10月25日、映画『女性の休日』が公開となった。
本作は、アイスランドで1975年に起きた女性による一斉ストライキ(「女性の休日(Woman’s Day Off)」と呼ばれる)を描いたアメリカ人監督によるドキュメンタリー映画である。
東京では渋谷のイメージフォーラムにて上映している
日本での公開に先立って本作の試写会とトークイベントがおこなわれた。試写会で本作を見たある男性編集者(35歳・妻子あり)は、やや不適切な感想をもったという。その「不適切な感情」がもつ意味を考える。
ふたつの「不適切な感情」
10月中旬にしてはやや暑いある日の夕方、私は東京・渋谷のラブホテル街を歩いていました。映画『女性の休日』の試写会場に向かうためです。
ちょっぴり迷いながら目的の建物にたどりつき、受付ブースで、参加者がもらえる化粧品の試供品をやや戸惑いつつ受け取ると、女性が98%を占める上映会場に入りました。
映画の上映時間は71分。映画を観たあとには、ジャーナリストの浜田敬子さんと、地方での女性のエンパワメントのために活動する小安美和さんによる40分ほどのトークを拝聴しました。
70席はぎっしり。その9割は女性だった。浜田敬子さん(写真右)と小安美和さん(同中央)はアイスランドに取材も行っている 撮影/栗原朗
たっぷりの情報に満ちた120分間が終わって席を立つとき、私が感じていたのは二つの感情でした。それは、
「うらやましい」
そして、
「身の置き所がない」
というものです。
いま考えるに、男性である私がこれらの感情を抱くことはやや不適切です。一方で、この感情にはそれなりに重要な示唆が隠されている気もしており、この記事では、その意味について考えてみたいと思います。
映画『女性の休日』より©2024 Other Noises and Krumma Films.
