映画レーベル・JAMES WEBB(ジェームズウェッブ)の新作短編ホラー映画『マビト』が、10月25日(土)19時に公式YouTubeチャンネルで公開される。
昭和19年の日本を舞台に、消息を絶った軍用機を捜索するために、主人公・齋藤の属する陸軍部隊がある山に足を踏み入れた。しかしその森は、地元の人間さえ近づかない禁足の地だった──という物語だ。
現在公開されているティザー映像と予告映像は不気味かつ不穏さが漂い、恐怖なのか怒りなのか、顔を小刻みに震わせる陸軍隊員の表情や、薄暗い森の中で不自然な動きで状態を起こす“存在”も確認できる。
映画『マビト』予告映画レーベル・JAMES WEBBのホラー短編シリーズ
JAMES WEBBは、2025年7月22日に設立された株式会社WEBB(ウェッブ)による新進気鋭の映画レーベル。株式会社WEBBとしては、舞台『チ。 ―地球の運動について―』PVをはじめ、CM/MV/ブランド設計/空間演出などを手がけている。
同社の代表は映画監督/脚本家/映像ディレクターの吉岡一靖さん。同社の創業者でコアメンバーの一人である木村響さんと共に、JAMES WEBBの作品で監督をつとめてきた。
JAMES WEBBではこれまでに、『VOICE』『Perspective』『Service』という3本の短編ホラー映画を公開。これらはJAMES WEBBが展開するホラー映画「NOTCH(ノッチ)」シリーズを構成する作品だ。
『マビト』で描かれる時代/画像はYouTubeより
ホラー作品「NOTCH」が描く隙間に潜む恐怖、長編映画も始動
そもそも「NOTCH」シリーズとは、ある三原則に基づいて制作されている。吉岡一靖さんは自身のnoteで、「NOTCH=裂け目/隙間」と説明した上で、以下を原則として紹介している(外部リンク)。
1.NOTCH「隙間」をつくる
隙間という現象そのものだけを映し出す。2.制限内で「変化」をつくる
どんなに短い尺でも、物語の「前」と「後」に明確な差を設ける。3.恐怖は「演出」でつくる
語りやグロ描写に頼らない。吉岡一靖さんのnoteより抜粋
「NOTCH」シリーズは、これらの三原則を軸に制作。「短編映画という限られた形式の中で恐怖を構造として成立させるための核であり、同時に長編や新しい試みにも受け継がれていく、僕らの根本的な制作の約束です」と説明している。
短編映画として展開されている「NOTCH」シリーズだが、現在シリーズ集大成となる長編映画『Fairy』を企画中。2026年には本格始動するという。加えて、ゲーム化や書籍展開といったメディアミックスも準備中だ。
軍人は禁足地で何を見た? 軍事考証を徹底した『マビト』
そんな「NOTCH」シリーズの現時点における最新作として公開される『マビト』だが、制作自体は『Perspective』の後に行われた“エピソード3”に該当する作品だ。
監督である吉岡一靖さんのnoteによれば、同作は経済産業省の助成金プロジェクト「創風」に採択され、レーベル史上最大の予算と人員を投入した作品になったという。
もはや不穏な雰囲気しかない/画像はYouTubeより
怖いです!/画像はYouTubeより
そのため、シナリオは実際の軍事史のディテールを下敷きにしながら制作し、徹底した軍事考証に基づく衣装や小道具も大きな見どころ。前述のnoteでは「シリーズ全体を次の段階へ押し上げる重要作」と説明されている。
現在、多くの短編ホラー映画がネット上で公開されている。そうした中で新鋭映画レーベル・JAMES WEBBが送り出す新たなホラー作品として、『マビト』と「NOTCH」シリーズに注目したい。
追記:NOTCH Episode3『マビト』本編映像

ポップポータルメディア「KAI-YOU.net」編集長。1985年生まれ。東京工芸大学アニメーション学科卒業後、エンタメのマーケティング・コンサル会社で業界誌やフリーマガジンの編集/記者として従事。2017年からKAI-YOU inc.、2020年1月から現職。アニメや声優といった領域を中心に、取材・編集・執筆を行っている。KAI-YOUフットサル主催。
