この名称変更は10月13日、ブラッド・ピット主演作「映画『F1(R) エフワン』」の配信開始日を発表するプレスリリースの中で明らかにされた。「Apple TV+は『活気のある新しいアイデンティティ』を持つ、シンプルなApple TVになりました」という一文だけが添えられ、詳細な説明はなかった。Appleの広報担当者は、バラエティの取材に対してコメントを控えている。
この変更により、Appleの動画配信サービス、ハードウェア、そしてアプリがすべて「Apple TV」という同じ名称で統一されることになる。複数の業界関係者は、この決定が消費者に混乱を招く可能性があると指摘している。
一方で、「Apple TV+」という名称には以前から違和感があったとの声もある。「+」が付いていることで、「プラスではない通常版が存在する」かのような印象を与えていたが、実際にはそのような区別は存在しなかった。
Appleの他のサービス、iCloudやApple Newsには無料版と有料版(iCloud+、Apple News+)の区別があるが、動画配信サービスには当初から有料版しか存在していなかった。この点で、「+」記号は消費者に誤解を与えかねない要素だったといえる。
Apple TV+は2019年11月1日、リース・ウィザースプーンとジェニファー・アニストン主演の「ザ・モーニングショー」をはじめとする8つのオリジナルシリーズと1つのドキュメンタリーでスタートした。ディズニープラス、HBO Max、Netflixなどが繰り広げる配信サービス競争の真っただなかでのスタートだった。
それから6年、同サービスは目覚ましい成長を遂げている。Appleオリジナルの作品は、これまでに553の賞を受賞し、2562のノミネートを獲得している。複数のエミー賞に輝いた「テッド・ラッソ 破天荒コーチがゆく」や「セヴェランス」「窓際のスパイ」、アカデミー賞作品賞を受賞した「コーダ あいのうた」など、批評家からも高い評価を受ける作品を次々と生み出してきた。
競合他社であるHBO MaxやParamount+が何度もブランド名を変更してきたなかで、Apple TV+にとってこれが初めての名称変更となる。