写真提供:共同通信社

 日本は「木の文化」を持つ国である。特に近年、公共建築物をはじめ大規模な木造建築や木を生かしたデザインがたびたびニュースで報じられている。森のブランド化や林業の6次産業化も注目される森林ビジネスの世界。この業界を網羅的に解説した『森林ビジネス』(古川大輔著/クロスメディア・パブリッシング)の一部を抜粋・再編集し、森林ビジネスの今と未来を解説する。

都会のビルも木造へ「都市の木造化」

 2010年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が制定されました。公共建築物などの木造化を進める法律です。

 これに基づき、農林水産省と国土交通省は基本方針を策定し、公共建築物における木材の利用に取り組んできました。林野庁によると、公共建築物の床面積ベースの木造率は、法制定時の8.3%から、約9年後の2019年度には13.8%に上昇しています。

「エンジニアドウッド(EW:Engineered wood)」とは、木材を一定の寸法に切り出し、強度をそろえた上で貼り合わせ、接合してつくられた建材の一種です。エンジニアドウッドには、集成材、CLT、LVL、合板などがあります。国産材が直接的に使われるようになったことで多様化し、強度の高い国産集成材が誕生しました。

 齋藤木材工業は、国産材の良さを活かした構造用集成材を製造・加工し、ワンランク上の強度と耐久性を持つ信州産カラマツのハイグレード集成材を開発。全国では、国産材によるCLTという直交集成材の製造と利用が進んでいます。銘建工業、竹中工務店などが、防火対策を含め、スギ・ヒノキを活用した新たなCLTを開発し、国産材による中大規模建築物の木造化に寄与しています。

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