公益財団法人 窓研究所とカナダ建築センター(CCA)が共同で実施する「CCA–WRI Research Fellowship Program 2026」の公募が開始した。今回は、「Vacancy(空き)」をテーマとする第2期の第1回公募となる。フェローは各年度の公募と選考を経て選出され、カナダ建築センターで最長3か月間のリサーチ滞在に取り組む。応募期間は12月21日午前0時(米東部時間)まで。

Naoyo Hatakeyama, Partial view of the Library reading room, Montréal, 2007, CCA. © Naoya Hatakeyama

 今回の公募テーマである「Vacancy」は、経済構造の変化や人口減少、産業の移転など、様々な要因によって用途を失い、空き地や空き家として残されている土地や建物に関する社会課題を背景に設定された。本プログラムは、この現象に関する問題意識を共有し、フェロー同士の対話を通じて新たな視点を探ることを目的としている。

 フェローは、カナダ建築センターのコレクションを活用しながらリサーチを進めることもできる。その内容は多岐にわたり、たとえばOMAによるダウンズビュー・パーク開発案、ゴードン・マッタ=クラークのサイトスペシフィック作品、あるいはモントリオールにおける居住の不安定な場について思索した川俣正の写真プロジェクトなどが含まれる。こうした資料を通じて、デザインや研究の実践に関わるフェローが、歴史的文脈を踏まえて自身のプロジェクトを深めていくことを後押しするのが、本プログラムの趣旨である。

Stefano Graziani, The Museum Is Not Enough: View of Lynne Cohen’s photograph, Hall (Baskin Robbins), 1999, 2018 CCA. © Stefano Graziani

John Divola (photographer), Zuma #7, from The Zuma Series. Portfolio One, 1977 (printed 1982). Dye transfer print. PH1985:0001:005, CCA Collection. © John Divola

 これらをふまえ、空き家と空き地の両方を含む概念「Vacancy」を題材に、デザイン実践に新たな視座や可能性をもたらす提案を募集する。

 応募資格は、英語またはフランス語での研究・発表ができることを前提に、関連分野で十分な実務経験を有する実務者(建築家、ランドスケープ・アーキテクト、都市計画家、行政担当者、文化実践者、アーティストなど)、または関連分野の研究に携わる者(博士号取得者)に該当する者となる。採択人数は3名。

 プログラム実施期間は、2026年6月1日から9月30日(その期間内に1〜3ヶ月間の滞在期間を設定)。採択されたフェローには、カナダ建築センターでのリサーチ滞在(1〜3ヶ月)の機会に加え、渡航費およびビザ関連費用、専用オフィスおよびカナダ建築センターコレクションへのアクセス、月額5000カナダドルの研究助成(最大3ヶ月分)が支援される。

 選考委員は、モーリス・D・コックス(ハーバード大学GSD 都市計画・デザイン教授)、常山未央(建築家、studio mnm / HOLES)、ジョヴァンナ・ボラーシ(カナダ建築センター館長)、ラフィコ・ルイス(カナダ建築センター研究部門代表)の4名。

 申請方法の詳細は、カナダ建築センターのウェブサイトを確認してほしい。

Naoyo Hatakeyama, View of the Visitors’ Courtyard, Montréal, 2007, CCA. © Naoya Hatakeyama

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