映画監督 三宅唱/165
みやけ・しょう 1984年7月、札幌市出身。一橋大学社会学部在学中の2007年に映画美学校第10期フィクション・コース初等科を修了。09年一橋大学社会学部卒業後、 長編映画2作目の「Playback」(12年)が、第65回ロカルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門に正式出品。「ケイコ 目を澄ませて」(22年)、「夜明けのすべて」(24年)は、それぞれ第77回、第79回毎日映画コンクールで日本映画大賞、監督賞などを受賞。今作「旅と日々」は第78回ロカルノ国際映画祭で最高賞の金豹賞に輝いた。
国内外に熱狂的なファンを持つ漫画家、つげ義春さんの作品を映画化した「旅と日々」が、11月7日より公開される。脚本執筆に4年をかけたという監督の三宅唱さんは、つげ漫画の世界観をどのように映像化していったのか。(聞き手=りんたいこ・ライター)
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── 映画「旅と日々」は、2020年にプロデューサーから「つげ義春さんの漫画を題材に映画を作らないか」と声が掛かったのがきっかけだそうですね。数あるつげさんの作品の中から、夏の浜辺を舞台にした『海辺の叙景』と、雪深い北国が題材の『ほんやら洞のべんさん』を選んだのはなぜでしょう。
三宅 つげさんの漫画はすべて読んでいましたが、いまだに分かり切れていない作品もあります。ですが、なぜこの2本かと問われれば、まず「好き」で「繰り返し読んできた」ということ。そして、夏の風景と冬の風景の二つを1本の映画の中で見ることが、観客にとってすごく面白い映画体験になるのではないかと考えたからです。
「つげ義春漫画の『驚ける』魅力を劇中劇に」
── 2作はまったく違うストーリーなので、てっきりオムニバス映画だと思っていたら、一つの作品としてつながっていて驚きました。
三宅 最初はオムニバスも考えました。旅…
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