍曹は偉そうに 命令だけして何もしないし。 先輩社員には口だけ出して手は出さないで くれと私の方からお願いしてあるのだ。 それに社員たちの態度がむかつくんです。 あの会社超ブラック企業なんですって。 みんなイライラして掃除してる私を邪魔 扱いするんですよ。もうやってられません 。 父が私に言っていたのはここのところだ。 清掃業務は仕事もきつく、残念ながら下に 見られがちな職業でもある。おまけに派遣 先で嫌な思いをさせられることも多い。だ からこそ経営者は現場の辛さを肌で知り、 その業務に従事する社員に感謝と尊敬を 抱く人間であれと。 しかし私は麦夫とかほにこの会社を任せる つもりなどない。いずれ私がリタイアする 時は実力と人間性のある第3者に外部継承 するのだ。実はそのための準備ももう始め ている。2人には車内最安の給料でずっと 働いてもらう。身内だから刑罰は稼れない と私に詐欺行為をしようとした人間たちだ 。もちろんち上げをしてやるつもりなど ない。何か言われたら公開してやるのだ。 身内なんだから仕方ないわよね。嫌なら やめてもいいのよ。 おい、なんで俺の洗濯物ばかり残ってるん だ。 もう今夜吐き換えるパンツもないぞ。何やら夫が騒いでいる。私は自分の分だけ作った夕食を食べながらその声を聞き流していた。麦夫かほが入社は夫にも仕返しをするべく高宣言していたのだ。今後の家事は一切しません。 [音楽] [音楽] 料理も洗濯もね。それからお金が足りなく て私に泣きついても1戦も出さないわよ。 それ以来私は本当に夫の世話を何もしてい ない。また自分の分だけ食事を作りやがっ て。 どうして私が詐欺師の面倒を見てやら なきゃいけないの?お腹が空いたなら何か 作るなりくるなりすればいいじゃない。 毎晩毎晩外食か弁当じゃああっという間に 俺の金がなくなっちまうよ。 お金が足りないなら副業にバイトでもすれ ば そう言ってやると夫はむっとした表情で外 へ出ていった。 帰ってきたのは2時間後だ。お酒臭いと いうことはどこかで飲んできたのか。 さらに1週間後、私は洗濯波で悪習臭を 放つ、夫の下着や靴下を全て捨てた。夫は 自分で選択をすることなく、次々に衣類を 買いたしているのだ。そうしておけば 見かねた私がやるとでも思っていたの だろう。 食事も同じことで自分で料理ができない夫 は弁当を買ったり外食に頼ったりを 繰り返している。 そのせいか少しずつ太り始めているようだ。しかしお財布は痩せ細っているに違いない。 [音楽] 申し訳なかったです。 3 人揃って社長室へやってきた夫と息子夫婦が私に深か頭を下げたのは仕返し開始から 1 ヶ月が過ぎた頃だ。さゆり俺の食事と選択をしてください。 もう金がなくなってきちゃって。俺も反省 してますから現場を変えてください。 きつくて我慢できないんです。 私も本当にすみませんでした。でもこれ 以上現場に耐えられないしやめたら時期 社長にはなれないし。 3人の表情に私を騙そうとした時の勢いは 残っていなかった。 それはもう少し様子を見てからにするわ。 けれどすぐに許してなどやるものか。 あなたたちが私にしたのは詐欺だもの。 本当に開心したって私が納得するまでは今 のままよ。 そう宣言すると3人はがっくりと肩を 落とした。 その後麦夫かほをやめ就職活動へと戻って いった。しかしなかなか次の仕事が 見つからないらしい。 あれでは最終職は厳しいと思いますよ。私 にそう言ったのは息子夫婦が現場に行って いた時に監督した先輩社員だ。すぐに むっとするし仕事も雑ですからね。お客様 の社員を睨んだりして。 やっぱりそうだったのね。迷惑かけちゃっ てごめんなさい。え、仕事ですから。でも あれじゃあ面接に行っても採用されないと 思いますよ。 その言葉通り2人の就職活動は南している 。見えっ張りなので対遇のいいところを 襟り好みしているせいもあるのだろう。 いざとなったらつみだけは私が面倒を見る から息子夫婦には大いに社会勉強をして もらおうと思っている。一方、夫は本当に コンビニエンスストアで副業を始めた。私 が世話をしなくなっただけでなく、足り ないと言われてもお金を渡さないから仕方 がないと思ったのだろうか。しかし客商売 は甘くない。しょっちゅ大に怒られ、お客 さんにクレームをつけられて精神的に参っ てきたらしい。 本色はこのまま続けるから俺の世話をして くれないかな。 そう言い出したところを見ると雇用保険 狙いの退職は諦めたようだ。 このまま夫には頑張ってもらおう。私の家のリビングでつがダンスをしている。警快な音楽に合わせて踊る姿はなかなか華麗だ。マばどう? [音楽] 曲を通して見せてくれた後、つが満面の笑で私に聞く。私は今つをダンスのレッスンに通わせてあげているのだ。 費用は全額私が出しているので麦夫とかほは特に文句も言ってこない。すっごく上手よ。 本当つぐみね。ダンスを習えるようになって毎日すごく楽しいの。 レッスン台はずっと払ってあげるからとことんやってみなさい。つみには才能があると思うわよ。 うん。頑張ってやってみるね。 嬉しそうな笑顔を見ていると私まで心が温かくなる ねえ。バーバも踊ってみない? え?それは無理よ。 大丈夫。つみが教えてあげるから。 この笑顔を守れるようにこれからも頑張って働いていこう。つみに習って初めてのステップを踏みながら私はそう決意を新たにした。 嫁が嫌がるから来るな。母さんがいる間は 愛そよくしてるけど、帰った後に機嫌が 悪いんだ。あいつは母さんが来るたびに気 を使って疲れてるんだぞ。空気読めよ。 私の受男であるけ太は最婚後に冷たくなっ てしまった。最初はいい人だと感じていた 新しいお嫁さんのリサさんや義りの孫娘と なった彩佳ちゃんにも次々と不審感を覚え ていく。それでも私への態度がきついだけ ならきっと私は何もしなかっただろう。私 の宝物孫娘のゆい。 その日私が見たのは薄暗いで膝を抱えてたった 1 人で泣くゆいの姿だった。どうしたの?お母さんたちは 家族だけで姉の誕生日会してる。 [音楽] さらにゆいは涙ながら衝撃の一言を私に伝えてきた。 お父さんも一緒だよ。 それを聞いた私はすぐさまゆいにこう告げた。 私たちも家族だけで引っ越すわよ。誰にで もどうしても譲れない一戦はあると思う。 私にとってはそれがユいだったのだ。 私の名前は田中み子。完暦を迎えたばかり の主婦だ。夫をなくしてしまったが、今は トイプードルのモことの1人と1匹暮らし をのびノびと楽しんでいる。仕事である パートも生きがいの1つだ。私には2人の 息子がいる。 長男の洋太は遠い国で家族を作って暮らし ているのでなかなか会いにはいけない。今 はスマホで連絡が取れていい時代になった と思う。 次男のケ太とは家が近い。げ太は数年前に 離婚して、孫のユいと共に当時私が1人で 住んでいた家に身を寄せてきた。 幼い日の息子たちが過ごしてきた実家でも あるため頼りやすかったのだろう。 やがて再び両園に巡り合いケ太は去年 めでたく再婚。新しいお嫁さんのリサさん は明るくてチャーミングな人だ。にも気作 に接してくれるし、今のところはいい印象 しかない。リサもまたバ一だそうでゆいと 同年代の娘である彩かちゃんを連れてきた 。私は息子の選択を信じ、2人を祝福した 。最婚にずっと住んでいた家を無料で 貸し与え、自分は賃貸住宅に移り住むほど だ。ご近所さんとも仲が良かったので 名残り惜しかったが新たな角出で苦労して 欲しくなかった。 今私が住んでいるのはかなり古くて小さな 尺屋だ。大家が古くからの知り合いなので 随分と安い値段で住まわせてもらえた。 狭いながらもがあり、トマトなどを育てる のが楽しい。ケ太が再婚するまでの数年間 は賑やかな3人暮らしだった。今は再婚 同士とはいえ、まだ新婚だからと思い 訪ねることも遠慮している。少し寂しい時 もあるがもこと過ごす静かな暮らしもいい ものだ。 お盆休み私は張り切ってご馳走を作ってい た。ゆいが泊まりに来る予定だったからだ 。多分ケ太がユいを送ってくるだろう。 一緒に食べないまでもお土産にしてもらえ ばとクッキーまで焼いた。やがて玄関の チャイムが鳴り町に待っていた孫だと喜ん であげる。そこにいたのはユいただ1人 だけだ。思わず見えない位置にケ太がいる のかと覗き込んでしまったがやはり誰もい ない。 どほど意外そうな顔をしていたらしく、ゆいが私に教えてくれた。 お父さんは忙しいって。私 1人だよ。 ゆいはバスに乗ってきたそうだ。とりあえず納得して中に招く。なぜかゆいは学校指定のジャージを着ていた。 [音楽] 13 歳の中学生。おしゃれをしたい年頃ではないのかと不思議だった。 ジャージだけど、今日は学校だったの?お 休みの時期よね。部活とか 疑問が抑えきれず、つい質質問攻めになる 。するとゆいはなぜか少し暗い顔で答えた 。 学校は夏休み中。部活もないよ。美術部は まるまるお休みなの。それならどうして 学校指定のジャージを着ているのかます 不審に思う。しかも明るい室内で見ると 袖口や裾に汚れがあるのが分かった。どう も選択ではないようだ。いよいよ気になっ た私はどうしてそんな格好なのかと重ねて 聞いてしまった。するとゆいは気になる ことを言う。 選択が大変だからジャージ来てろって言わ れた。なるべく汚さないようにしてるんだ けど。一体誰がそんなことをと考えるまで もない。あの家で洗濯機の使を握っている のはケ太の妻となったリサさんだ。まさか ここに来て前の妻の子であるユいが 疎ましくなったとでも言うのか。私は気 を揉んで色々と問いかけるがゆいはそれ 以上話そうとしなかった。もしかしたら 実種の彩佳にも同じことを言っていてそう いう方針の人なのかもしれない。不満は あるが私が騒ぎ立てて余計にこじれでもし たら大変だ。仕方がなくその時は一度不満 を飲み込む。でもせめて私の家にいる間 くらいはもっと幸せな顔をしてほしい。 ゆいは数日間止まることになっていたので 早速連れ出して可愛い服を買い与えた。数 日後に帰る時にも着せたまま家へと 送り届ける。出迎えたリサは可愛いと絶賛 し、何度も私に頭を下げた。 その姿だけを見れば無理やりジャージを 着せた当人だとは思えないくらいだ。リサ がユいを礼しているなど考えすぎだったの かもしれない。そう思いつつも心配でケ太 にもそれとなく聞いてみたがケ太は呆きれ たように言うだけだった。 うちは家庭円満だよ。母さんは考えすぎな んだ。やはりだったのだろうか。心が後日 たまたま買い物に出かけた先で義の孫で ある彩かを見かけた。驚いたことに彩は私 がゆいに買い与えた服を着て友達らしき数 مشاと歩いている。びっくりして声を かけると彩佳はツンとして答えた。ゆいに もらったから来てるだけですけど。何? 家に遊びに行った時はおばあちゃんと呼ん で笑顔を向けてくれるのに他人行儀な様子 に違和感を抱く。胸騒ぎが抑えきれずケ太 に電話してどういうことかと問いたした。 そんなの姉妹の間で起きたことだろ。俺は 知らないよ。自由にさせとけばいいじゃ ないか。 帰ってきたのは取り着く島もない言葉だ。 違和感が拭えず、私はひどく落ち着かない 気持ちになった。もうこうなれば自分の目 で確かめたい。だが遊びに行きたいと 伝えるとケ太はこんなことを言って私を 拒ばんだ。嫁が嫌がるから来るな。母さん がいる間は愛よくしてるけど、帰った後に 機嫌が悪いんだ。あいつは母さんが来るた に気を使って疲れてるんだぞ。空気読めよ 。私は息子の変化に驚くしかなかった。 こんなことを言う子じゃなかったのにと 思う反面、お嫁さんと義母の関係は難しい ということは理解できる。じゃあ孫たち だけでもたまにはバーバの家に遊びに来 てって伝えておいて。仕方がなくそう言う とケ太はなぜか鼻で笑うような言い方で 応じる。孫たちって。母さんの孫はゆい だけだろ。 その言い方にカチンと来た私はカも早々に 電話を切った。その時はまだこの不審感が さらに膨れ上がって弾けてしまう日が来る とは思いもよらなかった。 悪いことは続くもので、そんな頃に私の母 が亡くなった。最後は施設だったが元気な 間はずっと私の実家でもある大きな家に 1人で住んでいた。母は人付き合いが好き ではなく、特に自宅に人を招くのは苦手 だったと思う。そのせいもあって、私も 結婚後はほとんど実家に行くことはなく、 会う時にはお互いが町に出て私の家族と 一緒に食事会をするのが常だった。私は 1人っこだったので実家の建物も相続する ことになる。久々に入った実家の建物は いつの間にか完璧にリフォームされていた 。お風呂も台所もピカピカだ。もしかし たら私に残す時期が近いことを悟って直し たのかもしれない。 実家の周辺は今地下が非常に高いらしい。 さらにこれだけ綺麗にリフォームしてあれ ば価値はさらに上がってしまう。家の資産 価値を知った私はその場に崩れ落ちそうに なった。なんと1億円の豪邸を相続した ことになるというのだ。思いがけず 1000万円を超える相続税を背負って しまった。私だって貯金がないわけでは ないがこれはさすがにヒーヒー言うことに なる。なくなく息子たちにも少し支援して くれないかと頼むことにした。 太かなり心配し心を申し出た。ありがたい ことに太の祭師も我がことのように気遣っ てくれるところが次男であるケ太は わざわざ尋ねて頼んでも冷たい反応だった 。俺だって懐は厳しいんだ。無理なら家を 売って払えばいいだろう。それも相談して は見たけど買いがつかなくてすぐには売れ そうもないの。話してる間、賢太は チラチラと私の後ろに目をやる。私はケ太 の家のソファーに座っているのだが、後ろ はキッチン。つまりそこにいるリサの顔色 を伺っているのだろうと分かった。 新しいお嫁さんができたばかりなのだから 仕方がないと思いつつ、やはりため息が 出る。 うちは子供もいるし、お金がかかるんです 。 母さんには申し訳ないけど、無理ですよ。借金でもしたらいいんじゃないですか。いにはサ人が助けを出し始めた。私は黙って唸だれる。貯金と太からの支援でとは賄える予定なのだ。あとほんの少し助けてもらえればどうやら無駄足だったらしい。 ふと見ればゆいと彩佳がリビングの入り口 から心配そうにこちらを見ている。私は ユいが穴の開いた靴下を履いているのに気 がついた。先日のジャージ事件もそうだが 、もしかしたらケ太たちはお金に困って いるのかもしれない。 本当に余裕がないのね。私はますます思い をついた。 私は恥をしんで再びよに頭を下げた。陽太 は当然のように追加で支援してくれる。 これに母からの遺産を合わせればなんとか なりそうだ。私はほっと胸を撫で下ろした 。 今回の騒動で相続とはとんでもない面倒だ と知った。周りの知人に聞くと特に兄弟が いると大変だという。息子が2人いる 私自身も人言ではない。早めに就活しよう と考えるようになった。弁護士の行う無料 の相談会に相談した日のことだ。もう そろそろ夕食時、今夜のご飯は簡単なもの で済ませようと思いながら家の前に車を 止める。そこで私は思わず目を疑った。 薄ぐらい庭の隅みっこでゆいが膝を抱えて 泣いているではないか。私は転げるように 車を出てゆいに駆け寄った。どうしたの? お母さんたちは?ゆいは1人で私に会いに 来たことがあるのでこの場所まで1人で 来れたこと自体は不思議ではない。ただ何 の予告もなく1人きりでここで座っている のはどう見てもおかしいことだ。 するとユいはグスぐスと鼻をすりながら やっとといった様子でつく 家族だけで姉の誕生日会してる。 私はぞっとした。まさかリサと彩佳がゆい を家から追い出したのか。怒りで震え ながら私はさらに問いかける。 お父さんはケ太がこのことを知っているの か確かめたかった。 さすがに実の親であるケ健太ならゆいの味方になるに違いないと思ったからだ。だがゆいから帰ってきたのは最悪の答えだった。 お父さんも一緒にパーティーしてるよ。私は家族じゃないって言われた。ガンと頭を殴られたようだった。ショックでグラグラする頭を抱え自体を整理しようと勤める。 やん家だが可愛い息子と思ってきた健太が 急に別の生き物になったかのように思えた 。ゆいのために買ってあげた服を彩佳が着 ていたことも思い出す。あれも勝手に 取り上げられたのかもしれない。それを 賢太やリサもよしとしたのか。 私の中で何かがプチンと音を立てて切れた 。 私たちも家族だけで引っ越すわよ。腹の底 から湧き上がる怒りを抑えながらユいに 告げる。戸惑うゆいを促し家に招き入れた 。そのまま急いで引っ越し屋を探す。私は 古い人間なので電話帳が頼りだが優位に 頼むとインターネットも使って手助けして くれた。運ぶものがごくごく少しだからか すぐに対応してもらえるようだ。元々相続 した親の家については住もうか売ろうかと 迷っていた。私1人には広すぎるし、この まま賃貸暮らしでも十分だと考えていた からだ。しかし可愛い孫が一緒なら話は 違う。ゆいさえよければひいおばあちゃん からもらった家で一緒に暮らしましょう。 私が誘うとゆいはパッと顔をあげて パチクりと瞬きをした。 本当お父さんたちの家にいなくていいの? 不安げな声に悲しくなった。早く気づいてあげられなかったことが悔しくてならない。学が違うため転校しなければならないことが気になったがゆいはむしろ喜んだ。仲のいい友達とは [音楽] SNS で繋がってるしまた会えるから平気。あ子も同じ学校だからずっと嫌だったの。 [音楽] そう言ってゆいはやっと笑顔を見せてくれ た。私はゆいを本当に大切に思っている。 最婚の時も娘2人を訳け隔立てなく愛する と言ったからこそ祝福した。それだけに 裏切られたと強く感じてとても受け入れ られない。どうしてくれようと行きまく私 の腕にゆいがそっと触れた。お ばあちゃんいいの?私がうまく新しい家族に馴染めなかったから。 あんな目にあってもまだゆいは自分の方を攻めているのだ。優しさに心打たれると共にこんないい子のゆいをひどく扱った連中に改めて怒りが湧いた。引っ越し合への連絡が済み今度は健太に電話をかけるだがつまで立っても留守伝だ。 仕方がなくいはうちにいるとだけ言を残し た。 次の日私とゆいは新居へと向かった。少し は焦るかと思ったのにケ太からは何の連絡 もないままだ。新居についてから改めて 電話をすると眠そうな声だった。休日だ からかまだ寝ていたらしい。ゆいのことな んだけどと名前を出すとケン太鬱陶しそう に言う。 ゆいなら友達の家かどっかに遊びに行っ てるよ。 私からの留守伝を聞いていないようだ。 あきに取られつつ私は怒りを抑えて会話を 続けてやった。そうで昨日は彩佳ちゃんの 誕生日会だったんですって。するとけ太は 急に上った声で答える。え、誰に聞いた? ああ、まあうん。誕生日会ね。やったけど 。 すると電話の向こうでガサガサと音がし、 遠くでリサからしい女性の声もする。私が じっと待っていると電話からリサの声が 聞こえた。 もしもし。お母さんごぶ沙汰してます。 彩佳の誕生日覚えててくださったんですか ?お母さんも誘えばよかった。家族みんな で一緒にお祝いしたかったですね。 いつも通りの余ったる育が今は耳障りで 仕方がない。内容のしらじらしさにも会え た口が塞がらない気分だった。そう。ゆい は私の家の庭にいたんだけどユいは家族 じゃないのね。え?どういうことですか? 私が低い声を出すとリサは同揺していた。 再び物音がしてもしもしとケ太の声に 変わる。電話の向こうでリサの声がした から何か伝えているのかもしれないが待つ もない。私は淡々と言葉を続ける。留守伝 に入れておいたのに全然確かめてないのね 。昨日外出して帰ってきたらゆいがうちの 庭で膝を抱えて泣いていたの。お前は家族 じゃないから出てけって家から放り出した んですって。あなたはリサさんや彩か ちゃんと一緒に彩かちゃんの誕生日会をし てたのにね。ケ太はしドロモドロになって 必死に言い訳をしようとしているようだ。 電話の口を抑えながら相談でもしているの か。やべえ。おふ論地に行ったって友達の とこ行けって言ったのにと言い合う声が ごく小さく漏れ聞こえてきた。このごに 読んでごまかそうとするけ太に苛立ち ギリギリと歯を食い縛る。1度 しかり飛ばすだけでは到底足りない。徹底 的にやってやるぞと胸に誓う。そういう わけだからゆいならうちにいるわ。あなた たちはユいを家族じゃないと思ってる みたいだしよければこのまま引き取ります 。待てってば。そんなの嘘だ。あいつ勝手 に出てったんだよ。今々ましいことにケ太 はユいのせいにしようとしてきた。だが私 はすでに証言を手に入れている。私はリサ にも聞こえればいいと願いながらこさら 大きな声を出す。 嘘じゃないことは分かってるわよ。お迎え さんにも聞いたからね。しょっちゅやって たらしいじゃないの。 け太たちが住む家は元々私が長年暮らして きた場所でもある。当然ながらご近所の人 たちとは親しい顔馴染みだ。特に向いの家 に住む同年代の夫婦と仲が良く未だに交流 があった。ゆいが家から追い出されるのは 初めてではないらしい。締め出されたまま 夜になることもあり、時々お迎えのご夫婦 が気づいて家に呼んでくれていたそうだ。 その話をゆいから聞いた私は急いで事実 確認の電話をしていた。お迎えのご夫婦は 私も承知していると思っていたといい。 報告が遅れたことを謝ってくれた。私に 心配をかけたくないと考えたゆいから知ら せなくても大丈夫だと伝えられていた らしい。リサさんもあなたもそんなことを してるとは思わなかったわ。本当に がっかり。特にあなたは実の父親なのに。 私の子育ては大失敗だったみたいね。ケ太 はすっかり黙り込んでしまっている。いら ぬ言い訳は通用しないと諦めたようだが、 謝罪の一言もないとはどういうつもり だろうか。呆きれ果てた私はこう言い捨て て電話を切った。今後は付き合い方を考え ましょう。ユいは私にとっては大事な大事 なたった1人きりの孫だもの。 そしてケ太はもう私の大事な息子ではない 。ただの許せない相手に変わってしまった のだ。 さらに私は生前増与についても再び動き 出した。もちろんケ太たちに渡すものは 極限まで減らしたいというか本音を言えば 1円も渡したくない。弁護士にも相談し、 陽太とユいに分けられるものは全て分けて しまうことに。自分の生活にどうしても 必要なものについてはしっかりと遺言書を 残す。これで私がどうにかなっても残す ものはないわ。全部私を終えたからね。 よ太とユいにそう告げた私は晴れバレとし た気分だった。よ太 駆けつけようかとまで言ってくれたが 大丈夫だと伝えておいた。いずれこちらの 生活が落ち着いてからゆっくりと会う約束 をする。ついでに決して弟を助けないよう にと言い含めておいた。太電話越しに もちろんだと力強く頷く。洋太やその家族 もケ太の死でかしたことを聞き、かなり 怒っていたから安心した後を任せられる はずだ。 1ヶ月ほど経った頃私の携帯電話にケ太 からの着信があった。今更何のようだと 嫌がればいいのか。それとも逆になぜ今 まで何の連絡もなかったんだと怒っていい のか自分でも分からなくなってくる。 なんで家にいないんだよ。 こちらから電話をかけ直してみると繋がっ た途端ケ太はもしもしも言わずに文句を 言ってきた。 苛立ちながらも私はちゃんと対応して あげることにする。引っ越したからね。 ゆいの天候ももう済ませたわ。彩佳の SNSにユいが出ていったことを両親も 喜んでいると書いてあったのに。今更何か よ。私はゆいに聞いて彩佳のSNS アカウントを見ていた。そこには陰キ出 てった大勝利ババーが引き取るらしい。 ママも新パも喜んでると嬉しそうに書いて あったのだ。私は再び怒りに燃えていた。 許さない。絶対にだ。ち、まあいいわ。 あのボロ屋のことで電話したんだよ。 母さんの実家のさ、当然処分するだろ。 知り合いの業者が小道具を買いとるって 言ってくれてるんだ。小遣いくらいには なるかもしれない。家事壊す前に寄らせて くれよ。あのボロ屋とは今私とゆいが住ん でいるこの家のことだろう。この家は作り はしっかりしているが、もちろん古い。 特にケ太が子供の頃はまだリフォーム前で 外壁も汚れていた。その古い外観の記憶 しかないため、ケ太は家の価値など高が 知れていると思い込んでいるようだ。 まさかその家が祖母によってリフォームさ れ、炭心地のいい空間になったとは強も 知る舞い。そして私から受け取れる遺産が ゼロになるということも悪いけどあの家 ならとっくに片付け済みなの。これ以上 処分するものなんか1つもないわよ。 私が告げるとケ太は落胆した様子で ブツブツ文句を言いながら電話を切る。 ずっと身構えていたのに最後まで先を聞い てこなかったことは新底がっかりした。 本当にこの子はユいや私に会いたいなどと は未準も感じていないのだろう。わざわざ 真剣を得たはずの実の娘に対する愛情など もうかけらも残っていないのだ。 ためらうことはない。育てた日々を思えば 虚しくはなるが、もはや私から検態の城は 消え去った。やっと全てが住んだ後、私は ケ太の家を尋ねた。今回はきちんとアプを 取る。対応するリサは相変わらず猫撫で声 で会いそうだけはいい。ゆいに留守番を 頼み、ケ太の家に向かう。夫や小さい頃の 息子たちとの思い出が詰まった家だったが 、すっかり印象が変わってしまった。あの 家の中でユいが受けてきた集中を思えば、 懐かしいだけの場所とは言っていられない のは当然だ。 ドアを開けたリサは驚いた様子だった。 この方は 満面の愛そ笑いを一瞬で消し、リサは 不真層に私の隣を見る。私は同行者として ある男性と一緒にやってきたのだ。 ひとまず相談に乗ってくれた人とだけ紹介 して一緒に家の中へ入る。 おばあちゃんいらっしゃいねえ。今日 お小遣いは 開光1番のおだりに呆れてしまう。いつも 訪問するた。彩佳とゆいに農学の小遣いを 渡していたので今回も期待されたのだろう 。今回はなしだと言うと彩佳はふてくされ た顔をした。今日はお父さんとお母さんと 大事な話をしに来ただけなの。けん太、 リサさん、ちょっとお時間ちょうだいね。 私は書類を取り出し、ケ太とリサに座って 聞くよう促す。小遣いがないと知った。 彩川は不満気に自分の部屋へと引っ込んで いった。ケ太とリサ、そして私と同行者の 4人はテーブルを囲んで席につく。私は バッグをテーブルの上に置き、賢太たちに 体を向けた。まず私が切り出したのは不 動産の鑑定を受けた話だ。いよいよケ太が ボロ屋と呼んだものが1億の豪邸である ことを明かす。 私の実家を引き継いだでしょ?あれの不 動産鑑定をしてもらったの。実はあの辺り 土地の値段がすごく上がっているのよね。 昔の家だから広いでしょ。建物も。私の母 が完全にリフォーム済みだから大体1億円 くらいの価値があるって。 1億円と聞いた途端ケ太とリサは目の色を 変えた。喜びの声をあげホ顔で身を 乗り出す。 まず口を開いたのはケ太の方だった。 すごいじゃないか。つ売るんだ? どうやら私があの家をお金に変えるものだと思い込んでいるらしい。どうせ自分たちもたんまりと分け前がもらえると思っているのだろうが、そうはいかない。私は済ました顔で答えてやった。占いわよ。今住んでるもの。すると今度はサが乗り出す。 1億円と聞いてどうもかなり豪華な住宅を 想像しているようだった。1億円の合程 なんて羨ましい。私たちも一緒に住みたい です。老語のせいもしますから。以前は 人っこいと思っていたリ沙の笑顔だが裏側 でどんなことを考えていたのかと思うと今 は気持ち悪く見える。もちろん私の返事は 脳だ。同居は考えてないわ。お世話も結構 よ。リサは何度も食い下がってきたが いえいえ大丈夫の一点張りで通す。同居を 認めようとしない私にしびれを切らしたの か。け太が再び口を開いた。いいじゃない か。家族なんだから一緒に住めば母さんも 助かるだろ。あ、そうだ。お袋はゆいと 暮らしてるんだよな。じゃあ親の俺たちも 一緒にいなきゃ。 我が子ながらなんて調子のいい男なのかと 思う。 家族なんて言葉を使って血のつがった実の 家族であるユいへの集中を忘れたのだろう か。今更取ってつけたようにユいの名を 出すだなんて本当に腹立たしい。私は いよいよケ太とリサを突き落とすことにし た。同行者としてついてきてくれた男性に めくばせをして私はケ太たちに宣告する。 あなたのものになんてなるわけないじゃ ない。だってあの家の名義人はもう お兄ちゃんだもの。兄弟だと例た例え不良 の事故でなんてことがあっても医療流分 すら相続できないんですってね。つまり ケ太とリサさんにはリタ1も入らないって わけ。 その時のケ太たち夫婦の表情は決作だった 。驚きと多分行き通りでわと震える2人の 前で私は狩料を広げる。そこには財産は 全て生前増与が終わっていることが説明さ れていた。私の資産はわずかなパート台 だけ。それだって生活費ですぐに消えて いくだろう。私は持っていた財産を健太に 渡さないためできる限りのことをしたのだ 。家の名は長男のよ。私にもしものことが あればユいの面倒を見ることを条件とした 。車を手放して現金に変えわずかに残った 貯金と共に全てユい位の名義にした。私の 持っているアクセサリーやバッグも価値の あるものは全てユいのものだ。こんなこと しかできないが私からのせめてもないだっ た。ふざけんな。俺の分がないなんて あんまりだ。実の息子が可愛くないのか。 ケ太とリサは2人揃って悲鳴のような声を 出す。私が相続税で困っていた時には 冷たく断ってきたのに随分と虫のいい話だ 。ひどい。なぜだと口々に言う2人に。私 はゆいやお迎えさんから聞いた内容を まとめた文章を突きつけた。け太こそ実の 娘が可愛くなかったの?今日はあなたたち と演切りに来たの。可愛い孫にこんなこと をする人間と付き合うのは無理。私の家族 はゆいちゃんだけです。あなたたちはもう 赤の他人ですから。 ケ太とリサが大声で抗議しようとするが、 私はさらに追撃を用意していた。 今回の件があったから遺言書も書き換える ため弁護士に相談中だからね。できるだけ あなたたちにつがせたくない。最低限ない と思ってちょうだい。するとケン太 すっかりし、真っ赤な顔でテーブルを叩く 。の物事に自分の部屋に引っ込んでいた 彩佳が影からそっと伺いに来るほどだ。 そんなことしたらただじゃおかない。 いくら親でもやってやるぞ。どうなるか 覚悟できてんのか。 実の親である私を脅すに彩佳とリサも同調 して口汚くのってくる。ケチだの卑怯の しまいには私やゆいが遺言場の完成前にい なくなればいいと言い出した。センターに 至っては拳を散らつかせ、私はユいに機害 を加えることまでほめかす。私は怒りに 燃えた。今こそ決定を出す時だ。弁護士 さん、この証言いかがでしょうか?バック の中に仕込んだボイスレコーダーは しっかりと動いている。こんなに大声で 怒鳴ってくれたのだからばっちり録音でき ているはずだ。 ええ、脅しで遺言の作成を妨げようとした証拠になると思います。 同行してくれた男性の正体は生前増与の相談に乗ってくれた弁護士だった。弁護士と聞いてひんでいる息子一家を知り目に私は弁護士と共にさと玄関に向かう。は思い出したように振り返っていった。そうそう。 [音楽] この家も持ち主が変わったから、今までは私の持ち家だったけど、今度は全くの他人が大家さんよ。あなたたちにも家賃を払うか退去するか選んでもらうって言ってたからそっちで相談しなさいね。 え、そ、そんな家がなくなったら私たちどうすればいいんですか?リサは金切り声をあげた。ケ太は弾かれるように席を立ち、私に追いすがって手を伸ばす。 そんなの払えるわけない。母さん助けてくれ。ゆいのことなら謝るから。 私は腕を掴もうとしてきたけ太の手を振り払った。ケ太はその場に崩れ落ち、土下げ下座していたが、私は無視して家を出る。最も安心できる場所であるはずの我が家にいられなかったゆいの気持ちを少しは味わえばいいのだ。 その後しばらくすると私とゆいにはやっと 平穏な生活が訪れた。ゆいは天候先で 新しい友達ができのびノびと通っている。 うちな性格の優位に友達ができるか心配 だったが、運よく似たような趣味の友達が 複数いて、よく一緒に絵を描いて遊んで いる。そうだ。今度映画版も見に行くんだ 。すっごくかっこいいんだよ。おばあ ちゃんもだ。別人のように生き生きと話す ユいの姿が可愛くてたまらない。以前は 暗い顔で俯いていたのが嘘のように上絶に なり、おしゃれも楽しむようになった。 楽しそうに過ごす孫の姿に喜びを感じる 日々だ。 私はいいからお友達と楽しんでらっしゃい 。私はウキウキと答えてもこを撫でた。 もこもゆいのことが大好きでよく懐ついて いる。孫と犬に元気をもらいながら生きる 日々はとても楽しい。さらに嬉しいことに 法律の力で健太を相続人から排除できる ことになった。なかなか認められないこと だと聞いていたので最高の気分だ。唯一へ のひどい周知が長期間続いていたこと。私 への脅迫があったことなどが主な理由だっ た。愚かなケ太夫婦はあの後も繰り返し 遺言書くなやすでに書いたなら今すぐ 書き直さなければ暴れるぞと変わるわる 脅しや嫌がらしの電話をしてきた。おかげ でたっぷりと証拠を揃えて警察に相談する までに発展したのだ。事件とまではかない がちゃんと警察の方から注意をしてもらえ たのだからありがたい。それらもまた証拠 となったおかげで医療分も含めて一切渡さ なくていいというお住みつきが出た。ケ太 は元々茨屋のくせに本性は木の弱い子だ。 警察が関わったことで急に異性を失い、私 には何も言ってこなくなった。しかもその ことをリサに攻め立てられて相当ギスギス した結果離婚したそうだ。この話はケ太 たちが住む家のお迎えさんから教えて もらった。2人の夫婦減価はかなり激しく 近所でも評判だったとか。全く恥ずかしい 話だが、もうあれは私の子ではないと縁を 切った。今はただ出傷するばかりだ。優位 の友人から届いた知らせでは彩佳は学校に 行かなくなってしまったらしい。親同士の 舟が激しすぎて家にいづらくなり家を 繰り返しているうちに親が離婚に至った そうだ。この先彩佳がどうなるのかは想像 もつかない。あのリ沙に育てられたに 甘やかされたせいで歪んだと思えば彩佳 もかわいそうな子だ。今はケ太たちからの 連絡も途え、あの家からはケ太もリ沙たち 母子も出ていったようだ。もう彼らの行方 をしろうとも思えない。今の私にとって 1番大切なのは目の前にいるユいだ。それ からなき母の思い出が溢れるこの家とトイ プードルのモこ。宝物はそれだけで十分だ と思う。ゆイの健やかな成長を願いながら 今日も私はパートにカジとくるくる働く。 幸せな日々がずっと続くようにいつまでも 元気なおばあちゃんでいたい。 義の父とはいえ迷惑だったわ。汚いし臭い しって助かる。いつまで生きるのかって 気がきじゃなかったわよ。 葬儀場の裏口で誰かにそういうのはなみ。 その言葉に私は怒りで震え立ち尽くした。 許さない。私は亡くなったは彦に変わって なみの本性を暴き復讐すると心に決め、 静かに彼女を睨みつけたのだった。 私の名前はマのすみれ。76歳。夫と長男 の3人暮らしだ。しかし普通の3人暮らし ではない。夫の春彦は若い時に アルツハイマー病を患らった。いわゆる 認知症だ。その上今では寿病の糖尿も悪化 し、今ではネタきりに。そのためうちでは ヘルパーさんを雇い、私自身も夫の介護を しながら暮らしている。 長男の盗は46歳。仕事はできるようで 車内では出世も早く今では課長だ。しかし もういい年だというのに結婚もしない。子 が結婚し孫が生まれて夫婦で旅行にという 友人を羨ましくも思うが移植中には困らず 生活できていることを幸せだと思っている 。 そんなある日が言った。 結婚することにしたんだ。 私は驚きすぎて腰を抜かしそうになった。 もうトルは結婚には縁がないと思っていた からだ。 本当なの?結婚騙されてるんじゃないわよ ね。大げさに言う私にトルは笑う。まさか 会社の取引先の子でとてもいい子なんだよ 。何度も顔を合わせているけどいつも にやかに挨拶をしてくれるんだ。 ここ数年我が家にお祝い事なんてなかった けれど嬉しそうな息子に私もますます嬉し さが込み上げた。 その報告からしばらくし顔合わせをする ことになった。妻になる方はなみさんと いう方だ。そう。 待ち合わせの旅館に彼女は綺麗なワン ピース姿で現れトールが言った通り穏やか な笑顔で私に餌釈をした。 お母さん初めまして。よろしくお願いし ます。 現在34歳で通るよりも人回りも若いこと にも驚いたが、何よりその丁寧な挨拶と物 の柔らかさには完復だ。どうしてこんなに 素敵なお嬢さんがトールを選んでくださっ たのかと思うほどだった。 初めまして。こちらこそよろしくね。夫が 来れなくて申し訳ないのだけど。そんな 謝らないでください。お父さんの具合が 良くないことは聞いています。ですが今後 は家族の一員として私にもできることは おっしゃってください。 私はその言葉に思わず泣いてしまった。 なんといい子が来てくれたのかと感謝 しっぱなしだ。少しでもトールが騙されて いるのではと思った自分が恥ずかしい。 それに来れなかったのはうちも同じです。 どうしても両親の都合がつかずすみません 。結婚のことは伝えてますし、私が選んだ 人に間違いはないと言ってくれたので、 うちのことは気にしないでください。 夏みはにやかに笑った。確かにここにいる のは彼女1人。いくらなんでも結婚の 川合わせに両親が来ないなんてと一瞬脳り をよぎったものの夏みの言葉を信じきった 私は信用のある娘さんなのだろうなと思い 深くは突っ込まなかった。 そしてトールとナみは結婚し4人で同居 することとなった。結婚式はしないとの ことで2人で写真を撮ってきたらしい。 結婚式をして欲しいという気持ちもあった けれど、親のためにするものでもないし、 私はその気持ちを抑え込んだ。 その数日後、結婚写真が送られてきた。 開けたい気持ちを抑えて私はなつみに言う 。 なつみさん、結婚写真が送ってきたわよ。 なみも嬉しそうに私から封筒を受け取った 。ああ、もう届いたなんてきっとトールも 喜ぶわ。部屋に置いてきますね。 しかし私に見せてくれるようなそぶりは ないまま通ると夏みの寝室にそれを持って いく。もちろん本人たちが見る方が先なの は分かっているし、ここに置いておくと 汚れてしまうかもしれないけどなみもそれ を開封しようというそぶりはない。なんと なく違和感を持ちながら私は笑顔を作り 続けたのだった。 それからしばらくして夏みは仕事を退職し 私と一緒に介護をすると申し出てくれた。 私はさすがに恐縮した。 他人の介護なんて仕事じゃないとできる ものじゃない。気持ちだけもらっておくわ 。 まあ、私は家族ですよ。大丈夫です。 だが、ナみはそう言う。それならばと私の手が離せない時などに様子を見に行ったり、時間がある時には彦の話相手になってくれるようお願いをしたのだ。 おムつなどは私はヘルパーさんに言って くれたらいいから、例えば何か必要なもの があるか聞いてくれるだけでも助かるし、 会話はリハビりになる。 ナみは心よくそれを承諾してくれた。 しかしなぜ私はこれまでに介護をお願いし なかったのか?その理由が自分でも分から なかった。確かに気を使ったというのは あるだが少し信用しきれていなかったよう な気もする。 その一方とてもいい子だと分かっている はずなのにそう思ってしまう自分が嫌に なることもあった。 ある日は彦が言った。 俺はトルの嫁さんに嫌われているんだろう な。え、 私を思わずその言葉に目を丸くするだが、 は彦はアルツハイマー病言葉に一貫性は ない。私は彦に返事をした。 そんなことないわ。家族を大事にして くれるとてもいい子よ。 いいや、それは違うぞ。どうしてそんな こと言うのよ。 するとは彦は私をしっかり見て言う。 あの子は俺の顔をニヤニヤしてみるんだよ 。怖いんだよ。 私は彦の言葉に思わず黙り込んだ。そして それをごまかすように笑う。あ、いいじゃ ない。若い子に微笑んでもらえるなんて。 は彦の猛言であることも分かっているが、 もしそれが本当ならどんな顔で彦を見て いるのかと想像し、背筋が凍るようだった 。 そのことも忘れていたある日、は彦の元に 通ってくださっているヘルパーさんから 電話がかかってきた。 毎日来てくださっているのにわざわざ電話 。そう。首をかしげながら電話を撮ると 彼女は言った。 実は相談があって かってそういう彼女何かと思って耳を傾け た私に飛び込んできたのは思いもしない 言葉だった。 トルさんのお嫁さんもうは彦さんに関わら ないようにしてもらいたいんです。どうし て何があったの?は彦さん彼女に怯えてい て、もしかしたら何か嫌なことでも言われ ているんじゃないかと思って。 その言葉に私は以前は彦から言われたこと を思い出す。まさか本当に夏みが彦に そんなことを言っているのだとしたら彼女 に様子を見に行くようにお願いした私にも 責任があるような気がしたのだ。 電話を切って私は呟いた。 こうしちゃいられないわ。 私は慌てては彦の元へ向かった。 お父さん聞きたいことがあるんだけど。 しかしもうはる彦と話すことは叶わなかっ た。その日、数時間前まで元気にご飯を 食べていたは彦は眠るように天国へ旅立っ ていったのだった。 それからのことはあまり詳しく覚えてい ない。バタバタといろんな場所に連絡し、 先生に応しに来てもらったりしたが、先生 は首を横に振るだけ。気づけば私はトルが 手配してくれた葬儀場にいた。 日はまいだはずだが寝ていないし何も食べ ていないため時間の感覚がない。体も心も 疲れきり介護から解放されたというよりも ただただ寂しさが募る。 大変だったはずだが思い出すのは元気だっ たは彦の姿。 それを思うと私は涙が止まらなくなった。 母さん。 模シュで忙しいトルの代わりに夏みは そんな私を心配し、ずっと突き添ってくれ た。彼女の両親は遠方で縄文には来れない とのことだが、ご丁寧にご伝とお手紙を 夏みに預けてくださったそうだ。 ヘルパーの言葉も気になっていたが、 そんなに素敵な家で育った素敵な人なのに 、やはり彼女が彦に嫌がられそうしていた なんて思えなかった。 その時私と夏みの前に一影が現れた。 この度はお悔み申し上げます。 深ぶと挨拶してくれた方面。はさっと 立ち上がって私の代わりにお辞儀をする。 どうやらトルの会社関係者の方のようだっ た。当然取引先に勤めていたなみも 顔見知りなのだろう。 お母さんは座っててください。 ナつみはそう言うと彼らにしっかりと縄文 のお礼を言い証拠の案内をしてくれる。私 はそんな彼女の様子にすっかり安心してい た。 そして艶やが終わる。 少しずつは彦が亡くなったという実感も 湧いてきた私は長男夫婦に任せっきりに なっていたことを反省し、自分でも聴文客 に挨拶をした。 しかしほとんどみんなが帰ったがなみの姿 が見えない。 は いないわね。まだ見送りしているのかも。 ちょっと見てくるわ。 私は通るにそう言って駐車場に向かった。 すると葬儀場の裏手から夏みの声が聞こえ てきた。 ここにいたのね。 独り言のように私は呟いた。暗くて向こう から私は見えていないだろう。しかし、 葬儀場裏口の明るさに照らされたな、何 やら男の人と話しているようだった。 やっと終わったって感じだよ。私はその 言葉に足を止めた。 まあでも予定通りじゃん。だけどさ、義の 父とはいえ迷惑だったわ。汚いし臭いしっ て助かる。いつまで生きるのかって気がき じゃなかったわよ。 私は真っになってしまった。本当になみな のか。だがはっきりと聞いたその言葉は なみの声に間違いはないし目の前にいるの もなみだ。で、いつ離婚すんの? とりあえず遺産入ったら私の口座に移して 。それからかな?あのボケじ思ったより 持ってなさそうだったけどトルが 1000万は相続できるはずだから。 マの課長もとんでもない女に捕まったな。 騙される方が悪いのよ。 私はその場に立ち尽くしたまま怒りで震え てきた。やはりおかしいと思った。夏なみ は遺産目当てにトルを狙ったのだ。絶対に 許さない。私はそう誓った。 そのまま夏なみは裏口から中に入っていく 。もう1人の男性も私に気づかないまま 白い高級車に乗って去っていった。 私に昨日の場面を目撃されたことに気づい ていない男は翌日ものこのこと葬儀に現れ た。 おお、く原主任お休みの日にありがとうね 。 徹も彼に挨拶をする。どうやらトルの会社 の部下のようだった。 いえ、課長、大変かと思いますが、ご無理 なさらないようにしてくださいね。 ありがとう。ありがとうございます。 夏みもトルの隣で丁寧に挨拶をした。昨日 は敬語もなく笑い合っていたくせに。そう 思った時、私にお辞儀をして目の前を通り すぎたその人の左手が目に入った。 薬指にはめたシンプルな指輪は既婚者で あると思ったのと同時にまさか夏みと交際 しているのではないかと思ったのだ。 わざわざ残って瞳目につかない場所で あんな話をしている理由も昨日は仲が良さ そうに話していたのに今日はそれを隠す ような態度も違和感しかない。そう思って からそれが確信に変わるまでは早かった。 2人はチュラチラと何度も目線を送り合い 、誰にも気づかれないように笑い合う。 なんて不謹慎なのか。だが、まずは春彦を 送り出すという使命がある。怒りを隠し 最後までしっかりと勤務めは果たせたと 思う。 葬儀から数日、やっと落ち着いた私はまず トールに伝えた。 ヘルパーさんやらの話やく原との会話、 その他にも違和感を感じたことも多々ある 。最初はトールも笑って私の気のせいだと かありえないと連呼していた。トールに 信じてもらえないとなると今後どうすべき か変わってくる。頭を悩ませる私にトール は言った。 この話は終わり。他にもまだ気になること ある?全部母さんの勘違いだと思うけど。 私はなんとか夏みの悪業を信じて欲しくて 苦し紛れに行った。 そういえば結婚写真は私見せてもらって ないわ。 結婚写真?まだ届いてないんじゃないの? トルは少し悩みながら私に言う。私も 言い返した。 もうとっくに届いてなみさんが閉まっているわよ。 そうなのか。どうして届いたことを教えてくれないんだろう。知らないわ。聞いてみなさい。トールはその日のうちにナみに聞いた。私の前で聞かせためなみは一瞬ぎっとしてから笑顔を作っていう。ああ、あれね。両親に見せたくて今実家に送ってるの。 ほら、うちの両親トルに会ったこともない じゃない?私の旦那さんを見せたくって 返してもらうように言っておくわ。 随分饒舌に話すなと思った。そういえば この子は最初から説明っぽかった。まるで 嘘をついていることを隠すために聞かれて いないことまで話しているようだ。は まんまと騙され、納得仕掛けたように見え たため、私はカ発入れず彼女に言う。 私も見たいわ。写真だけでも先に送って もらうことできない。そうだ。これを気に 一度お電話でもしてみないと。 私の言葉に夏みは当てて言う。いや、私の 両親親戚付き合いとか苦手で。 葬儀の時にはご殿だけじゃなくお手紙まで 書いてくださるのに親戚付き合い苦手なの に随分ご丁寧なのね。 夏みは何も言えずに黙り込む。それを見て トルもやっと違和感を持ったのだろう。 今すぐ両親に電話してくれ。俺も挨拶をし たい。 なみはそれでも動こうとしなかった。私は 通ると目を合わせる。彼女の考えている ことはみ人も分からないが、何かを隠して いることだけは確かだった。 結局なが両親に連絡をすることはなく、 私たちに結婚写真を見せてくれることも なかった。 おそらくもうすでに捨ててしまっているの だろう。結婚式をしなかったのも元々離婚 するつもりだったからだと思う。 そうやって感じていた違和感にあの時 しっかりと向き合っていればもっと早く 彼女の正体に気づきは春彦に辛い思いをさ せずに住んだかもしれないと思うと悔んで も悔みきれない。だからこそ彼女の 思い通りになんて絶対にさせないと決意し ている。 夏みはその日を気によそよそしくなった。 自分の正体がバレかけ家を追い出されるの ではないかと気がきではないのだろう。 そんな時は春彦がお世話になっていた ホームヘルパーの派遣会社から連絡があっ た。 どうやら監査で春彦の日が引っかかった らしく話を聞きたいとのことだ。 そしてその日家にも々しい雰囲気で保険所 の職員と思われる方が2名いらっしゃった 。 実はヘルパーの日にご家族がは彦さんに 対し虐待をしているというような記述が あったのです。 虐待ですって 私は驚いて大声をあげた。え、そ、そんな 私はちゃんと 落ち着いてください。こちらヘルパーの西 です。 私は職員に出された日に目を移す。すると そこには驚くべき言葉があったのだ。 4月13日、は彦さんの口から長男の夢に 手を上げられたとの報告あり。しかしあ などは見つからず認知症によるもののよう 。 私はその言葉に片ずを飲んだ。そんな私を 見て職員は続ける。 5月7日訪問するとは彦さんの部屋から 長男嫁が出てくる。何を言われたのか 尋ねるといなくなれと言われたとのこと。 数日間元気がなく彼女の話をすると怯える ようになったため奥様に報告。 それが最後の日だった。その日には彦は 旅立っていたからだ。 私はつい手が震え出し涙が止まらなくなる 。 は彦さんがいなくなってしまった。今では 本当のことは分かりませんが、一度この 長男の奥様と話をさせていただいても よろしいでしょうか? 私は静かに何度も頷いた。直接的な原因で はないけれど、は彦が旅立ったその日にい なくなれだなんて。家族の心情ではそれが 原因であるように感じてしまう。保険所の 職員に夏みが2階にいることを伝えた。彼 らは泣いている私を気遣って2人で2階に 向かってくれる。 誰なの? 2階で大声で叫ぶなは保険所の職員に訪問 の理由を聞いたのか。知らないわよ。 お父さん認知症だったんだもの。 私には関係ないわと 2 人との対話を拒否したそうだ。お話も拒否されるなら警察に入ってもらって操作することになりますよ。保健所の職員の大きな声が聞こえた途端なみの声は聞こえなくなった。きっと抵抗を辞めたのだろう。 ここでは何だから保険所でお話聞かせて もらってもいいですか? 私を気遣いなはここではなく保健所で話を することになった。階段を降りてくるなみ と目があった。お母さん誤解だって言って ください。 彼女は真っさな顔で私に助けを求めた。 しかし日を目にした私に彼女の言葉は響か ない。 しっかりと自分の行いを反省し説明して くるのね。 夏みは私が味方をしてくれると思ったの だろう。予想外な私の言葉に真っさなまま 言葉を失っていた。 保険所の職員が来たのはお昼過ぎだったと いうのに夜になってもなみは帰って来 なかった。先に帰宅したトルに天末を話す と真っさになり怒り出した。やっとトルも 阪神半義だったナの正体に気づき離婚を すると言い出す。待って。その前にもう1 つ気になることがあるの。 そして私は葬儀の日に夏見が裏口で会って いた原という男との関係が怪しいことを 伝えた。 浮気をしてたっていうのか。夏みの正体は 分かっていてもショックは隠しきれない ようでトルは頭を抱えて唸だれる。 はっきりとは分からないわ。だけど取引先 の社員との会話には聞こえなかったのよ。 トールはその言葉にため息をついた。 しばらくは様子を見るために何も気づいて いないふりをしようと提案したトル。私も それに頷いて今後について考えることにし た。 その日は遅に帰宅したなみ。げっそりとし て疲れ果て食事もできないと言った。 私何も悪くないのに信じてくれないんです 。お母さんもひどいです。 そう言ってメそメそと泣き出すな罪保険所 の方にこっちり絞られたようでだいぶ めいっていたようだ。その後保険所から 連絡が入りは春彦に変わって私が被害届け を出すこともできると言われた。夏みも 反省していないようだし私もそうする つもりでいる。忙しくなりそうだ。 トルも探偵を雇いなの行動を見張ることに した。すると証拠が出るのはあっという間 。なんと夏見と原は1週間のうちに3日も 3回をしていたのだ。しかも原に至っては 営業で外回りに出ている最中に夏みと 落ち合いホテルに行っていた。当然これは 解雇の理由になる。 ク原が出かけていたのは新規開拓の外回り の時間だ。今度そう言いたら待ち伏せ しよう。 私は彼がそう言って出かける時に連絡を もらうことにした。そしてその日はすぐに やってきた。 昼食が済み、ナみはどこに行くかも言わず 出かけていった。もしかしてと思ってい たら案の城徹からの連絡。急いで 待ち合わせ場所に向かうと盗は先に来てい て力なく1点を見つめていた。分かってい たことであったが、私も言葉を失って しまった。トルの視線の先には予想通り く原と夏みの姿が私たちに気がつく様子も なく2人腕を組みホテルに入っていく。 そして2時間後、また同じように腕を組み 出てきたところを見つけた私と徹とトルは 2人に駆け寄った。 お前らどういうつもりだ? ど課長? 灯の声にはっとして振り向いた 2人は真っさになる。トルは 2 人の前に立つとなみそしてく原を順番に睨みつける。どういうことだ?説明しろ。 ホテル街白中堂々。近所にはスーパーもあることから人の視線を集める。 こ、これは 夏みは慌ててく原から離れて真っさな顔で 目を泳がす。やっぱりあなたたちこういう 関係だったのね。 後から追いかけてきた私も2人に向かって 大声をあげる。夏みはその声でやっと私が いたことにも気づいたようだ。そして私の 声に空に周りの視線も集めたのだろう。 矢馬の1人が言った。 あの人原さんのご主人よね。ほら組のももちゃんのお父さん。 本当だわ。え、浮気?どうやらく原の知り合いのようだ。原が既婚者であることは分かっていたが子供までたとは。その言葉を聞いた原は顔面蒼白のまま逃げ出した。 え、ちょっと待ってよ。 なみは彼に助けを求めるが、もちろんも原 になみの声は届いていないだろう。 離婚だ。もちろん慰謝料もしっかり払って もらう。徹の言葉に夏みは顔面蒼白のまま その場に座り込み涙を流すのだった。 その後私が提出した被害届けも受理され、 春彦に変わりなみに慰謝料を請求すること ができると言われ、現在弁護士と 打ち合わせ中だ。その間にナと徹は離婚。 当初の予定であった春彦の遺産は夏見には 当然一も入ることもなく代わりに不定の 慰謝料を請求された。 の浮気相手であった原は業務中に浮気をし ていたことで解雇。当然家族にもばれて 離婚をすることになった。夏は梅原の家族 からも慰謝料を請求されることとなり、今 になってやっと自分の行動を後悔している らしいが時すでに恐し。私の予想通りお金 を目的に通るに近づいたようでなみの両親 もなみが結婚したことは知らなかったとの こと。今回こんな大騒動になり、やっと 私たちは顔を合わせな夏みの両親は深かと お詫びしてくださった。公電や手紙は夏み が準備したものだったようだ。こんなこと までして私たちに自分をよく見せようとし たなんてなんて良い習東な女なのかと 呆きれる。だが結局金は手に入らない どころか他額の借金を追っただけの結婚 生活。この経験はきっと一生なの足を 引っ張り続けることになるだろう。その後 通ると2人での生活が始まった。全てが 終わりアもあるがやはり寂しさもある。 しかしそれから数年後、盗塁は結婚をする と言った。 のことがあり、私は決して賛成できなかっ たけれど、トールが連れてきた人はなんと ずっとは彦のお世話をしてくださっていた ヘルパーさんだった。 まさかこんなご縁があるなんて思わなかっ たけど、またお会いできて嬉しいです。 は彦さんにもお先行あげさせてください。 彼女のことはよく知っている。それに 改めてうちに来たその日にそう言ってくれ たこのことならきっとトルも幸せになれる のではないかと思う。その確信の通り結婚 の1年後には可愛い赤ちゃんも生まれた。 祖母になれるなんて思っていなかったため 毎日がとても幸せだ。この子の成長を 見守るため1日でも元気で過ごすことが今 の目標だ。そしていつか私が天国では彦に 再開したら一緒に空から長男家族を見守っ ていきたいと思っている。

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