瀬戸利樹 × 内藤秀一郎 × 太田駿静🔥/第8話】「すれ違う想い、止まらない時間――“1年越しの言葉”が胸を締めつける夜🥹💔✨」

金田瀬戸式の部屋に柳瀬内藤一郎 は何の前ぶれもなく連れてこられた。夜の 空気が少し重たく窓の外から聞こえる町の ざめきが2人の沈黙をより際立たせていた 。彼は何かを言いかけたような表情を 浮かべながらも突然なり響いたスマート フォンの着信音に動きを止める。その相手 が後輩の古川匠、太田俊勢だと知ると、 ほんの少しだけためいを見せたものの ちょっと出てくると短く告げ、玄関のドア を閉めて外に出ていった。残された柳瀬は 急に広く感じる部屋の中でどこか落ち着か ない視線を漂せていた。テーブルの上には 金田が飲みかけたコーヒーがまだ湯気を 立てており、その温かさが逆に2人の距離 を突きつけるようだった。ソファに腰を 下ろしながら柳瀬は過去の記憶をたどる。 1年前、同じ部屋で2人は朝まで語り合い 、互いの夢を信じていた。あの頃は笑顔が 多く、沈黙すらも心地よい時間に変わった 。しかし今沈黙は不安及び目に移る全ての ものが空気に感じられた。スマートフォン が光り太線を落とすとそこに表示された 金田の着信履歴に頻繁に現れる古川匠の 名前があった。胸の奥に冷たいものが 流れ込み思わず指先が震える。彼の新しい 生活の中に自分がいないことを知るのは こんなにも静かな痛みを伴うものなのかと 矢瀬は息を飲んだ。時間は過ぎても心は あの日のまま止まっているけれど相手の 時間は確実に前へ進んでいた。その現実を 彼はようやく受け止めざるを得なかった。 外の風がカーテンを揺らし、夜が少し深く なった頃、金田はまだ帰ってこなかった。 矢瀬は何度も時計を見上げ、その度に自分 の鼓動が重くなるのを感じた。頭の中では 過去の会話が断片的に蘇える。俺たちまた 一緒にやり直せるかな。かつて金田が 照れ臭そうに言ったその言葉が今は遠い 記憶のようにかんでいく。一方その頃金田 は古川と会っていた。仕事の話をしながら も心はずっと別の場所にあった。古川の 明るい声を聞き流しながらふや瀬の表情が 頭に浮かぶ。あの不器用な笑顔時折り 見せる真剣な瞳。そして何よりも自分を 信じてくれた日々1年という月日が思って いた以上に自分を変え柳瀬を遠ざけた。 それでも胸の奥には言えずにいた言葉が 残っていた。あの時逃げたのは俺の方だっ たんだ。その後悔が金田の中で静かに形を なしていく。帰り道金田は夜風に吹かれ ながらふとスマートフォンを取り出す。 柳瀬にメッセージを送ろうと指を 動かしかけたが、画面を見つめたまま動け なかった。どんな言葉を並べても1年間の 沈黙を埋めることはできないように思えた 。それでも話したいという気持ちだけが 消えずに残っていた。部屋に戻ると矢瀬は ソファに座ったまま静かに目を閉じていた 。その姿を見た瞬間、金田の胸に熱いもの が込み上げた。足音を忍ばせて近づき、 ためらいながら名前を呼ぶ柳瀬。その声に 反応して矢瀬がゆっくりと目を開ける。 視線が交わると言葉が出てこなかった。 互いの瞳の奥に言い尽くせない時間が流れ ていた。矢瀬は微笑としたが唇が震えた。 帰ってきたんだなと呟いたその声に金田は ただ頷くことしかできなかった。沈黙の中 で2人の距離がわずかに縮まる。金田は 思わず口を開いた。1年前言えなかった ことがある。そう言って目をそらさずに 矢瀬を見つめた。あの時俺は怖かった。 自分の気持ちを言えば全部壊れると思って た。でも本当はお前がいない時間が1番 怖かったんだ。その言葉が空気を振わせ や瀬の心に深く染み渡った。涙が頬を伝い 、静かに落ちていく。彼はその涙を見て 一歩踏み出す。もう一度やり直したい。 お前とちゃんと向き合いたい。矢瀬は しばらく目を閉じたまま何も言わずにいた が、次の瞬間震える声で答えた。俺も同じ 気持ちだった。ずっと伝えたかったんだ。 部屋の中に2人の息遣いだけが響く。夜の 光がカーテンに差し込み彼らの顔を優しく 照らしていた。金田はゆっくりと柳瀬に 近づき、その手を握った。1年の空白が ようやく1つの瞬間で埋まっていく。過去 の傷も後悔も今だけは全てをくみ込んで いくようだった。翌朝窓から差し込む朝日 が金田の頬を照らす。柳瀬は隣で静かに コーヒーを入れながら小さく笑った。 やっぱりお前のコーヒーは濃いな。その 何気ない一言に金田は笑い返す。いつかの ような温かさが再びこの部屋を満たしてい た。過去の痛みが消えたわけではない。で もそれを受け入れる強さを2人はこの夜で 手に入れたのだ。そしてもう2度と すれ違いという言葉が彼らの間を遮え切ら ないように心の奥で約束する。長い夜を 超えてようやく迎えた朝、金田と柳瀬は 新しい一歩を踏み出す。その姿はまだ少し ぎこちないけれど、確かに前を向いていた 。1年の思いが言葉となってようやく2人 の未来を照らし始めていた。その朝静かに 目を覚ました柳瀬は金田の願顔を見つめて いた。窓の外では小鳥の声がして夜の冷た さを柔らげるように光が差し込んでいる。 まだ夢の中にいるような穏やかな時間だっ た。昨日まで抱えていた不安や寂しさが 少しずつ遠ざかっていく。テーブルの上に は金田が昨夜のうちに用意していたメモが 残されていた。出勤少し早め朝飯は冷蔵庫 にあるその何気ない一問が涙が出るほど 嬉しかった。1人になった部屋の中で矢瀬 はそのメモを何度も読み返した。たった 数秒の言葉にこれまで感じられなかった 日常のぬくもりがあった。1年前同じよう に金田の家にいた時はどこかぎこちなく 互いに心の奥を見せることを恐れていた。 だが今は違う。ようやく素直になれる時間 が訪れたのだ。会社に向かう道すら金田は 昨日の柳瀬の涙を思い出していた。胸の奥 が締めつけられるようで、それでも少し だけ安していた。彼の涙が悲しみではなく 、再開の証であることを信じていたからだ 。電車の窓に移る自分の姿を見て彼は 小さく息を吐いた。もう2度と逃げない。 心の中でそう誓いながらポケットの中の スマートフォンを握りしめた。一方で矢瀬 もまた新しい気持ちで会社に向かっていた 。久しぶりに胸を張って歩けるような気が した。過去の失敗も後悔も今はもう彼を 縛らない。金だと再び向き合ったことで心 の奥に眠っていた情熱が再び燃え上がって いた。仕事への意欲もかつて感じた希望も 全てが少しずつ戻ってくるのを感じていた 。夕方オフィスの窓際で金田が書類を整理 していると古川が笑顔で近づいてきた。 昨日の夜ちゃんと話せたんですか?その 問いに金田は一瞬驚いたような表情を見せ たが、すぐに穏やかに頷いた。ああ、話せ たよ。やっとちゃんと伝えられた。古川は 微笑みながら良かったですねと言い席を 外した。彼田はその背中を見送りながら 自分の中で何かが一区切りついたことを 感じていた。夜柳瀬の元に金田から メッセージが届いた。今日もお疲れ夜少し だけ会える。たったそれだけの言葉に柳瀬 の心は一瞬でぬくまった。1年前の彼なら きっと迷っていただろう。でも今の柳瀬は 違った。もちろんと短く返して時計を見た 待ち合わせ場所に向かう途中町の明りが 滲んで見えた。2人が再開したのは初めて 出会った場所でもある小さな公園だった。 風が木々を揺らし、街当の光が2人の影を 並べて伸ばしていた。金田が先に到着し、 ベンチに座って待っていた。矢瀬が歩いて くると金田は立ち上がり少し照れ臭そうに 笑った。こうやって外で会うのなんか久し ぶりだな。矢瀬は頷きそうだなと小さく 笑う。その声にあの日の柔らかさが戻って いた。仕事どを金田が何気なく訪ねると 柳瀬は少し考えてから答えた。まだ不安も あるけど前よりも楽しいよ。多分お前の おかげだ。その言葉に金田は少し目を伏せ て俺もだよと静かに返す。2人の間には もう気まずさもなく穏やかな空気が流れて いた。ふと金田が空を見上げた。1年前の この時期もこうやって夜空見てた気がする 。柳瀬も同じ方向に目を向ける。あの時は 何も言えなかったけどと金田が続けると 柳瀬は静かに頷いた。でも今は言える だろう。金田は少しだけ息を飲み真剣な マ志しで柳瀬を見つめた。俺やっぱりお前 が好きだ。その言葉が夜の空気に溶けて いく。矢瀬は何も言わずに微笑み、 ゆっくりと金田に近づいた。俺もだよ。 その一言で金田の表情が緩み、2人の距離 が自然と近づいた。風がそっと吹き抜け、 過去の迷いや誤解を全て流していくよう だった。時間が止まったようなしけさの中 で2人は再び心を通わせた。これまでの すれ違いが今ようやく意味を持つ。遠回り をしたからこそ互いの存在の大きさに 気づけた。柳瀬は心の中で思ったこの人と ならもう1度やり直せる。いや、これから 何度でも始められると公園を後にして並ん で歩く2人の背中に該当の光が柔らかく さしていた。その光はまるで2人の未来を 照らすようだった。もう振り返ることは ない。1年の言葉がようやく彼らを つなぎ直したのだ。夜の街を抜けていくの 姿はどこか静かでそれでいて確かな希望に 満ちていた。

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