プロフェッショナル×つながる×メディア
CREATIVE VILLAGE
ニュース・トレンド
2025.10.19
2025.10.19
日本映画撮影監督協会(JSC)は、文化庁と日本芸術文化振興会による「クリエイター等支援事業」の一環として、国際舞台で活躍できる映画撮影者の育成プログラムを推進している。その活動報告第2弾として、9月に韓国で実施された映像制作現場の研修ツアーの成果が公表された。JSCは世界水準のリサーチとネットワーク形成を目的に、ソウルと釜山を訪問した。
初日には、韓国映画撮影監督協会(CGK)との合同シンポジウムがソウルのSLR RENT CINE STUDIOで開催された。CGK代表のチュ・ギョンヨプ氏は「カメラとレンズで語る者同士、思いを交わそう」と語り、JSC副理事長の谷川創平氏も「作品の観点で国境は存在しない」と応じた。韓国の名撮影監督キム・ヒョング氏は「今こそ協力と信頼をもとに、アジアから世界へ挑戦すべきだ」と呼びかけ、場内は熱気に包まれた。ディスカッションでは、韓国の撮影現場における制度整備や権利保護の仕組みが紹介され、日本側からも若手育成や労働環境の改善の必要性が提起された。
視察では、VFX制作の最前線を担うDEXTER STUDIOSを訪れ、技術者が脚本段階から参加する体制を学んだ。CJ ENM Studio Centerでは、OTT作品を支える大規模スタジオ群の稼働状況を確認し、現場の生産力に驚かされた。さらに、国立の韓国映画アカデミー(KAFA)では教育と制度が相互に機能する仕組みを視察し、育成環境の充実ぶりに感銘を受けた。釜山国際映画祭では、若い観客層と配信業界の存在感を通じ、映画祭のマーケット機能の重要性を再認識したという。
JSCは今回の研修で、制度と支援の有無が制作現場の質に大きな差を生む現実を実感したと報告している。韓国では法的に労働時間が定められ、補助金制度が撮影環境の健全化を支えているのに対し、日本は個人の努力に頼る面が強く、改善が急務と指摘した。今回の経験を踏まえ、JSCは国際共同制作や教育の分野でより広い連携を目指す方針である。
研修を通して得られた知見は、次世代の映画撮影監督を世界に送り出す礎となるものであり、映像文化交流の新たな契機として期待されている。JSCは今後も海外団体との連携やマスタークラスを通じて、国際的に通用する撮影監督の育成を継続していく考えだ。
著者情報
株式会社クリーク・アンド・リバー社
エンゲージメント・セクション
CREATIVE VILLAGEは、クリーク・アンド・リバー社※が運営する
クリエイティブ業界に特化した情報を扱うメディアです。
クリエイターへのインタビューやコラム、各種セミナー、イベントなど、
ここでしか知ることのできない情報をお届けします。
監修
CREATIVE VILLAGE編集部
関連記事
RELATED POST
無料
就業支援サービス
クリエイティブ業界に精通したエージェントが、お一人おひとりの転職活動をきめ細かくフォロー。会員にご登録いただくことで、社員や派遣から請負まで、さまざまな雇用形態の案件から最適な求人をご紹介します。
無料の就業支援サービスをご希望の方はこちら