意志の強さを感じさせる眼差しと、親しみを感じさせる屈託のない笑顔。この対照的なチャームポイントを武器に、山田杏奈は思春期の若者たちの繊細でリアルな感情を作品内で体現してきた。そんな彼女の主演最新作『恋に至る病』(公開中)は、一途な恋が描かれた“純愛ストーリー”でありつつも、サスペンスフルに展開していく歪んだ愛の物語だ。思えば山田は、これまでにも一筋縄ではいかない恋愛映画でヒロインを演じてきた。そこで今回、そんな彼女が出演する“歪なラブストーリー”を紹介したい。
【写真を見る】強い眼差しと親しみある屈託のない笑顔が印象的な山田杏奈(『恋に至る病』)[c]2025『恋に至る病』製作委員会
誰からも好かれる完璧優等生ながら底知れないミステリアスさが不穏な少女を演じた『恋に至る病』
『恋に至る病』は、TikTokを中心に大反響となった斜線堂有紀による恋愛小説を実写化した、ピュアで刺激的なラブストーリー。『母性』(22)、『月の満ち欠け』(22)の廣木隆一監督がメガホンをとり、なにわ男子の長尾謙杜と山田がダブル主演を務めた。本作で山田は、いつもクラスの中心にいる人気者の女子、寄河景を演じている。
いつもクラスの中心にいる人気者の女子、寄河景(『恋に至る病』)[c]2025『恋に至る病』製作委員会
人と距離を取って生きてきた男子高校生の宮嶺望(長尾)は、転校先でなにかと気にかけてくれる優しい景と出会い、恋を育む。しかし、景との仲を羨んだ同級生から望はひどいいじめを受け、それを庇った景もまた被害に遭ってしまう。望はなにがあっても景を守ると心に決めるが、クラスメイトの不審死をきっかけに、景の言動に少しずつ違和感を覚え始める。「もしかして君は、僕のために人を殺したの?」。望のこのひと言を境に、2人の関係は甘くも危うい均衡を失い、暗い深淵へと沈み込んでいく。
人と距離を取って生きてきた望を気にかけてくれる優しい景(『恋に至る病』)[c]2025『恋に至る病』製作委員会
本作で描かれるのは、疑惑に彩られながらも強い絆で結ばれた2人が紡ぐ不器用で一途な恋。そこに“同級生の死”、“青い蝶”、“マインドコントロール”といった不穏な要素が積み重なり、恋愛映画という枠を超えたスリリングな物語が展開する。
望と景の恋模様はどこへ向かって突き進んでいくのか?(『恋に至る病』)[c]2025『恋に至る病』製作委員会
山田が演じた景は、誰からも好かれる完璧な優等生でありながら、底の知れないミステリアスな一面を秘めた女の子だ。視点によって解釈が変わる彼女の多面的な演技を楽しみつつ、明かされる“せつない真実”に激しく心を揺さぶられてほしい。
