連載『面影』第6回。今回、女優・唐田えりかさんが綴るのは、「人生で嫉妬をした、たったひとりのひと」について。
同じ町で育ち、幼稚園から知っている存在でありながら、ずっとどこか憧れにも似た想いを抱いていた“やーまん”。なぜか互いを同じ名前で呼び合うという二人の、懐かしい小学校の日々、交換日記、放課後の自転車。何気ない記憶のひとつひとつが、胸に温かく残ります。
今回の写真も、前回に引き続き写真家の阿部裕介さんが五島列島で撮り下ろしたもの。誰にとってもなぜか懐かしい原風景のなかで、過ぎ去った夏をおさめていただきました。

「あの子、キラキラしてるなぁ」
“嫉妬”という感情を人に対して持ったのは、最初で最後、たったひとり、幼馴染のやーまんだ。
連載第3回目に、幼馴染のかっちゃんのことを語らせていただきましたが、今回はもう一人の、やーまんのことを綴らせていただきます。
やーまんとは、同じ幼稚園に通っていた。
幼稚園では同じクラスになることはなかったが、やーまんは小さい頃から嫉妬するくらい可愛くて目立つ存在だった。
幼いながらも、「あの子、キラキラしてるなぁ」と、どこか憧れのような、いいなぁと羨む気持ちも抱いていた。

互いを同じ名前で呼び合う
小学校に上がり、同じクラスになることはあっても、挨拶をする程度の仲だった。
5年生になったときに、お菓子の『きのこの山』の「きの山さん」というキャラクターがCMの影響で流行っていた。
そのときの私は、ジブリの『千と千尋の神隠し』のキャラクター「ハク」が大好きで、美容師さんにお願いして同じ髪型にしていた。が、ハクのように髪がどストレートにならず、よく言えばマッシュヘアというやつだった。
あるとき、やーまんが私に「えりかちゃんって、きの山さんに似てない?」と言ってきた。

今思えば、褒め言葉では一切ない。でも、話すきっかけが何であれ、嬉しかった。
私、ずっとこの子と仲良くなりたかったんだ。と、そのとき気付いた。
そんな「きの山さん」のおかげで、「えりやま」と言われるようになり、変化に変化をとげ、「やーまん」となった。
互いに今でも「やーまん」と呼び合っている。
