『ザ・ホエール』(22)で第95回アカデミー賞主演男優賞を受賞したブレンダン・フレイザーの主演作『レンタル・ファミリー』(2026年2月27日公開)。先日行われた第69回ロンドン映画祭にてプレミア上映が開催。主演のフレイザー、HIKARI監督らが登壇した。
【写真を見る】映画ファンとの記念撮影に応じるフレイザー[c]2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.
監督を務めるのは、長編デビュー作『37セカンズ』(19)がベルリン国際映画祭ほか世界中の映画祭で注目を集め、「Beef/ビーフ」、「TOKYO VICE」などの話題作を手掛けてきたアメリカをベースに活躍する日本人監督のHIKARI。第50回トロント国際映画祭では、いま最も注目されるクリエーターに贈られるEmerging Talent Awardも受賞し、名実共に世界が注目する映画監督に名を連ねたHIKARI監督が、長編2作目となる本作でサーチライト・ピクチャーズとタッグを組み、日本を舞台にしたオリジナル作品を世界に送りだす。共演には、「SHOGUN 将軍」も話題のエミー賞ノミネート俳優の平岳大、「PACHINKO パチンコ」「モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ」の山本真理、新鋭のゴーマン シャノン 眞陽らに加えて、名優、柄本明も名を連ねている。
ロンドンの現地時間10月8日~10月19日に開催されたロンドン映画祭で、10月16日に行われたプレミア上映。ロンドン映画祭は、英国映画協会(BFI: British Film Institute)が主催するイギリス最大の国際映画祭。世界各国から選ばれた最新の話題作や独立系作品、ドキュメンタリーなど、幅広いジャンルの作品が上映される。今回、本作の上映会場となったサウスバンク・センター内の2700人収容のロイヤル・フェスティバル・ホールのチケットは即完売。当日は、上映を待ちかねた映画を愛するファンが詰めかけた。
フレイザーとゴーマン シャノン 眞陽[c]2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.
レッドカーペットイベントには、主演のフレイザーをはじめ、日本人キャストの平岳大、山本真理、柄本明、ゴーマン シャノン 眞陽、そしてHIKARI監督が登場。会場には多くのファンやメディアが詰めかけ、フレイザーの登場と共に大歓声が巻き起こった。フレイザーはファンの求めるサインや写真撮影に気さくに応じながら、「このすてきな映画をロンドンのみんなが楽しんでくれることを楽しみにしています」と笑顔でコメント。満席の会場で行われたプレミア上映後には、エンドロールが終わると同時に大きな拍手とスタンディングオベーションが起こり、会場は熱気に包まれた。
上映に先立ち、HIKARI監督とフレイザー、平、山本、柄本、シャノンが登壇し、舞台挨拶とQ&Aも実施。「とてもタイムリーなトピックを取り上げた映画だと思いますが、着想はどこから来たのですか?」という質問に対し、HIKARI監督は「東京のような大都会にいると、移り変わりの速さのなかで多くの人が孤独を感じながら生きています。そんな孤独を感じる一人一人がつながっていく様々な経験を描きたくてこの物語を描き始めました」と返答。柄本は「このストーリーのなにがあなたを魅了しましたか?」という質問に対し、「人は限りある命を生きるなかで必ず老いと直面する。ただ、老いや孤独が必ずしも悪いことだけではなく、向き合うなかで自分の中の豊かさを見つけることもある。そこがこの作品の素晴らしいところです」と答え、会場の大きな拍手を誘う。
エミー賞ノミネート経験を持つ平岳大[c]2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.
平と山本は自身の海外生活の経験が、本作の孤独とそれを乗り越える方法に大いに反映されたことを実体験と共に語り、本作が本格的な映画初出演となるシャノンは、「信じられないような体験でした。そしていまここに大勢皆さんの前で、こんなすてきな方々と一緒に舞台に立っていることが本当に信じられません」と語り、満場が拍手で迎えていた。最後にフレイザーは「東京へのラブレターでもあり、孤独を感じながら生きている世界中の人々に向けた映画です。ここロンドンで私たちの愛を感じていただけると嬉しいです」と本作への想いを込めて挨拶してQ&Aを締めくくり、会場から再び大きな拍手が送られた。
また、現地で本作を鑑賞した観客からは、鳴り止まぬ拍手と共に「信じられないくらいハートウォーミングな映画」、「優しさとスイートさに満ちた作品で笑顔を誘われた」といった賞賛の声が相次ぎ、SNS上や会場での反響も続々と寄せられている。本作は日本でも、第38回東京国際映画祭のガラ・セレクション部門に正式出品が決定。日本を含むアジア最速上映となるアジアン・プレミア開催が予定されている。物語の舞台となった東京で行われるアジアン・プレミアには、HIKARI監督の来日に加え、柄本、シャノン、木村文、森田望智、篠崎しの、真飛聖ら個性豊かなキャスト陣も参加予定だ。
他人の人生の中で“仮の”役割を演じることで、想像もしなかった人生を体験しはじめるフィリップ(フレイザー)。日本での生活に居心地のよさを感じながらも、自分自身を見失いかけていた彼が思いがけず発見していく生きる喜びとは?映画『レンタル・ファミリー』の今後の続報に注目したい!
文/サンクレイオ翼
※篠崎しのの「崎」は「たつさき」が正式表記