

日タイ共同制作映画『(LOVE SONG)』がいよいよ2025年10月31(金)ロードショーとなる。タイランドハイパーリンクスでも逐一ニュース配信でお知らせしてきたが、タイのエンターテイメント好きな方々にとっては非常に感慨深いはず。日タイ共同制作映画でここまで大きなプロジェクトは初なのではないかという規模だ。
何と言っても映画『(LOVE SONG)』は主要キャストの顔ぶれが非常に豪華。
まじめで几帳面な研究員ソウタ役に森崎ウィン、ミステリアスなフォトグラファーでミュージシャンのカイ役に向井康二(Snow Man)と東南アジアをルーツに持つ2人がW主演。さらにソウタと共にバンコクに赴任する先輩ジン役に及川光博、ソウタに一目ぼれするモデル、ワタル役に藤原大祐、ソウタとカイの大学時代の同期であり、ソウタにとって姉のような存在ソウタの会社の頼れる先輩ヒカリ役に齊藤京子、赴任先の通訳ルーク役にNipponBoyzの逢見亮太、ソウタの母役に筒井真理子ら日本人キャスト陣に加え、ソウタとジンの赴任先の社長、サン役にミーンことピーラウィット・アッタチットサターポーン、カイのバンドメンバー、トイ役にファーストことチャローンラット・ノープサムローン、サンの妹でカイのバンドメンバー、スマイル役にミュージックことプレーワー・スタムポンと、個性あふれる面々が揃い、日タイそれぞれのキャストのファンからも、本作は熱い視線を浴びている。


そしてもう一つの目玉は監督を務めるチャンプ監督ことウィーラチット・トンジラー。
世界的タイBLドラマブームの火付け役となった作品『 2gether』を手掛け、主演のBrightWin(ブライトことワチラウィット・チワアリー、ウインことメータウィン・オーパッイアムカジョーン)を国際的な場で活躍するスーパースターにのし上げた。それだけではない。遡ると『Puppy Honey』で主演したOffGun(オフことジュンポン アドゥンキッティポーン、ガンことアタパン プーンサワット)と『Kiss Me Again』で主演したTayNew(テイことタワン ウィホクラット、ニューことティティプーン テーシャアパイクン)など手掛けたBLドラマから、日本を始め世界各国でイベントを行うようなスターカップルを生み出す監督として、知られている。
タイのBLドラマについて全く知らないという方のために説明しておくと、タイはBLドラマで主演したカップル役が、そのままアイドルグループのようにカップルで活動。ファンミーティングやイベントに出演する独特の文化がある。
コロナ禍のおうち時間に、動画配信サービスを通じ世界的に知られることとなったタイのBLドラマ。その影響を受け日本でもBLドラマ作品が数多く誕生するようになった。
その大きな波がついに、日本のスーパーアイドルをもキャストに含む日タイ共同制作映画を生んだと言っても過言ではないだろう。


チャンプ=ウィーラチット・トンジラー監督
今回は自らがメガホンを取ったドラマ作品で人生を切り開き、タイの映画監督が日本で大きな注目を浴びる機会を作った張本人。そして自らの夢を叶えたチャンプ監督にインタビュー。
映画『(LOVE SONG)』の監督に抜擢されるまでのエピソードや、撮影秘話を詳しく伺った。
映画『(LOVE SONG)』STORY
突然先輩のジンと共にバンコク勤務を命じられたまじめで几帳面な化学メーカーの研究員・ソウタは、到着してすぐ大学時代に突然姿を消した初恋の人、カイと偶然再会する。カイはバンコクでフォトグラファーとして働きながら、大学時代から続けていた音楽の道を歩んでいた。異国の地でしっかりと夢を掴み生きるカイに、あの頃の思いが再び募っていくソウタ。2人は6年間の距離を縮めていく。
一方、カイには大学時代から制作していた未完成のままの曲があった。ソウタはその曲を聴きながら、違う人へのラブソングだと信じていたが、実はソウタへの思いを込めたカイの心の声だった。
曲が完成し、カイがライブでその曲を初披露した時、ソウタは自分のカイへの思いに涙する。
お互いを思い合いながら、すれ違い、そして心に蓋をする2人。
バンコクを舞台に進んで行く、もどかしく、切ない「両片想い」の行方は?



10年前から日本で仕事することが夢だった
ーーチャンプ監督といえば、タイのエンタ―テイメントが好きな日本人の方には大変な知名度なのですが、日本側の出演者のファンの方たちにとっては、まだとても新鮮な存在だと思うのです。
監督の事をより多くの日本の方に知っていただきたいので、基本的な質問からさせていただきます。
今回は映画監督としての来日でしたが、チャンプ監督と言えば、タイドラマの監督というプロフィールが外せません。その仕事に就いたきっかけから教えてください。
チャンプ監督:僕は大学で映画のコースを専攻していたんですよ。卒業後は実際に撮影現場での研修を兼ねて働きました。最初は小さな仕事が多かったんですけど、それを積み重ねて、ドラマの監督になれました。
10年前、まだ僕は学生で映画を学んでいる頃だったんですが「いつか日本で仕事ができたらいいな」って考えていたんですよ。
ーーちょっと鳥肌が立ちました。
チャンプ監督:そうなんです。でも、まさかこの映画『(LOVE SONG)』のような大きなプロジェクトで監督として日本で仕事ができるなんて、思ってもみなかったですね。もの凄く大きなスケールで夢を叶えることができた!って思いました。


監督した作品からスターを生み出す秘訣とは?
ーー監督は、タイのBLドラマが好きな人やタイのエンターテイメント全体を好きな人の間で、よく知られているスター俳優さんを生み出していますね。中にはBrightさんのように、ファッションアンバサダーとして、ミュージシャンとして国際的な活躍をするスターを生み出していて、スターメーカー的な存在でもあるじゃないですか。それについてはどう考えていますか?
チャンプ監督:作品それぞれ作り上げる難しさは違うんですが、どの作品にも愛を持って取り組んできましたし、どのキャラクターも愛してきた結果、僕自身も成長できたんじゃないかな、と思っています。
ーー日本に入って来るタイエンタメの中では大きな位置を占めるタイBLドラマですが、監督はタイ最大のエンターテイメント企業傘下、GMMTVの名ドラマを多く手掛けています。中でも「GMMTV四天王ペア」と呼ばれている中のうちの「三天王ペア」を輩出した手腕があります。
※注 GMMTVのうち、チャンプ監督が手掛けたドラマから生まれた代表的なスターは以下の3組。
OffGun『Puppy Honey』
TayNew『Kiss Me Again』
BrightWin 『2gether』
ーー演技指導的な部分では「自分は他の監督と違うかもしれない」と考えることはありますか?
チャンプ監督:僕は俳優とよく会話をするようにしています。まずクランクインの前に会って、俳優本人の性格を把握します。彼らの性格を脚本に反映させると、俳優とキャラクターの感じ方や性格の一部が近くなる。俳優もキャラクターを理解しやすくなるでしょう?だから自然な演技ができるのだと思います。


日本愛が大きすぎる。『2gether』が人生を変えてくれた
ーー監督の作品はコロナ禍のおうち時間に動画配信サービスに注目が集まったことで一気に知れ渡りましたね。特に『2gether』はタイのBLドラマの歴史を変えたと言っても良いと思います。
世界中から注目を浴びた瞬間はどんな気持ちでしたか?
チャンプ監督:凄く嬉しかったし、僕は日本が大好きで、当時すごく日本に旅行したい時期だったんですが、コロナ禍で旅行することができなかったんですよね。でも海を渡って僕の作品が日本に届いた。この嬉しい気持ちをどう表現したら良いかわからなかったです。
ーーそんなに日本を好きでいて下さって本当にうれしいです。
チャンプ監督:だからこそ、いつか日本で自分の作品を撮って日本の人たちに届けたいって思っていました。
ーー『2gether』の存在があって映画『(LOVE SONG)』のプロジェクトに繋がった。まさにミラクルな作品だったんですね。
チャンプ監督:その通り。初めて日本の映画『(LOVE SONG)』のチームに監督のオファーをいただいた時には本当に嬉しかったです。精一杯良い作品にしたいと思いました。
どんなストーリーにしようかと思った時に、ある愛の形を1曲のラブソングにして作品のテーマにすることで、観る方が最高に幸せな気持ちになっていただけるんじゃないかって思ったんです。そして僕を信用してくれた日本のチームの想いに答えるには、やっぱり幸せを与えられるような作品を作り上げることが大切だと思いました。


チャンプ監督作品は音楽が重要な位置を占める
ーーラブソングをこの映画のテーマにしようと決めたのは、監督だったんですね。
チャンプ監督:はい。僕の方から1曲のラブソングをテーマに使いたいという提案をさせてもらいました。シナリオを開発しながら、このラブソングを作っていったんですよね。
ーー 監督の作品は音楽がとても大事なポイントになることが多いですね。監督自身もバンドを組んだ経験があるんですか?
チャンプ監督:高校生の頃、友達とバンドを組んだことがあります。でも全然ダメです(笑)。
ーー(笑)…。
チャンプ監督:今はもうやってないですね。音楽は自分で演奏するより聴く方が好きだなと思いました。ただ、まだ実現していない夢の一つとして、いつか自分のバンドを作って、自分の曲を作りたいですね。
ーー『2gether』は日本でOSTがリリースされるほど、ドラマに使われていたSCRUBBというバンドの音楽性と、監督の作り出すシーンが効果的だったと思います。そういうセンスがあるので、次にお話が伺える機会がある時には、バンドを組んでいそう(笑)。
チャンプ監督:OSTは、実はリリースされてから知りました(笑)。
ーーそうだったんですか(笑)!


向井康二演じるカイはタイの天才アーティスト、The Toysを投影している
ーー映画『(LOVE SONG)』の主題歌はOmoinotakeの『Gravity』ですが、素晴らしい曲ですよね。メロディがバンコクの空を想像させてくれるんですよー。チャンプ監督の「強い愛には引力がある」という言葉をヒントに、この映画のために書き下ろしたんですよね?
ただですね。私はタイが好きな人が読むメディアの取材をしているので、タイ側のアーティストが最も重要なタイトルの意味を担っていることを、それよりも嬉しく思っているんです。映画のテーマとも言える、カイが歌う「(LOVE SONG)」は、タイの天才アーティスト、The TOYSが作曲してますね。The Toysを起用した理由を教えて下さい。
チャンプ監督:映画の中のコンサートのシーンで、The TOYSがカイが重なり、「これは良い!」と思ったんです。
ーーつまり、向井康二さん演じるカイはThe TOYSを投影している訳なんですね?
チャンプ監督:そうです。
ーーうわあ、凄い!
チャンプ監督:The TOYSは作曲の天才だし、ステージではギターを弾いて歌います。それで急いでThe TOYSのチームと話し合いの場を持って「(LOVE SONG)」を作曲してもらったんです。本当に素晴らしい曲を作ってくれました。
ーーとても独特なメロディで、ああ、これはThe TOYSの曲だとわかる部分がありますね!私はThe TOYSの曲やギターが大好きで、よく聴いています。サマソニやフジロック、タイフェスティバル東京にも出演している方なので、私以外にもタイエンタメ好きにはThe TOYSのファンも多いと思います。これは凄いサプライズでした。
日本ではカイを演じる向井康二さんがソロでギターを弾き語る、というのは非常にレアだと思うのですが、そこにThe TOYSが大きく影響しているというのが、貴重すぎます(感涙)。
チャンプ監督:わぁ、本当ですか?それは良かったです(笑)。


無口な向井康二に新たなファンが増加する?カイ誕生秘話
ーー先ほどチャンプ監督は「俳優とはよく話しながらキャラクターを作り上げていく」と話してくれましたよね?今回の森崎ウィンさんや向井康二さんとはどのようなコミュニケーションを取りながら映画を作り上げていったんですか?
チャンプ監督:コージとはタイ語で演技の話をしました。まずテストをしながらキャラクターを調整していこうっていうことになって、一緒にあるワンシーンを試してみたんです。どうやったらコージらしいカイが生まれるのかを話し合いました。
実際のコージはすごく明るくて面白い人じゃないですか。
ーーそれは試写を見ている間中ずっとそう思っていました(笑)。
チャンプ監督:そうです。カイは無口で物静かな感じ。でもコージは最高のカイをつくりあげました。目線からもう違う人になっていたでしょう?
ーーバラエティ番組や歌番組では元気で人を笑わせる明るさがあるイメージなので、外側は向井さんなのに、中身は違う人(笑)…ああ、カイでした(笑)。
なぜカイは向井さんとは正反対と言うか、物静かなキャラクター設定にしたんですか?
チャンプ監督:これは全ての人には当てはまらないと思うんですけど、音楽を作って歌う人は、言葉で気持ちを伝えることがうまくない人もいると思うんですよ。だけど、歌うことで気持ちを伝えることはできる。 だからこそカイは「LOVESONG」を作ったと思うんですよね。
ーータイは凄く男前でもよくしゃべる人が多いですよね。
チャンプ監督:そうですね(笑)。


ーーこれは好みだと思うんですが、日本は無口な男性が硬派と言われてもてはやされた時代があったり、今もミステリアスでクールに捉えられて、モテるキャラクターなんですよ。チャンプ監督はそれをよくご存知だなーと思って。無口な向井さん=カイの爆誕で、今までのファンの皆さんに加えて、まだまだファンが増えるのではないかなー?なんて思いました。
チャンプ監督:え?日本では無口な人ってモテるんですか?
ーー好みによって全然違いますけど、無口な人ってかっこいいなーって思う人は多いですね(笑)。カリスマミュージシャンや大物俳優ってあまり話さない印象もあるし。
チャンプ監督:今まで見た日本の作品で、そういう物静かなキャラクターを確かに何人か見ましたけど、そうなんですね(笑)。
ーー知らずにモテキャラを作り上げたんですね(笑)。


カイはなぜ日本からタイに移り住んだのか?
ーータイ好きの私にはとても気になることなんですけど、なぜカイは日本から逃げるように移住した先がタイだったんでしょうね?
チャンプ監督:そうですね。舞台にタイを選んだのはまず僕がタイ人だから(笑)。
ーーそれはもう基本中の基本ですね(笑)。
チャンプ監督:カイはタイ語が話せる設定なんですけど、カイにとってタイは日本より居心地が良いんです。だからタイを選んだのでしょうね。


森崎ウィンの芝居とは思えぬ演技力に注目!
ーー向井さんのシンガーソングライター役も素晴らしかったですが、ソウタ役の森崎さんは演技のレベルが高くて驚きました。「ああ、森崎さんって、こういう人なんだ。」って思うほど自然です。
ソウタ目線のシーンが多いので、ソウタの気持ちになって作品を観るじゃないですか。森崎さんの演技のせいか、見ている人がみんなカイを好きになりそうなくらい、それくらい観客を引き込みますよね。
そんな森崎さんはタイ語は話せないじゃないですか。どのようにコミュニケーションを取って、ソウタを作り上げていったんですか?
チャンプ監督:初めて僕たちが会話した時の話に戻ると、ウィンは自分でソウタのキャラクターについて沢山考えてきてくれたんです。その考えをシェアしてくれて「ソウタはどんなキャラクターが良いのかな?」っていうのを一緒に考えながら作り上げていきました。
コミュニケーションは現場にタイ語ができる日本人通訳や、日本語ができるタイ人通訳が撮影通訳としてスタンバイしてくれているんですけど、もう一つの橋渡しとしてコージが助けてくれました。ウィンと僕が話していたら、タイ語でいろいろ通訳をしてくれるんですよ。そんなことが当たり前の、すごく幸せで楽しい現場でしたよ。


この作品の主演はこの2人しかありえない
ーー主演の2人は日本人ですが、森崎さんはミャンマー、向井さんはタイというルーツがあります。これはキャスティングの時にわざとそういう人を選んだんですか?それとも偶然ですか?
チャンプ監督:主演の2人は僕と日本のプロデューサーチームが相談して決めました。チャンプ監督:主演の2人は僕と日本のプロデューサーチームが相談して決めました。ウィンはアジアらしさを体現できるのではないかという話になり、また、このストーリーをうまく表現できるのはタイと日本のルーツを持って、タイ語が話せる康二しかいなかった。2人が最も相性がいいという結論に至ったんですよ。
主演を食いかねない?ジンは及川光博そのものだった
ーー無口な設定のカイは主演なのにセリフは少なめじゃないですか?及川光博さん演じるジンの方がセリフが多いんじゃないかとハラハラしながら観ていたんですが(笑)。
チャンプ監督:ははは!


ーー及川さんはミュージシャンであり俳優なんですが、日本のドラマでは落ち着いた役も演じます。チャーミングで、ライブやバラエティ番組では、周りをぐいぐい引き込む方なのですが、今回は及川さんがサラリーマンになったら、そのままジンになりそうな描き方に感じました(笑)。「監督よくわかってるなー、よく引き出してくれたなー」って思って観ていたんですけど、及川さんがどんな方なのかはご存知だったんですか(笑)?
チャンプ監督:いや、実は彼がミュージシャンだという話や性格は知らなかったです。僕の中でジンは、周りを笑顔にして幸せにするキャラクターなんですよ。彼自身も演じながらアイディアを色々出してくれました。
脚本よりも冗談を増やしたりして(笑)、及川さんはジンをとてもナチュラルなキャラクターにしてくれたと思います。
とにかく及川さんは一緒にいて楽しい!それにとてもプロフェッショナルな方だなと思いましたね。
僕は撮影現場で彼の演技を見ていたら、本当に自然と笑顔になって幸せな気持ちになりました。凄く特別で最高な方。
ーー及川さんはファンの方には「ミッチー」と呼ばれているのですが、きっとミッチーファンの皆様方も監督のこの言葉は誇らしいと思います。


「わあ、日本人みたいで幸せ!」
ーー監督の夢は日本で映画を撮影することでしたね。日本パートの撮影はどのようなスタイルでしたか?念願の日本での仕事を満喫できたのでしょうか?
チャンプ監督:日本パートの撮影は3日間だけだったんですけど、その前にロケハンや準備があって何度も日本に来ました。それまでは観光で日本旅行をしていたので、今までとは全く違う滞在の仕方にわくわくしてしまって(笑)。
日本で生活しているような気持ちになりました。日本人みたいに朝起きて、仕事に行くと「ああ、僕、本当に日本人みたい!幸せだなぁ」って思って(笑)。
ーーえええ(笑)?そんなに日本を好きでいてくれることが、本当に嬉しいです。でも、今回は日タイ共同制作映画で、進め方もタイでの撮影とはかなり違ったのではないですか?
チャンプ監督:今までになかった特別な仕事だったと思います。もちろんお互い考え方は違うので、調整しながら考えを一つにしていきましたよ。それは、この映画の登場人物たちの姿に重なるんですよね。
今でもタイと日本での撮影を思い出すと、すごく幸せな気持ちになるし、映画『(LOVE SONG)』の監督の仕事は本当に幸せな経験だったなぁって思い出します。日本とタイでスタッフ・キャスト共に一緒に働いている時の事を思い出して、本当に将来またこういう経験ができたらいいな、とか、日本での仕事の機会ができたらいいなって考えていますよ。
ーー監督の言葉を聞いていると、私もタイの仕事ができると、もっとタイの仕事の機会が増えたらいいのに、って考えるので、日本が大好きなタイ人、タイが大好きな日本人というのは同じ趣向なんだろうなって実感できました(笑)。日本を好きになってくれてありがとうございます。


タイの映画やドラマはシリアスでも心霊映画でもお笑い要素が入るのは何故?
ーー以前からタイの映画監督に聞こうと思っていたことがあるんです。タイの映画やドラマは本筋がシリアスだったり、何人も亡くなるような話でも、かなり激しく笑えるシーンが入ってきますよね。
映画『(LOVE SONG)』も根本は切ないラブストーリーだと思うのですが、コメディ要素が随所にあります。日本では切ないラブストーリーや怖い話、悲しい話など、作品のイメージに忠実で、微笑ましいシーンはあったとしても、爆笑するシーンが何度も出てくることはあまりないです。タイ人にとってはひとつの映画に笑いの要素が入る事は大事なことですか?
チャンプ監督:はい。大事です。人生は歩けば歩くほど、途中で何度もストレスを感じるようにできています。そんな時にやはりユーモアは重要ですし、人間はずっとシリアスなままではいない方がいい。映画も人の人生を描いています。いろいろな気持ちが共存してこそが、人生だと思うんですよ。
ーーなるほど!そういうことだったんですね。


映画『(LOVE SONG)』は未来のチャンスを作ってくれている
ーー監督の作品のファンは、ドラマを遡って見たり、他のドラマも好きになったりしていると思います。
今回は、まったく監督のことを知らない人の方が多いかもしれません。日本の出演者のファンの方がタイの知識や監督の知識がないまま、映画を観ることについて、どんな気持ちでいますか?
チャンプ監督:とても喜ばしいです。この作品を通して2人視点の愛、価値ある美しい曲を聴いてもらえる。そうすることで僕やタイのことを知ってもらえるじゃないですか。いや、もしかしたら過去の作品に興味を持ってもらえるかもしれないし、関係者の目に留まって、日本で仕事をする機会が増えるかもしれない。とてもワクワクしています。


--監督の次の日本での仕事が楽しみになってきますね。でもまずは一人でも多くの皆さんに、この映画を観ていただきたいです。日タイ両国でロードショーとなりますが、日本で映画『(LOVE SONG)』を見に行こうとしている皆さんに、メッセージをお願いします。
チャンプ監督:皆さんに映画『(LOVE SONG)』を観ていただきたいし、その中に出てくるラブソングをソウタと一緒に聴いてほしいです。幸せとか愛とか、人生について考えられる作品だと思います。よろしくお願いします。
ーーありがとうございました!


日本のキャストのファンだけではなく『2gether』やタイドラマファン、そしてタイが好きな人も観るべきチャンプ監督の新たな挑戦
映画『(LOVE SONG)』は、日本国内で話題になっており、タイが好きな筆者にとっては、その話題を聞くたびに「いよいよロードショーだな」と嬉しくなる。
ただ、ジャパンプレミアに参加した肌感では、日本の主要キャストたちのファンの方々が圧倒的に盛り上がっている印象を受けた。もちろん盛り上げていただきたいし、それで良いと思う
しかし、この作品は『2gether』という自らの作品で「日本人に自分の作品が届いた!」と純粋に喜ぶチャンプ監督の起こした奇跡であり、新たな挑戦でもある。
そして日タイのスタッフ、キャストが力を合わせて、心を込めて完成させた作品だ。
『2gether』をはじめ、チャンプ監督作品や、タイドラマが好きな方たちには、タイの監督が日タイのキャストと共に日タイを舞台に作品を作ると、どんな感動を生んでくれるのか、ぜひその目で見届けていただきたい。
そしてタイのBLドラマに全く興味がないタイ好きの皆さん。チャンプ監督はタイ人監督。この偉業をともに見届けていただきたい!
豆知識:
文章内に「◎◎こと◎◎◎」と、名前の前にニックネームを紹介しつつ書いていることに違和感を覚える人もいるかもしれない。これは、タイに詳しい方なら知っていることとなるが、タイ人は名前が長い。そこで、「チューレン」というニックネームが仕事でもプライベートでも当たり前に使われている。
例えばチャンプ監督の「チャンプ」もニックネームにあたるので、その点もタイの文化として捉えていただきたい。映画内に出てくるタイ人の呼び名も、役名のチューレンということになる。
取材・文・撮影:吉田彩緒莉
通訳:高杉美和
ーーーーー
(LOVE SONG)
出演:森崎ウィン 向井康二(Snow Man)
ミーン=ピーラウィット・アッタチットサターポーン 藤原大祐 齊藤京子
ファースト=チャローンラット・ノープサムローン ミュージック=プレーワー・スタムポン 逢見亮太
夏目透羽 水橋研二 宮本裕子 / 筒井真理子 / 及川光博
監督・脚本:チャンプ・ウィーラチット・トンジラー(「2gether」)
脚本:吉野 主 阿久根知昭
音楽:近谷直之
劇中曲プロデュース:The TOYS
主題歌:Omoinotake「Gravity」(Sony Music Labels)
制作プロダクション:KINEMA STUDIO
制作協力:h8 Studio アークエンタテインメント
制作幹事・配給:KADOKAWA
©2025『(LOVE SONG)』製作委員会
公式サイト:movie-lovesong.jp
公式X&Instagram:@movie_lovesong
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆STORY ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
聴こえてきたメロディ。心に刻み込まれている。あの日からずっと——。
バンコク勤務を命じられた化学メーカーの研究員・ソウタは、渡航初日、大学時代に突然姿を消した初恋の人・カイと偶然の再会を果たす。あの頃、カイが奏でていたメロディは、今もソウタの心の奥で繰り返し響いていた。カメラマンとして活躍し、音楽も続けていたカイは、思いがけない再会に心を揺らす。喧騒と静寂が交錯するバンコクの街で過ごすうちに、6年という空白の時間が埋まっていくが、何事にも慎重なソウタは、かつてのカイへの叶わぬ片想いの痛みから、「きっと叶わない」と心に蓋をする。以前と変わらず接しようとするが、異国で自立し、逞しくなったカイの姿に思わぬ距離を感じてしまう。そんな中、カイが学生時代から作り続けていた、“好きな人に最初に聴かせたい“未完成の曲を初めてライブで披露するという噂を聞き、ソウタの胸に行き場のない想いが押し寄せる。お互いを想いながらも、すれ違ってしまう二人。その両片想いの恋は、やがてーー。
2025年10月31日より 全国ロードショー
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