Netflixで配信中の『テプン商事』は、1997年、IMF経済危機の影が忍び寄るソウルを舞台に、夢と責任のあいだで揺れる人々の姿を静かに描いたヒューマンドラマである。

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華やかな成功ではなく、崩れゆく現実の中でそれでも立ち上がろうとする人間の尊さを、穏やかで繊細な筆致で見つめている。

カン・テプンを演じるイ・ジュノの演技は、派手な演出に頼らず、沈黙の中で語る。視線がわずかに揺れる瞬間、唇がかすかに震える呼吸、拳を握る一瞬の間。そのすべてが彼の芝居に命を吹き込む。

まるで演じているのではなく、そこに生きているかのようである。特に印象的なのは、父の死を受け止める場面だ。涙を堪えるように喉が詰まり、肩が微かに震える。その沈黙が、どんな叫びよりも深く心を突き刺す。

イ・ジュノは悲しみを作って見せるのではなく、心の奥から自然に滲み出させる。その“痛みの温度”が観る者の記憶に静かに焼きつく。

イ・ジュノイ・ジュノ(2PM)芝居に命を吹き込む演技

現在、Netflixで第2話まで配信されているが、特に象徴的なのが、その第2話での父への想いを雪の中に見出すシーンだ。

納品トラックの前に身を投げ出し、白い雪を見上げた瞬間、テプンの瞳に宿るのは絶望ではなく、再び立ち上がろうとする決意の光である。雪が桜の花びらへと変わる幻想的な演出と、イ・ジュノの抑えた表情が重なり、観る者の涙を誘う。

テプンは完璧なヒーローではない。短気で不器用で正直すぎる。だが、その不完全さこそが人間の温もりであり、不安な時代を生き抜こうとする人々の現実そのものである。

『赤い袖先』では後に朝鮮王朝第22代王・正祖(チョンジョ)に扮し、『キング・ザ・ランド』ではキングホテル本部長ク・ウォンを演じた。

『テプン商事』は、イ・ジュノという俳優の成熟を示すだけでなく、壊れかけた時代を生きる人々のための静かな祈りでもある。

画面が暗転した後も、彼のまなざしが心の奥でそっと揺れ続ける。そして観る者は、あの静けさの中で、自分の明日を少しだけ信じてみたくなるのだ。

文=大地 康

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