2025年8月28日、Hey! Say! JUMPの中島裕翔がグループを卒業し、今後は俳優業に専念することが発表された。このニュースはテレビドラマの新キャスト発表にも似た鮮烈な一報として駆け巡り、SNSでは「#中島裕翔」「#HeySayJUMP」が瞬く間にトレンド入り。ファンの間には驚きと戸惑い、そして長年の感謝と新たな挑戦への応援が広がっていた。
所属事務所・STARTO ENTERTAINMENTは、今後も所属は変わらず、活動の軸を俳優に絞ることを正式に発表。本人も「お芝居に対する思いが確固たるものとなり、自分の足で立って俳優を主軸に活動したい」(※)と語っている。18周年を迎えるグループの未来を見据える中での、静かだが力強い決断だった。

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この選択は突発的なものではない。近年の中島は、俳優として確かな成果を残してきた。特に2022年のドラマ『純愛ディソナンス』(フジテレビ系)と2023年の映画『#マンホール』は、彼の俳優としての評価を一段と高めた転換点となった。『純愛ディソナンス』で演じたのは、闇を抱える青年・新田正樹。従来の爽やかな好青年」というイメージを覆し、表情や視線の芝居だけで観客を物語に引き込み、新境地を切り開いた瞬間となった。一方、『#マンホール』では、結婚式前夜に地下へ転落した男をほぼ一人で演じ切った。泥にまみれ、醜態をさらす姿は、長年のイメージを覆す挑戦だった。映画の冒頭からクライマックスにかけて、観客の目の前で変貌していく姿は、俳優としての胆力を証明するものだった。

2025年1月に公開された映画『366日』も象徴的な一作だ。主演ではなく、主人公を支える親友・嘉陽田琉晴を演じた中島がクライマックスで見せたひたむきな涙が観客の心を強く揺さぶった。彼が演じた嘉陽田は、主人公の恋と再生を陰で見守り続ける存在でありながら、自身もまた葛藤や孤独を抱えている。中島はその複雑な心情を、大げさな表現に頼ることなく、細やかな表情や仕草で表現した。物語の中心に立たなくとも、その存在が作品の温度を左右する役者としての技量を垣間見た気がした。
遡れば、子役として『エンジン』(フジテレビ系)、『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)に出演して以来、中島は学園ドラマ、社会派作品、法廷ドラマ、時代劇と幅広いジャンルを歩んできた。『水球ヤンキース』(フジテレビ系)では、若さと情熱を前面に押し出したエネルギッシュなリーダー像を体現し、グループ活動と並行しながら単独主演としての責任を背負った。『HOPE〜期待ゼロの新入社員〜』(フジテレビ系)では、知識も経験もないまま社会に飛び込む青年をリアルに演じ、視聴者に共感を呼び起こした。『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)では、天才的な頭脳を持ちながら社会の中で葛藤する青年役をスタイリッシュに演じ、都会的で知的なイメージを確立している。
こうして等身大の若者から知性とクールさを備えたエリートまで、役の幅を広げる中で、俳優としての地盤をしっかりと固めてきた。学園ドラマから時代劇、青春群像からサスペンスまで。ジャンルや立場を問わず役柄を掴み取る柔軟さと、それを支える経験の積み重ねが、今回の決断に必然性を与えているのだろう。

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今年は板垣李光人とW主演を務めたドラマ『秘密〜THE TOP SECRET〜』(カンテレ・フジテレビ)や、『ゴールドサンセット』(WOWOW)といった話題作に出演。人気漫画の実写化から社会派作品まで幅広く挑む姿勢は、俳優として厚い信頼を得ている証といえる。
Hey! Say! JUMPの「中島裕翔」との別れはファンにとって寂しい出来事かもしれない。しかしその先に待つのは、俳優としてさらに高みを目指す彼の新たな航路である。中島がこれから見せる景色は、きっと彼自身の人生だけでなく、日本の俳優シーンにとっても大きな意味を持つだろう。
参照
※ https://starto.jp/s/p/news/detail/11401?ima=1547&artist=
川崎龍也
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