■ 作品情報
監督・脚本は雨宮慶太。主要キャストは、冴島大河役に北田祥一郎、吹奇役に神嶋里花、白虎役に波岡一喜、蛇道役に瀬戸利樹。魔導輪ザルバの声は影山ヒロノブ。その他、ひょうろく、肥後克広が出演。
■ ストーリー
黄金騎士ガロの称号を受け継いだばかりの若き冴島大河の物語を描く。魔獣ホラーとの戦いに明け暮れる日々を送る大河は、番犬所から新たな指令を受ける。それは、人間を守護する四神の魂が宿る魔導具「羅針盤」が、強大なホラーである蛇道によって奪われたため、それを奪還するというもの。大河は、聖獣の祠に仕える魔戒導師・吹奇とともに、喰らった者の力や記憶を吸収し、聖獣の絶大な力を我が物にしようと暗躍する蛇道から「羅針盤」を取り戻すために戦いを挑む。
■ 感想
ずいぶん前にテレビシリーズでその存在を知り、毎週楽しみに視聴していた「牙狼」シリーズ。劇場版も多く作られていましたが、最寄りの劇場での上映がなく、いつも残念に思っていました。しかし、本作は馴染みの劇場でも上映されると知り、公開を心待ちにし、さっそく鑑賞してきました。どちらかというとマニアックな作品だと思っていたのですが、かなりの客入りにびっくり!同好の士の多さに、なんだか嬉しくなってしまいます。
そんな観客の期待に応えるかのように、作品は序盤から息をのむようなアクションシーンで魅了してくれます。冴島大河の装い、ホラーの造形、そしてお馴染みの鎧の召喚―。久しぶりに体験する「牙狼ワールド」に、あっという間に引き込まれていきます。
6年ぶりの劇場版であり、しかも20周年記念作品というだけあって、アクションもVFXも非常に力が入っており、その見応えには感嘆するばかりです。大河役を演じた北田祥一郎さんは映画初出演とのことですが、これまで同役を演じていた渡辺裕之さんの若き日を彷彿とさせる雰囲気があり、役にとても合っていたと思います。
そして、牙狼といえば欠かせないのが、頼れる仲間たちの存在です。魔導輪ザルバの声はお馴染みの影山ヒロノブさんで、やはりその存在感は抜群です。魔戒導師・吹奇を演じたのは知らない女優さんでしたが、物語のキーパーソンとしてがんばっていたと思います。対する敵ホラー・蛇道も妖しい魅力に満ち、強烈な存在感を放っています。
物語は、四神の力を巡るメインストーリーに、親子や師弟の深い絆が丁寧に絡められており、最後まで心地よく鑑賞できます。特に白虎を演じる波岡一喜さんの迫真の演技と相まって、終盤はなんだか目頭が熱くなってしまいました。
さらに、螢雪次朗さんの起用や、渡辺裕之さんへの追悼の意を込めたラストの写真など、これまでのシリーズを支えてきた方々への深いリスペクトが随所に感じられます。まさに20周年記念にふさわしい、作り手の「牙狼」への愛が詰まった作品だと心から感じます。