大倉集古館(東京都港区・虎ノ門)で「人々を援たすけ寄り添う神と仏-道釈人物画の世界-」が11月22日から開催されます。
お正月や端午の節句などに登場する、七福神や鍾馗などの神や仏がいます。お寺や神社の奥深くにいるのではなく、人々の暮らしに溶け込みながら存在していました。現代ではあまり出会わなくなりつつありますが、江戸時代から昭和の初め頃には、掛軸や節句人形、瓦人形などに表現され、人々の願いに応えてきました。
本展では、七福神や鍾馗などの民間信仰の神とともに、仏教の仏である普賢菩薩や文殊菩薩、禅宗で祀られた親しみのある姿の布袋、異国情緒を醸し出す奇怪な風貌の羅漢など、道教や仏教の神仏や人物を描いた「道釈人物画」を取り上げ、私達人間のそばに寄り添い、災厄を払い、願いを叶え、ある時には生きる姿勢を示してくれた神や仏の姿を紹介します。
人々を援け寄り添う神と仏-道釈人物画の世界-
会場:大倉集古館(東京都港区虎ノ門2-10-3〈オークラ東京前〉)
会期:2025年11月22日(土)~2026年1月18日(日)
※前期:11/22(土)~12/21(日)
※後期:12/23(火)~1/18(日)
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(ただし1/12は開館)、12/29~12/31、1/13
※年始は1/1から開館
観覧料:一般:1,000円/大学生・高校生:800円/中学生以下:無料
※同会期中のリピーターは500円引き(一般・大学生・高校生の料金をお支払いの方)
※障がい者手帳・被爆者手帳ご提示の方とその同伴者1名は無料
※お着物(和装)でご来館の方は300円引き
※割引併用不可
アクセス:東京メトロ南北線 六本木一丁目駅より徒歩5分/日比谷線 神谷町駅 徒歩7分/日比谷線 虎ノ門ヒルズ駅徒歩8分/銀座線・南北線 溜池山王駅徒歩10分
詳細は、大倉集古館 公式サイトまで。
【第1章】七福神
おなじみの七福神。それぞれの神様のご利益や来歴は意外と知らないことが多いのではないでしょうか。ここでは、七福神一人一人を大解剖。一緒にいる動物や服装の特徴、「寿老人」と「福禄寿」の違いは?など、解き明かしていきます。
《銹絵寿老図六角皿》尾形乾山作、尾形光琳絵付
《正月用引札:恵比寿大黒と美人図》【前期展示】
《福禄寿三星図(刺繍)》
《布袋各様図》松花堂昭乗【巻替えあり】
【第2章】江戸のヒーロー
最近では、節句飾りをすることも減りましたが、5月5日のこどもの日(端午の節句)に飾られ、江戸時代を通して愛された武神をとりあげます。玄宗皇帝を援けた鍾馗や、三国志の武将から中国で一番愛された神へと上りつめた関羽を取り上げ、勇ましくもあり、愛らしくもあるヒーローの姿を紹介します。
《鐘馗図》二代葛飾泰斗
《関羽図》円山応挙
《関羽と周倉図》張月樵
【第3章】仏教の神と仏
仏教の中でも特に禅宗の教えを形にした神や仏を描いた作品を紹介します。美しい遊女や美少年に姿を変えた普賢菩薩や文殊菩薩、江戸時代の絵画ではおなじみの寒山と拾得や達磨など、そのファッションにも注目し、知っているようで知らない神様仏様の姿に着目します。
《見立普賢菩薩図》山崎女龍(龍女)
《達磨図》岩井江雲
《蓮池観音図》白隠慧鶴
《和合神図》紀広成
《牧童図》森周峰
【第4章】洛中洛外の瓦鐘馗
京都の家々の入り口の小屋根には、鐘馗を象った瓦人形があげられています。本章では、写真家・服部正実が長年撮りためた瓦鐘馗の写真を紹介します。江戸時代以降、何百年もの間、人々を見守ってきた鐘馗です。瓦屋根が消えつつある昨今、瓦鐘馗の姿も消えつつあります。東京では珍しい瓦鐘馗の姿を知り、古くから私たちを守ってくれた「鍾馗さん」の豊かな表情をお楽しみいただきます。
《瓦鐘馗(京都市中京区)》(写真)服部正実撮影
《瓦鐘馗(奈良市北京終町)》(写真)服部正実撮影
昭和以前、日本では今よりもずっと「神」や「仏」のイメージが生活のなかに溶け込んでいました。本展では、神仏の姿をさまざまな形で表現した「道釈人物画」をはじめとする約60件の品々や瓦鍾馗の写真パネル約50件が登場します。特に私たち現代人でも、ぐっと神様や仏様の存在感が身近に感じられる年末年始の時期にこそ見ておきたい注目の展覧会です。特に、大倉集古館は新年1月1日からオープン予定。初詣とあわせて、おめでたい気分を満喫できる貴重な機会にもなりそうです。(美術展ナビ)